我が夫の精子は一見、生きが良いのだが、ざっくり見ると直進率が悪く、更に高倍率の顕微鏡で拡大して見てみると、半分くらいの割合で頭に穴が空いているらしい。
また、我々夫婦は毎回受精方法として顕微授精と体外受精の併用をしているのだが、顕微授精をしたものに比べ、体外受精(ふりかけ)からできる胚の3日目の質のムラが激しい。3日目の段階で評価の良いものは必ず胚盤胞に残ると言ってよいくらい生命力があるのだが、悪いものは3日目時点で胚盤胞にならないことがわかるくらい悪い。体外受精と顕微授精にまわす卵子はランダムに振り分けているようなので、体外受精群の胚の質のムラは、精子選別のムラと言って良いだろう。
要するに、おそらく我が卵子たちは、頭が空砲の精子がやってきたとしても、
「オラオラァ!入れてくれよぉ!」
と押しの強い態度で来られると、
「私のこと好きなの? うふーん(はあと)」
と結局受け入れてしまうようなのだ。
一つ一つが手塩をかけて必死に育てた卵子なのだから、精子を吟味して受け入れてほしい。
しかしながら卵子に教育はできないので、今周期は2:1で顕微授精の割合を多くしてみた。胚培養士が相手を決める、言ってみれば「強制お見合い」だ。
不妊治療で、もしも娘が産まれた暁には、何をおいても、「誰でも彼でも簡単になびくんではありません。」と貞操観念の教育を忘れぬようにしたい。