人生を超えて運ばれるもの
前回、前世で優れた数学者だったひとは、現世ではまったく数学の才能がない、と書きました。
例外もあります。
前世で特別の才能を持ちながら若く死んでしまい、その才能を十分に発揮できなかった人がいたとします。
そのようなひとは、前世から継続した才能を持って生まれてきます。
しかし、老年まで生き、才能をじゅうぶんに発揮したひとは、次の人生ではそれが不得意になるのです。
ひとつの人生から、次の人生へと移っていく(持っていく)ものは、「最も内的な心魂の核」だけです。
私たちにもたらされる、外的なもの(能力的なもの)は、生まれてから死ぬまでの(一回だけの)人生に結びついていて、それと同じものが次の人生で再び現れるということはありません。
それは能力ではなく「ちから」に変化して、来世にもたらされるのです。
あの世(神界)での人間の過ごし方①
人間は「体(肉体)・生命(エーテル体)・心(アストラル体)・魂(自我)」からできているというのが、シュタイナーの精神科学=人智学の基本です。
人間が死を迎え、エーテル体がアストラル体と自我と一緒に肉体から離れてすぐの過ごし方については、以前書きました。
死の扉をくぐった魂は、神界・精神の国に入っていきます。
神界ってどこにあるの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
神界・霊界は、つねに私たちの周囲に存在しています。
これはほんとうのことです。
肉体を捨て去ったひとびとの魂もすべて、私たちの周囲に存在しています。
死者たちは、生きているときと同じように、明るい意識を持っていて、私たちの周りで働いているのです。
彼らは(死を迎えた後の私たちも)、高次の存在の助けを借りながら、地球の進化のために創造的に働きかけています。
よく言われるように、死者たちは至福の内に安らいで、夢の中に生きているのではありません。
死後の生活も、この地上の生活と同じく、活動的なのです。