ここまで、シュタイナーの語ったことを、いくつかに分けて書いてきました。
①人間を構成する4つの本質について
②眠りと死について
③輪廻転生(前世)について
④死後について
⑤再び生まれる時の心と肉体について
ここから、シュタイナーの人生の眼目だった「運命(カルマ)」に入ります。
謎を知ることで生きる力と希望を得る
カルマの法則は、人間の真実の運命の法則です。
それを知ることで、初めて人生は理解可能なものになります。
カルマの法則は、不可解なものを理解可能なものにし、私たちが人生を生きる上での、行動のちからと、確かさを与えます。
「なぜ、子どもはさまざまな境遇の下に生まれるのか?」
という、人生の大きな問いに、カルマの法則は答えを与えます。
ある子どもは裕福な家に生まれ、才能に恵まれ、愛情に包まれて育ちます。
べつの子どもは、貧しい家に生まれ、才能にも恵まれず、たいした人生が送れないことが予定されているように見えます。
あるいは、才能があっても、その才能を伸ばす機会が得られそうもない子どもがいます。
これは、人生の謎です。
力と希望を持って人生を生きるために、人間はこの問いに答えなければなりません。
この問いに対して、カルマの法則はどのような答えを出すのでしょうか。
原因と結果の法則は見えない世界も同じ
人間が輪廻転生していくことを、私たちは知りました。
子どもは、はじめて地上に誕生するのではありません。
子どもはすでに何度も地上に生きてきたのです。
私たちの身の回りに存在するものは、すべて原因と作用の関係のもとにあります。
そのことは、誰もが認識しています。
自然の中には、大きな原因法則が支配しています。
この法則を精神世界に移したものが、カルマの法則なのです。
法則はどのように働いているでしょうか?
水を入れた容器がふたつあるのを想像してみてください。
そのひとつに赤く焼けた鉄球を入れると、水は音を立てて沸騰します。
その鉄球を取り出して、もうひとつの容器に入れてみると、もう水は沸騰しません。
同じ鉄球を入れたのですから、ふたつめの容器の水も沸騰しても良さそうなものですが、この鉄球自体が最初の容器に入れた時点ですでに冷え、灼熱していないために、二回目の水を沸騰させることはないのです。
では、熱せられた球と、一度水に入れられた球を、どちらも板の上に置いてみるとどうなるでしょう。
熱い球はその熱で板に穴を開けますが、冷やされた球は板に穴を開けることはありません。
鉄球を最初に「水の中に入れた」という事実が、その球の、その後の作用にとって、大きな意味を持ってくるのです。
このように、人生においても、原因と作用はつねに関連しています。
これからどのようなことが生じるのかは、先に起こったことに依存しています。
↑おおよそ、この本からの抜粋です。
(薔薇十字会の神智学も参考にしています)
昨日まで書いた「分身律」。
はからずも、次に書こうと思っていたシュタイナー記事にちょうど繋がる内容でしたね。
前回の
分身律という、違う登山口から登ってきましたが、着地点は間違ってなかったのかも知れません。