
Walk Out To Winter / Aztec Camera
Album「high land,hard rain」1983
アズテックカメラはこのブログで触れるのは意外にもまだ2回目。
そう、ロディ・フレイムの新作Seven Dials を聴いて、いろいろ感じたもので。
アズテック・カメラのロディとの出会いは1983年、リアルタイムでアルバム「high land,hard rain」を聴いたのが最初。
僕は20歳で、いろんな音楽を貪るように聴きまくっていたころです。
77年くらいから洋楽に目覚め、レッド・ツェッペリンやディープパープルに始まり、ビートルズやストーンズ、キンクス、フー、リバプールサウンズやモータウン、ボブ・ディラン、そしてピストルズやクラッシュと、60年代、70年代の英米の音楽を中心に中学高校時代にずっと聴きまくっていました。
特にパンクにはまり始めると、それまでに結構好きだったハードロックが何だか 音がでかくてテクニックを売りにしただけの間延びしたハッタリ音楽に聴こえてきて、パンクこそが本質的なロックであり、「本当のこと」を歌ってるんだという気持ちが強くなっていきました。
でも、ピストルズが速攻解散しちゃったり、クラッシュが初期のシンプルな攻撃性のあるサウンドからレゲエを取り入れた深みのある音楽性を売りにし始めると(とても優れた音楽だとは思ったけど)、あれだけいろいろぶち上げていたのに、なんだかなぁ・・・って感じにも。
その後、80年代に入ってからはニューウェーヴと呼ばれていたロックも含め、常にリアリティを感じたくてロックミュージックを聴いていた僕の前に現れてくれたのが ラフ・トレードやチェリー・レッドという英国インディーズレーベルのアーティスト達でした。
ネオアコースティック(その後「ネオアコ」とも言われる)の元祖的なものですね。
Young Marble Giants、Marine Girls など、えーっ、この素人くささ何?!でもそれがなんかリアル。
そんな中、瑞々しさと同時に圧倒的な完成度を持って83年に弱冠19歳のロディー・フレイムを中心に1stアルバム「high land,hard rain」を発表したのがアズテック・カメラでした。
そう、僕と同世代(ロディは64年生まれ)の彼らが歌う曲も歌詞も、国は違えどとても共感できるものでした。
例えば「Walk Out To Winter」
彼らの言うことに耳なんて貸さなくていいさ
僕ら若い人間のほうが本当のことをわかっているんだから
君の部屋の壁に貼ってあるジョー・ストラマーの顔がはげ落ちる
何とはなしに貼ったのだけれど
よく考えてみると僕らが彼らから得たものって随分たくさんのこと
甘くて苦くて でも今はその甘さを飲みほして
冬へと歩き出そう 僕もきっとそうするとも
冬の冷気が君の目を覚まし 気分をハイにドライにしてくれる
(対訳:Album日本盤より)
ジョー・ストラマーとはもちろんThe Clash のボーカリスト。
この曲には僕は心を根こそぎ持っていかれました。「そーやよねー!」って。
アズテック・カメラは1st以降、アルバムを出すたびに音楽性をどんどん変化させて敢えてチャレンジし続けていきましたよね。
ブラックコンテンポラリーの色合いが強いものや坂本龍一プロデュースのものや。
僕は思うのだけれど、ロディはおそらく(ヒットしたからといって)1stアルバムと同じものを再生産しつづけていくことなんて絶対にやりたくなかったんだろうなって。
伝統芸能みたいな様式にはまっていったハードロック(ヘビメタへと)や、空中分解せざるをえなかったパンクロックや、ジジイになってしまったストーンズや、そんなものにだけはなりたくなかったんじゃないかなって。
常に変わらないクリエイティブな姿勢を保ち続けるために変わり続けていたんだろうなって。
そんな彼の8年振りの新作「Seven Dials」が今年発売に。
でも長くなったので、続きはその2に。