その後、おなじ朝日 ソノラマ文庫 で発刊されていた 夢枕獏 の キマイラ・吼 シリーズを読む耽ったのですが、それから、高千穂遙 の クラッシャージョウ 以外のシリーズに出会うことができました。
タイトルは、美獣―神々の戦士― 。
北欧神話 をベースとした、高千穂遙 の本格ヒロイックファンタジー小説です。
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強風が吹き荒れる厳寒の大地を、逞しい体躯の若い男が歩いていた。名はハリィデールという。
彼は、南方のヨードルの村を出て、この地に足を踏み入れ北上してからの10日というもの、兎とトナカイ以外の動物を目にしていなかった。
白夜であるとはいえ、凍てつく気温ではあるが、強靭な筋肉が外気を遮断しているかのように、ハリィデールに寒さを感じる表情はない。
そんな中、微かな擦過音を感じたハリィデールであったが、その直感のとおり、彼は三頭の狼に囲まれていた。
しかし、この程度の狼では、彼の前には敵ではなかった。
数瞬後、狼たちは四肢を痙攣させて、絶命していた。
その戦いを終え、気付くと、ハリィデールはフィヨルドに行き着いていた。
そしてその絶壁の先に、ぼんやりとではあるが、明かりが見えた。村があることは明白であった。
人恋しさに、本来なら喜ぶべきであるが、しかしなぜか微かな逡巡が、ハリィデールの脳裏を過ぎった。
その予感は、ある意味で、的中した。
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この時点では神話など読んだことはありませんでしたので、その世界観に非常に感動してしまった次第です。
後々になって、北欧神話の世界観をリスペクトしていることを知りましたが、北欧神話=高千穂遙という、間違った、いわば狭い視野が出来上がってしまったのは言うまでもない、そんなトホホな次第です。
ともかく、高千穂遙はクラッシャージョウ という世界しか知らなかった私にとって、ジョウとは全く違う世界観とヒーロー像に、打ち据えられてしまったのです。
とはいえ、これを予備知識として、後に読んだ北欧神話が予想以上に頭に溶け込んでいったのも事実でありますが・・・。
本書は上下巻の構成で一本の話となっていますが、ハリィデールも知らなかった彼自身の正体が、単体のエピソード重ねるごとに徐々に明かされてゆくというスタイルで、一気読みする楽しさもあり、ここのエピソードを少しずつ読み進めるという愉しみもあり、読書スタイルの選択肢が多いのも魅力かもしれません。
25年以上前の作品であり、加えて、ほとんど再版もなかったようですので入手はし難いようですが、和製ヒロイックファンタジーを愉しみたい方は、是非ご一読されることをオススメします。
今日はここまで。
美獣―神々の戦士〈上〉 (集英社文庫) (文庫) 高千穂 遙(著)
美獣―神々の戦士〈下〉 (集英社文庫) (文庫) 高千穂 遙(著)
