短編などは、収録されている本を探すのがまず困難で、挙句、収録された本が発行されていなかったりなんてこともありますが、ここでは、一作品が一ファイルになっているので、検索もしやすく、お気軽に読むことが出来ます。
一部はWEBからそのまま読むことができるのですが、ファイルをダウンロードすることもできます。
そのファイルは、テキストエディタ等で見ることもできますが、専用のビューワーソフトをインストールすることで、縦書きだったり、ルビがふられたりして、文庫本感覚で読むこともできます。
さて、このサイトを愛用するようになってから見つけた逸品があります。
それが、桃太郎、です。
作者は、あの文豪、芥川龍之介 です。
読む前は、『桃太郎の原作は芥川龍之介だったの?』と、早合点してしまいましたが、違いました。
昔話の名作、桃太郎を芥川龍之介 独自の視点で描いた作品でした。
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桃から生れた桃太郎は、鬼が島に、鬼の征伐へ行く事を思い立った。
爺さん婆さんに背中を押され、黍団子を持ち、犬猿雉を従えて、鬼が島に向かった。
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まぁ、改めて書くストーリーではありませんね。
というわけで、今日はここまで・・・。
てー、あの芥川龍之介 が、そんな昔話を、そのまま焼き直しをする筈がありません。
ストーリーはそのままに、キャラクターや世界観を変えた設定になっています。
まずは、この物語の主人公である、桃太郎。彼の性格が、かなり、えげつないのです。
そもそもの出発点である、鬼の征伐に行く動機が、いわゆる野良仕事をしたくないからだったり、
出発した直後にやってくる犬が、黍団子を見て、
「一つ下さい。お伴しましょう。」
と言ったのに対して、
「一つはやれぬ。半分やろう。」
と言ってしまう、見事なケチぶりを発揮しています。
また、これはさすがというべき点なのですが、この物語の世界観が、人間よりも、鬼の側の視点が重視されているのです。
文中に出てくる鬼の母の言葉が、的確に、人間を皮肉っています。
「人間というものは角の生えない、生白い顔や手足をした、何ともいわれず気味の悪いものだよ。(中略) うぬぼれは強いし、仲間同志殺し合うし、火はつけるし、泥棒はするし、手のつけようのない けだもの なのだよ」
えらい言われようですが、なかなかに、耳の痛いお言葉です。
その後、鬼が島へ渡って、終盤に向かうわけですが、そこでも、人間の一方的な見方、傲慢、ご都合主義を、鬼の目線で痛烈に批判しています。
その後訪れるラスト、あの犬さえも、桃太郎に染まり、完全な悪者となり、かなり残酷です。
聞きなれた昔話のような、平和な終わり方では、決してありません。
桃太郎で表現される人間社会は、ある意味現実であり、それは、血で血を洗う、血塗られた世界なのかもしれません。
レッドクリフ が、やはり平和なお話だったと思えるほどの。
今日は本当にここまで。
↓物語のWEBページにリンクしています。ぜひご覧ください。
桃太郎[芥川龍之介]
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/100_15253.html