<第四章 効果的な食べ物 4>
顧客のヘルシー志向に支えられ、業績が向上している『メトロ・サンドイッチ』に対し、同じ外食チェーンの傘下にある『ダラス・ハンバーガー』は、2期連続の減収減益に、業績予想を下方修正していた。
『ダラス・ハンバーガー』は、メインのハンバーガー以上に、揚げ立てでもべたつかず、時間がたっても軟らかくならないフレンチフライが売り物だが、これは、常温で固体化する牛脂から作ったショートニングのおかげであった。しかし、このショートニングは、悪玉コレステロールを増加させ、善玉コレステロールを減少させるトランス脂肪酸を多く含み、心臓病発症のリスクが増大する可能性があると指摘されていた。
ダラス・ハンバーグは、安くてボリューム感のあるメニューが魅力で、中高生や、若い主婦などに支持されていたが、このような指摘がニュースで流れてから、イメージが徐々に悪くなり、業績不振に至ったという評価が一般的であった。
由美子と誠は、ダラス・ハンバーグの北千住店を訪れた。サイクロン・ミキサーで、メトロ・サンドウィッチ』の売り上げ向上に少なからず貢献したプロジェクトチームにも、サイクロン・ミキサーの導入依頼と、ダラス・ハンバーグの売り上げ向上プロジェクトのブレーンストーミングに参加要請が来ていたのだ。
「ねえ、誠、『ダラス・ハンバーグ』は、『メトロ・サンドウィッチ』と同じ外食チェーンの傘下とは思えない程、お店の状態が悪いわね。床のPタイルはすりへって、下の層が露出しているし、建具の角は、塗装がはがれているわ、それに、さっき店員さんが、店の中央にある扉を開けて、中から清掃道具を取り出していたけど、清掃道具が入っている倉庫が、フロアから見えるところにあるというのも、残念なレイアウトね。」
「確かに、そうだね。他の店はどうかわからないけど、売り上げの悪さは、健康志向に乗り遅れただけではなく、店の衛生状態や、くつろげない雰囲気にあるのかもしれないね。フロアの喧騒も、落ち着かない雰囲気に繋がっているけど、音を反射しやすい建材にも問題があるかもしれないね。」オーディオマニアでもある誠は、Pタイルの床、ツキ板張りの壁や天井にも問題を感じだようだった。