結論から言うと、「PCOSゆえの、卵巣内での局所的なDHEAのアンドロゲンへの過剰変換・アンドロゲン感受性の高さを仮説し、DHEAを飲まない」という実験をしてみることにした。

 

 今のクリニックに来てから4回の採卵をやった。その中で今でも、ひとつだけ解せないことがある。それは採卵数が採卵決定日の卵胞数と比較して低いこと。過去すべての採卵でその傾向があれば、体質として、もうこれは私個人の所与の条件だ、と受け入れるべきかとも思う。しかし、他のクリニックでやった採卵が一回あるのだが、その時の卵子回収率が高いのである。採卵日決定の診察日に見えた10ミリ以上の卵胞数が13、取れた卵子数16、成熟卵数15(過熟卵1)。卵子回収率115パーセント。


(その時の卵巣刺激スケジュール)


(その時の採卵結果、凍結結果報告書)

 

その時と卵巣刺激の薬剤を同じにし、トリガーをかけるタイミング、トリガーのかけ方は、現在のクリニックの某氏(二名)の力を借りて最善のものにしてきた。採卵術の方法も、両クリニックは同じだ。それでもここでの卵子回収率はその半分程度だ。他のクリニックでの採卵から、今のクリニックの採卵開始まで一年一か月の期間が開いた。そのぶんの老化がその差異の要因のすべてなのか。

 

 まだ考えるべきことはある。

サプリメントを比較してみよう。当時の日記やサプリメントの購入履歴をたどり、現在飲んでいるサプリメントと比較することにした。他院の採卵時に飲んでいたサプリメントは "baby and me" のビタミンDとマルチビタミン、それに "AOZA" とリポソームビタミンC、乳酸菌サプリメントのみ。過去と現在とで一致しないサプリメントの作用・副作用をAIに調べさせた。

(当時のサプリ購入履歴。通院開始時から採卵まではずっとビタミンDとマルチビタミンをクリニックで購入していたようだ。)


そこで気になったのが現在のクリニックの血液検査後、つまりここでの初回採卵の数週間前から飲み始めたDHEAだ。

DHEAは

・AMH低値

・卵胞が育たない

・反応不良(POR)

の場合助けになる薬。

 

しかし

・AMH高値

・PCOS

の場合アンドロゲン過剰のリスクがある。

 

処方の経緯を思い出してみる。やみくもに処方されたわけではないはずだ。このクリニックの初診時に受けた採血で、DHEA-Sの数値が、基準値200 ㎍/dL以上 のところ 118㎍/dLしかなかったためだ。 DHEAの処方をしてくれたのは若い女性医師だったと記憶しているが、卵巣の前駆ホルモン不足ゆえにDHEAの補充を考えたのだろう。処方判断としては教科書的で間違ってはいない。


 

 

 

 では、DHEA-Sが低値ならば卵巣内のアンドロゲン過剰のリスクはないと言い切れるのだろうか。

 DHEAの作用機序を調べることにした。

DHEA-Sはロックされた形(硫酸基が付いた形で、安定、水溶性、長期保存型)でそのまま卵巣で作用するわけではなく、卵巣では顆粒膜細胞と莢膜細胞が連携し、DHEA-SをDHEA(非硫酸型)に、それをアンドロステンジオンに、さらにそれをテストステロンに変換し、使える形にして使っている。しかも、この変換は卵巣の中で局所的に、少量ずつ行われている。ポイントは、血液検査は、副腎で作られ、輸送ルートである血液にのっているDHEA-Sの量を調べているのであって、卵巣という卵子を作る工房内のアンドロゲン(テストステロン、アンドロステンジオン、DHEAなどの男性ホルモンの総称)の総量をしらべているのではないということ。両者の数値には乖離が起こりうる。

 また、PCOSの傾向があると、

・卵巣の酵素活性が高い(アンドロゲン変換が盛ん)

・アンドロゲン感受性が高い

・顆粒膜細胞の反応が不均一

という傾向があるようだ。

 

 そこにDHEAのサプリメントを足し、

・血中DHEA-Sは少し上がる

・血中テストステロンは正常(そもそもDHEA-Sが118㎍/dLのときからテストステロンは正常値)

・卵巣内のアンドロゲン濃度は過剰

ということが起こってはいないだろうか。

卵胞内のアンドロゲン濃度が過剰に上昇することが起こり、「卵胞は膨らむけれど、卵子の減数分裂・成熟が追い付かない」ゆえに「卵胞は見えているのに取れない」ということにつながっているということはないだろうか。

 

 この仮説を検証したくなった私は、すでに卵巣刺激三日目までDHEAのサプリメントを服用していたが、四日目からやめてみることにした。そして次回の通院日に、某氏のどちらか(その日いらっしゃるほう)に、この実験はやってみる価値があるか聞いてみようと思う。

(今回、私は勝手にDHEAの服用をやめていますが、これはDHEAがサプリメントに類するものであるからで、ホルモン剤などの薬に関しては絶対にやりません。皆さん、薬に関しては、まず医師に確認の上、OKが出た上で服用中止は実行するようにしましょう。)

 

 とんでもなくあきらめの悪いバカな奴がいるな、と呆れた方も、なんとなく面白いなと思った方も、この実験の顛末を知りたいと思った方は見届けてくださるとうれしいです。

 

改めまして、

あけましておめでとうございます。本年度もよろしくお願いします。