<第五章 自主回収 1>
「佐藤、スマート電気の鈴木さんから電話!」
「あっ、誠、いそがしいところごめんね。実は、マナナ化粧品の美白化粧水で、皮膚トラブルが複数件発生して、自主回収するみたいなの。『ウェーブ・フレグランス』は、芳香柔軟剤なので、直接の影響はないとおもうけど、一応、連絡しておこうと思って」
「それは、大変だね。マナナ化粧品の加藤課長や吉田さんは大丈夫なの?」
「二人とも事業戦略部なので、顧客対応はしていないみたいなんだけど、お取引先からの問い合わせへの対応で、仕事にならないみたい。その合間に、中村課長に連絡をしてくれたの。」
「分かった。山本さんにも報告しておくよ。何か原因の推察は出来ているの?」
「加藤課長の話によると、どうも5年以上前に製造したリニューアル前の製品が、ディスカウントストアで安く売っていて、それを買ったお客様から皮膚トラブルのお申し出があったらしいの、旧製品だったし、ロットを調べたら、5年前の商品だったこともあって、内容物を分析したところ、微生物などは、認められなかったものの、若干酸化していたみたいなの。お申し出が3件あったことから、ホームページで告知して自主回収することになったんだけど、消費期限が書いていなかったことについて、一人のお客様が怒っているらしいの。」
「そうか、そういうことなら、大きな問題にはならないと思うけど、全てのお取引先様に状況をご理解いただくためには、数日かかりそうだね。」
「そうなのよ。電機メーカーの品質管理も大変だけど、化粧品メーカーは、経過した時間による変質も起こるので大変ね。」
「分かった、情報ありがとう。また、新しい情報が入ったら教えてくれる? でも、処方の不良や、工程不良じゃなくて良かった。マナナ化粧品は、研究開発力に定評があるし、品質管理も厳しいので、驚いたけど、早く収束すると良いね。」
「そうね。『Shall We Project』で、多くの会社とコラボレーションするようになると、電器メーカーの商品だけでなく、ケミカル商品や食品分野のことも勉強しておいた方がよさそうね。大変だ!」
「まあ、これも自分たちを成長させるためのチャンスだと思って、頑張ろう!」
「わかった。またね。」