10年くらい前に家電がホームネットワークに繋がるという話がちらほらと出てきていた。家の中がネットワーク化されるためには、複数の家電がネット接続されないとメリットが出ないので、そう簡単には実現しないだろうなあと思っていた。ところが10年経って、家の中のテレビ、Blu-rayプレーヤー、コンポ、ゲーム機などには普通にWiFi機能が搭載されている。仕事用の机に置かれているNASの中に記録されている写真や動画をリビングや寝室、浴室で楽しむ、ということが日常的になってきた。

AV機器とIT機器すべてをネットワークに接続していくということを考えると、かつてソニーの出井さんが提唱したデジタル・ドリーム・キッズというコンセプトが思い出される。既に事業譲渡してしまったVAIOは元々はVisual Audio Integrated Operationの略称だとか言われていた。しかし、結局ソニーがやろうとしていたことに近づいているのはAppleだったりする。衰えたとはいえ元々世界トップクラスの家電メーカーだったということもあり、ソニーからはtorneやnasneのような結構使いやすいネットワーク機器も出てきている。nasneは録画した番組を外出先で視聴できることもあり非常に使い勝手が良い。

ソニーといえば米国ではクラウドゲーミングのPlaystation Nowやクラウドテレビ視聴のPlaystation Vueが発表されている。
http://www.famitsu.com/news/201401/08046142.html
http://www.famitsu.com/news/201411/13065637.html
テレビを使ったエンターテイメントをネットワーク上で利用するということを強化しているようだ。

リビング内のIT化を使いやすく実現できた例はまだ無いと考えている。米国のIT企業大手からはApple TVやChromecastみたいなものは出てきているが、使い勝手や視聴できるコンテンツがまだ限られていることもありさほど流行っていない。リビングルームではまだ強みが活かせるのではないかと感じる。torneやnasneも国内展開のみだが、使っている人の評判はすこぶる良い。トップテレビメーカーとして活躍していた頃のノウハウがまだ活きているのだろうか。

ソニーといえばカメラ事業は今でも順調に見える。ミラーレスや一眼レフ、ハンディカムで撮影したものはPCで管理されることが多い。PCに蓄積されてしまうと個人で楽しむ分には問題ないが、家族で楽しむ時に色々と問題が生じる。PCを使えない家族が自分で見ることができない、スマホやタブレットに写したとしてもみんなで見るにはちょっと画面が小さい、等など。誰でも使える+大画面という点では現在でもテレビにまさる機器は無いのではないだろうか。

写真をテレビで見るという観点ではバッファローの”おもいでばこ”という製品はかなり使いやすい。写真を蓄積する整理するという点に重きが置かれており、老人でも子供でも簡単に使えるというコンセプトで作られている。
http://omoidebako.jp/

こういう製品はカメラもテレビも持っているソニーなら作れるのかと思いきや、以前パーソナルコンテンツステーションという製品を開発して、あまり売れないという状況になっている
http://www.sony.jp/pcstation/products/LLS-201/
こちらの製品、見た目はオシャレ感があるのだが、使い勝手は・・・という感じである。写真を管理するソフトウェアPlay Memoriesも出しているが、こちらも・・・という感じである。カメラメーカーでもテレビメーカーでもないバッファローが使いやすいフォトストレージを開発できて、カメラもテレビも作っているソニーが作れないとはどういうことだろう。

torneやnasneで家庭内機器のネットワーク化を図り、PS Now / Vueでエンターテインメントのクラウド化を実現しているソニーであればもっと使いやすいホームサーバーを作れても良さそうだが。かつてPS2は家庭内の全てのコンテンツをコントロールしようとしていた。そのためにIBMや東芝と協力してCELLというモンスターCPUも作った。現時点でもデジタルドリームキッズというコンセプトの実現に一番近い位置にいるのはソニーだと個人的に思っている。