今後、移植に入るべきか、採卵に進むべきか。
結論から言うと、採卵をもう一度やることにした。理由は正常胚個数の期待値を2以上に引き上げるため。
私は、貯胚した17個の胚盤胞に対し、正常胚である確率をスコアリングしている。
具体的には
A「年齢別平均正常率」に
B「形態グレード補正係数」と
C「到達日数補正係数(五日目胚か六日目胚か)」
D「精子の質が悪いことを反映する補正係数」
を乗じる。
なお計算したのは、Geminiちゃんだ。私は横であーだこーだ言っただけ。
1. Capalbo et al. (2014)
Title: "Correlation between blastocyst morphology and aneuploidy: a case-control study"
内容: 形態グレード(AA, AB, BB, CCなど)とPGT-Aの結果を大規模に調査した研究。
この論文では、40歳以上の女性において、胚のグレードが正常率にどう影響するかを具体的な数値で示している。
胚のグレード評価 染色体正常率 (Euploidy rate) 平均からの乖離 Excellent / Good (AA, AB, BA) 約 28 〜 33% 平均より +13 〜 18% Average / Poor (BB, BC, CB, CC) 約 11 〜 15% 平均より -2 〜 7% 全グレード平均 約 15 〜 20% 基準点 40歳以上の層において、良好胚(AA/ABなど)は、年齢平均よりも高い正常率を維持する傾向があることが示唆されている。これが「青(+10〜15%)」の根拠の一つ。
2. Irani et al. (2017)
Title: "Morphological grading of euploid blastocysts influences implantation and live birth rates"
内容: 染色体が正常だとわかっている胚(ユープロイド胚)の中でも、形態が良いほど着床率・出産率が高いことを示した論文。
根拠のポイント: * グレードが高い胚(A評価を含むもの)は、見た目の良さだけでなく、細胞分裂の質そのものが高いことを示唆している。
統計的に、評価が1段階(A→B→C)下がるごとに、期待値が一定割合で減少するモデルのベースになっている。
3. Zhao et al. (2018)
Title: "Relationship between blastocyst morphology and chromosomal abnormality rate"
内容: 胚盤胞の「内細胞塊(ICM)」と「栄養外胚葉(TE)」のグレードが、それぞれどう正常率に寄与するかを分析。
根拠のポイント: * 特にTE(外細胞)が**「C評価」の場合、A評価と比較して正常率が有意に低下(マイナス補正の根拠)**することを示している。
よって
| 評価 | グレード | 補正係数 (Cmorph) | 意味合い |
| 青 | AA | 1.3 | 平均より 30%向上 させると設定 |
| 緑 | AB / BA | 1.2 | 平均より 20%向上 させると設定 |
| 青/緑 | BB | 1.1 | 平均より 10%向上(ほぼ標準) |
| ピンク | Cを含む | 0.6 | 平均より 40%低下 させると設定 |
Cの具体的な係数の設定は以下の通り。
| 到達日数 | 補正係数(Cday) | 意味 |
| Day 5 | 1.0 | 基準値(年齢×グレードの確率そのまま) |
| Day 6 | 0.6 〜 0.7 | 30〜40%の減衰を適用 |
1. Minasi et al. (2016)
Title: "Correlation between aneuploidy, standard morphology evaluation and morphokinetic theory in 1224 human blastocysts"
この論文は、1,224個の胚盤胞をPGT-Aで調査した非常に信頼性の高いデータ。
エビデンス:
Day 5 胚の正常率: 44.4%
Day 6 胚の正常率: 26.7%
計算上の操作根拠:
Day 5 と Day 6 の間には、統計的に有意な差(P < 0.001)があり、Day 6 は Day 5 に比べて正常率が 相対的に約40%低い ことを示している。これが「Day 6 = マイナス補正」の最大の根拠。
2. Taylor et al. (2014)
Title: "Normalcy rates of Day 5 vs Day 6 blastocysts"
エビデンス:
Day 5: 56%
Day 6: 38%
計算上の操作根拠:
こちらも同様に、到達日数が1日遅れることで正常率が約 1/3(32%)減少 することを示している。
Dは夫の精子の状態によって、マイナス補正をかけている。
• フェーズ1(1, 2回目): 0.90 (10%減)
• フェーズ2(3, 4回目): 1.00 (補正なし)
• フェーズ3(5, 6回目): 0.80 (20%減)
1. 空胞精子(Vacuoles)の影響:Cassuto et al. (2012)
Title: "How to assess the quality of the sperm cell before ICSI? Decisions, Decisions!"
エビデンス: 精子頭部の空胞の大きさや数に基づいて精子をスコアリングし、その後の胚発育を調査。
数値の根拠: 高スコア(良質)な精子と比較して、空胞がある低スコアな精子を用いた場合、胚盤胞到達率が有意に低下し、さらに「胚の質」も大幅に低下することを示している。
補正への適用: 空胞「多数」の場合、胚のポテンシャルを 相対的に10〜20%下方修正 する妥当性を示唆している。
2. 精子DNA断片化(SDF)と正常率:Sánchez-Martín et al. (2014)
Title: "The effect of sperm DNA fragmentation on the aneuploidy rate of the early embryo"
エビデンス: 精子のDNA損傷(SDF)が激しいグループと、正常なグループで、PGT-Aの結果を比較。
数値の根拠: SDFが高い精子を用いた胚では、染色体異常(異数性)のリスクが有意に高まることが報告されている。特に「41歳以上の卵子」と「SDFが高い精子」が組み合わさった場合、卵子側の修復機能が追いつかず、正常率がさらに押し下げられる傾向がある。
補正への適用: 5, 6回目のような「精液所見が極めて悪い(=SDFが高い蓋然性が高い)」周期に対し、20%の相対的マイナス補正 をかける科学的な根拠になる。
3. 未成熟精子の影響:Chemes & Rawe (2003)
エビデンス: 精子の未熟性(フェーズ3の「未成熟精子多数」に該当)と受精後の発育について。
数値の根拠: 未成熟な精子は染色体凝集が不完全なことが多く、受精はしてもその後の分裂で染色体分配に失敗する確率が高まる。
ちなみに、当然、ここで、「精子の質の悪さは、既に胚のグレードや胚盤胞到達速度に反映されているのではないか」、という疑問が浮かぶ。Geminiちゃんに聞くと、以下のような返答だった。
1. 「見た目」に出る影響(反映済み)
精子のダメージによって細胞分裂がスムーズにいかない場合、以下のような結果になる。
分裂が遅れる(Day 5にならず Day 6になる)
細胞の形が不揃いになる、フラグメンテーションが増える(グレードが下がる)これについては、君の言う通り 「Day 6評価」や「C評価」という時点で、すでに精子の質の悪さが結果として数値に現れている と言える。
2. 「見た目」に出ない影響(反映されていない)
ここが怖いところで、精子のDNAに傷があっても、**「見た目は完璧(Day 5 AA)なのに染色体が異常」というケースが存在するんだ。これを「隠れた paternal effect(父性効果)」**と呼ぶ。
胚盤胞の「自浄作用」の限界: 胚盤胞まで到達できる胚は、ある程度の「育つ力」がある。しかし、精子由来の染色体断片の欠失や重複は、胚盤胞の見た目(形態グレード)を損なうことなく入り込んでしまうことがある。
エビデンス: Borges et al. (2018) の研究では、「精子の質が極めて悪い群」と「正常群」を比較したとき、同じ最高ランクの胚盤胞(AA評価)であっても、精子の質が悪い群の方が正常胚率(ユープロイド率)が有意に低いという結果が出ている。
よって、精子によるマイナス補正をつけて計算することにした。(文字数制限により続く。)