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clover chronicles Ⅱ

b-flower・Livingstone Daisy 八野英史の音楽年代記 クローバークロニクル2

 

2018/10/13 高円寺HIGHで行われたFriends of b-flower&Livingstone Daisy(ムクドリの会)主催のライブイベント「Another Sunny Day 2018」、もう一ヶ月以上経ってしまいましたねー。

 

たくさんの人の情熱で実現したこのイベント、観に来て下さった方、来れないのにSNSで情報を拡散して盛り上げて下さった方、そして主催してくれたムクドリの会のみなさん、本当にありがとうございました。

 

b-flowerとしても2年連続の東京ライブ、とにかくお客さんに来てもらえるかがとても心配だったのですが、ほんとにたくさん集まって盛り上がってもらえて、むちゃ嬉しかったです!

 

 

今回はThe LaundriesとFor Tracy Hydeと3バンドでの対バンということで、いったいどんなライブになるんだろうと、楽しみと少しの不安が入り混じるような気持ちで当日を迎えました。でも何も心配いらなかったですね。全バンド気合が入りまくりで、お客さんも最高で、自分たちでいうのもアレですが、素晴らしいイベントになったなと感じています。

 

この日のランドリーズはこれまで僕が観た中で一番熱かったです。

いきなり1曲目からキュアーのカヴァー「Friday I'm In Love」で、またこれがランドリーズのオリジナルかと思うくらい消化されていてびっくり。

フレキシで共演の小林しのさんも参加した「I Call Your Name」や、7インチアナログの新曲2曲、圧巻はラストの「Balance」。凄まじささえ感じました。かっこいい!

 

そしてFor Tracy Hydeも予想に違わず素晴らしいバンドでした。

親子ほども年の離れたbとよく共演してくれたもんだ。

夏botくんやU-1くんがbを聴いてくれてたというのはちらっと聞いてたけど、ほんとだったのね。

演奏もMCも熱くて、この子達はほんとに音楽が好きで、音楽の力を信じているんだなというのがひしひしと伝わってきて、嬉しくなりました。

シューゲ好きやネオアコ好きにはもちろんだけど、マジで打倒○○係を掲げ、J-POP界を征して欲しいです。

 

 

そして僕たちb-flower。

前の2バンドがあまりに良いライブをしていたので、正直プレッシャーでしたが、僕らだって当日の朝に東京入りして、高円寺のスタジオで11時から3時間も練習したんだ、負けるもんかーという気持ちで臨みました(笑)。

 

昨年ドラムの岡部が亡くなって、新人バンドのような状態(これは冗談ではなく)になり、また1から”やり直し”となったb-flower。昨年はまさに(メンバー離脱があった)92年の頃の状態だったので、さてどこまで行けるやらと思っていました。幸い、とてもいい感じ(メンバーみんな超お気に入り)の新曲が何曲か生まれ、こうしてレコ発ライブにまでたどり着けたのは、やっぱりb-flowerを聴きたい観たいと思ってくれるファンの方の存在があってこそです。それが全ての力の源です。

 

 

僕は最近思うのだけど、バンドというのはやっているメンバーのものではなく、それを楽しみに聴いたり観たりしてくれるファンのものなのではないかと。

最近、90年代に活躍していたバンドが一時的に再結成してライブやったりというのをよく目にするけど、メンバーが生きているなら「今回限り」とか言わず、もうずっとやるべきだよと強く思います。「再結成なんてだせえ」とか思わず、存在するだけで喜んでくれるファンも多いのだから、つべこべ言ってないでやるの。時は思うほど長くはない。やろうと思ってもできなくなる日はそう遠くない。もちろんいろんな事情や制約でフルで活動はできない場合も多いだろうけど、できる範囲で続ける。今の姿を聴きたい観たいという人が10人でもいるなら、とにかくやる。そしてたとえ万一、活動再開後がぶざまでファンが減ることになっても、それはそれでいいんじゃないかなと。

まあ”過去の栄光”が大きい人ほど、再結成後の作品や活動で落胆されるかもという”危惧”が大きいのかもしれないけど・・・。

まあその点、bは”過去の栄光”がないから気楽なもんだわな、ぶははははー。

 

10/13 LIVE 高円寺HIGHのセットリスト

 

1.舟 / album「World's End Laundry」1993
2.つまらない大人になってしまった / 配信(iTunes等)のみ 2012
3.始まる、もしくはそこで終わる / album「World's End Laundry」1993
4.ペニーアーケードの年 / album「ペニーアーケードの年」1991
5.North Marine Drive / album「Grocery Andromeda」1995
6.冷蔵庫に捨てる / album「World's End Laundry」1993
7.臨海ニュータウン / album「Clockwise」1996
8.地の果てより発つ / album「b-flower」1998
9.自由になりたい / 7inch Vinyl「I wanna be free」2018
10.sparkle / 7inch Vinyl「I wanna be free」2018
11.君がいなくなると淋しくなるよ / album「ペニーアーケードの年」1991

アンコール
1.日曜日のミツバチ / ep「日曜日のミツバチ」1990
2.永遠の59秒目 / album「b-flower」1998

3.セッション with The Laundries&For Tracy Hyde:

   天使のチェインソー / album「World's End Laundry」1993

 

 

そう、この日はレコ発ライブ。

b-flower初のギタポシングルは7inchアナログ「I Wanna Be Free」ではこの日のライブでも演奏した「自由になりたい」と「SPARKLE」。

The Laundriesとのスプリットフレキシ(ソノシート)には「Another Sunny Day」のショートエディットのバージョンを。

まだ未聴の方はぜひ、どちらも手に入れてください!(ダウンロード・コード付)

https://seedsrecords.stores.jp

 

 

さて、次はいよいよアルバム完成へと進むぞ。(毎回言ってる)

今度こそやね。お楽しみに!

 

 

前回のThe Laundries に続き、今日はFor Tracy Hydeを紹介します。

と言ったものの、実は僕は彼らについては、アルバム2枚の楽曲の他、ほとんど何も知らないのです。

ネットで彼らの曲を知って、ただただ勝手に大ファンになって(それはランドリーズとの出会いと同じですね)、ランドリーズさんが以前対バンしたことがあるという縁で、今度対バンさせてもらえることになった。そんな感じ。

 

とにかく僕は夏botさんの作る楽曲が好きで、それがeurekaさんの声で歌われ、U-1さん、Mavさん、Marcyさんによってバンド音楽として世代を越えて聴き手に届く。

 

50代の僕が聴いて感じるのは、彼らの音楽の基礎にあるのは90年代から脈々と続く「シューゲイザー」や「チルウェイブ」のインディーポップのフォーマットであったり、微量の「ネオアコ」の匂いであったり、すっかりアニメ音楽との距離が近くなった「J-POP」であったり(ほぼWikipediaな説明で申し訳ない)。

 

でも僕が興味をそそられるのは、そのインディーポップのカテゴリーの部分よりもむしろ、彼らの「詞曲そのもの」と、過剰にさえ感じられる音に込められた「力」のようなもの。

彼らが他の日本の20代のバンドより圧倒的に優れているのはその2点だと思う。

 

さらに言うと、夏botさんの描く歌詞は、作詞家として(歴代の著名な作詞家やアーティストと比べても)極めて高い位置に君臨していると感じます。

 

去年の12月の時点で今回の対バンが決まっていたんだけど、僕には一つ心配だったことがあります。

2018年の10月までにフォトハイが大ブレイクして、大きな事務所がついて「はぁ?

b-flower?何それ、そんなんと対バンやってる場合じゃないでしょ!」って言われかねないこと。

幸か不幸か、10月は対バンできそうですが、今後はもうどこまで遠くへ行っちゃうかしれませんよ。ぜひ、間近でFor Tracy Hydeを観ておくべきです!

僕もフォトハイのライブを体験できるのが本当に楽しみです。

そしてその体験をもとに、また彼らの魅力について勝手に語らせてもらうつもりです。

10/13(土)高円寺HIGHでのライブイベント『another sunny day 2018』

ここで2枚の新作を先行発売します!

 

b-flower 『I Wanna Be Free』7inch Vinyl(限定300枚製作)

side A「自由になりたい」

side B 「SPARKLE」

 

『b-flower&The Laundries』7inch Flexi(限定250枚製作)

m1「Another Sunny Day(Flexi Short Edit)」b-flower

m2 「I Call Your Name」The Laundries

 

b-flowerの7インチアナログは2015年のSugarfrostからの『純真』以来、3年ぶり。

フレキシはThe Laundriesとのスプリットです。

 

ぜひ会場で入手ください!

 

ライブチケット販売窓口は 

SEEDS RECORDS オンラインストア(SEEDS特典:オリジナルトートバッグ)

イープラス

高円寺HIGH店頭

です。

詳細は主催の Friends of b-flower+Livingstone Daisy(ムクドリの会)のサイトでご覧いただけます。

今日から、今度10/13の高円寺HIGHで対バンすることになったTHE LAUNDRIESとFor Tracy Hydeについてb-flowerファンの皆さんに向け、ご紹介していこうと思います。

 

今日はTHE LAUNDRIES。

 

昨年の12月の渋谷でのライブに続き、2年連続で対バンすることになったTHE LAUNDRIES。

とにかく去年のライブは楽しかった!

b-flowerの「星狩りの夜」をカヴァーしてくれたり、一緒に演奏したペイルファウンテンズの「You'll Start a War」はかなりいい感じの出来だったと思います。

 

90年代レーベルメイトだったネロリーズやペネロープスを除いて、2度も同じバンドと対バンするのは初めてですね、たぶん。それほど僕らは彼らの音楽が好きだってこと。

 

b-flowerは2017年の1月にドラムスの岡部くんを急病で失い、もうバンドを続けていくのが困難だなと思い、一旦10月に決まりかけていたライブをキャンセルしてもらいました。完全白紙撤回というやつです。(それは本当に岡部くんも楽しみにしていた17年ぶりの東京ライブでした。)

 

岡部がいないb-flowerなんて想像ができなかったし、もうライブなんてできるはずがないと思っていました。

ただ、心にずっと「いつか必ず一緒に対バンしようね」というランドリーズ遠山さんや木村さんとの約束が引っかかっていました。

 

たぶん数年前からのその約束がなければ、新しいドラマーを「すぐに探す」なんてことはなかったと思います。

そして2017年にライブの約束がなければ新ドラマーの小林くん(昔、初代ドラマー橋本くんの代わりに一度b-flowerのライブにピンチヒッターで叩いてもらったことがあるんです)も引き受けてくれてなかったと思います。

そういった意味では、ランドリーズのみんなは僕らb-flowerの恩人でもあります。

ただ、僕らはいくら彼らが恩人だからといって、しょーもない音楽を作る奴らならくそみそにけなします。しかし、ありがたいことに、彼らの作る音楽は素晴らしいのです。

 

10/13の高円寺では新曲7インチ「Liberty」を発売予定。

現状彼らの最新作は2016年のアルバム「Synanthrope」。

実はこのアルバム発売時に僕はコメントを寄せています。

 

以下、長い引用になりますがその時の文章をご覧ください。

                                

 

越えてくるんじゃないか...。そんな予感がしていた。

 

ランドリーズとの出会いは、当時発売されたばかりの2ndアルバム「NATALIE」のダイジェストをネットで偶然見かけたのが最初でした。「うわっ、何これ!」まさに度肝を抜かれるとはこのこと。80年代、90年代のイギリスのギターバンドのサウンドを見事なまでに現代に蘇らせて鳴らしていた。こんなバンドが日本に居たのか!早速購入して聴いたところ、「音」だけでなく、歌声、歌唱、メロディ、ギターのフレーズ、バンドとしてのアレンジ、楽器のアンサンブル、楽曲の構成・展開等々、驚きの完成度の楽曲が並ぶ。そして何より僕が感じたのは、その「音楽」に込められた言葉にはできない「意志」のようなもの。このバンドはいい!

そう感じたのが2013年のこと。

 

そして2016年。今年になって、僕の大好きなスコットランドのバンドか次々にアルバムをリリースした。洋楽のロックやポップスを聴き始めて40年くらいになるけど、大好きな英国のギターバンドの中で最も好きなグループのいくつか、Trashcan Sinatras 、Travis、Teenage Fanclub の3つのバンド。どのアルバムも素晴らしくて、なんて今年は実りの多い年なんだと喜んでいました。

 

そしてもうひとつ、ニューアルバムの発売を心待ちにしていたバンド、それがランドリーズ。そう、このバンドは単に「洋楽に憧れて洋楽と遜色ない音を鳴らすバンド」や「ネオアコ、ギタボのカテゴリーの枠内で、それ風の曲を作るバンド」ではない。彼らは自らを敢えて「ネオアコバンド」と称して来た(あまりかっこいいネーミングではないのを承知で、敢えて自らをそう呼んでいるのだと思う)。日本独自のその「ネオアコ」「ギターポップ」というカテゴリーは恐ろしく音楽的に狭いうえに閉鎖的で、小さな枠で囲まれ他の世界と隔てられている。その枠内にとどまり続ける(拡大再生産を繰り返し、その枠内でウケ続ける)のはミュージシャンにとってある意味楽だけれど、と同時に苦痛で退屈なことでもある。おそらくだけど、ランドリーズのメンバーのみなさんもそれをどこかでずっと感じていたんじゃないだろうか。だからその「枠」を越えてくるんじゃないか...。そんな予感がしていた。

 

でも...僕の予想とは異なり、彼らは今回その枠は越えなかった。その代わり、なんとなんとその枠を自力で広げて見せた。この3rdアルバム『Synanthrope』にて、自らの強い意志で真正面から正攻法にてその枠を広げるという離れ業に挑戦し、見事なまでに成功したのだ。(これは本当に凄いことなんだけど、僕の言ってるこの意味、伝わってるだろうか。)もう彼らは、従来の狭いネオアコ枠に収まるバンドでもないし、もちろんイギリスのギターバンドフォロワーなんかではない。前述の Trashcan Sinatras 、Travis、Teenage Fanclub等と同等の「ギターバンドの柱」として今、堂々と大地に立っている。さらに言うと、彼らは「越える」ことなく、「超えて」きた。彼らは、Trashcan Sinatras 、Travis、Teenage Fanclubの2016年の作品を上回る作品を今回作り上げたのだ。

 

 嘘だと思ったら1曲目のイントロから歌いだしの一声まで、ほんの30秒ほど聴いてみればいい。よほどの不感症じゃない限り、誰にだってわかる。