
はっぴいえんど
僕が はっぴいえんど の音楽と出会ったのは1980年くらいだったと思います。
この70年発表のアルバムの最初の印象は「なんか古臭くて鈍重なフォークやなあ」という感じ。
「どこが日本語ロックの草分けやねん、なんか‘です’とか‘ます’とかゆうとるし、
お正月やこたつがどうこうって全然ロックちゃうやん」という感想でした。
もちろん僕の耳が未熟だったのでそう感じたのもありますが、
もっとも大きな要因は、おそらく松本隆さんの詩にあったのだと思います。
当時(80年)、日本のロック、ポップスの歌詞の主流になりつつあったのは日本語を
英語っぽく発音して、しかも英語混じりでメロディーにのせて洋楽っぽく聴かせるという
桑田佳祐さんや佐野元春さんによる、革新的な試みでした。
そんな時代に10代の僕や周りの友達が松本隆さんの はっぴいえんど での歌詞
(というより詩)を日本文学的で古臭いと感じたのは、ある意味当然といえば当然だった
のではないでしょうか。
実際、松本隆さん自身も歌謡曲では太田裕美さんや松田聖子さんの詞などで、別の境地を
切り開いておられました。
松本隆さんの歌詞のすごさについては以前にもこのブログでもちらっと触れましたが
そんな「和風で古臭い」と思っていた はっぴいえんど の音楽と詩をあらためて
「あれ、なんかすごくカッコイイぞ」と感じ始めたのは90年代初頭。
それから数年の間に、日本の若手バンドの詞がすっかり初期松本隆氏の影響下に
流れていくのを見たり聴いたりして、とても驚いたものです。
もちろん、はっぴいえんど の作った作品が時代を超える普遍性を宿したもので
あったからこその輝きなのでしょうが、それにしても時代って不思議ですね。
・・・というありきたりな感想で今日は閉店。