自費診療と保険診療について

 

No.1でご紹介したモニター患者様のような

術後感染が発症し、

入院管理が必要となる場合の費用についてです。

 

感染から8ヶ月、

どのような事情があったのかわかりませんが、

適切な処置が行われなかった結果

重篤な鼻閉、瘢痕増殖にともなう拘縮、

アップノーズを発症し、

鼻中隔部には

鼻腔内気道を閉塞する膿瘍を含む腫瘤が

できました。

 

<MRI画像>

感染した鼻中隔

健康な鼻中隔

 

一般的に美容外科手術の修正手術や

それに起因する症状の治療については、

厚生労働省は「自費診療で」と定めています。

税金で美容の患者の面倒はみない、

とも言えますが、

税金で失敗した医師の尻拭いはしない、

とも言えるかもしれません。

これがこの国のルールです。

現場ではそれに従っています。

 

しかし実際には線引きが曖昧なところがあり、

「このレベルなら保険診療でも良いのではないか」

「この程度では保険にするべきではない」

と議論になることはしばしばあります。

「症状によっては現場の判断で、

限定的に保険で対応すべき」

という声も聞きます。

 

美容外科手術は

あくまで個人の意思に基づき

リスクを承知で受けるものですが、

もし現在のような美容外科業界の状況で

傷害レベルの被害を受けた方々が

保険を使えるようになると、

手術で患者様に損害を与えた

前医は丸儲けのまま、

その医師たちの尻拭いが

税金で行われることになります。

 

たとえ保険診療で医療が受けられたところで、

患者様の苦しみは変わりません。

仕事もできず、学校にも行けず、長い治療となり、

保険とは言え、費用負担も発生します。

税金を使って一番得をするのは患者様ではなく、

責任を果たせなかった医師です。

 

また、美容手術の結果は主観に左右されますので

これを保険で修正するというのは無理がありますが、

実際は保険で治療すべきだと感じる

深刻な修正ケースも年に数名ほど来院しており、

保険診療の壁を痛感することがあります。

 

「保険で治療してあげたい」という考えは、

一見患者様のために思えるのですが、

患者様の治療負担は0になるわけではありません。

正しい美容医療を提供できなかった前医が

責任を修正医に丸投げして、

無傷で責任から逃れるのでは、

業界の発展・向上を阻害するのも目に見えています。

 

むしろ自費治療における修正費用を

前医に支払わせる判定機関をつくることや

患者様の感染治療費(特に入院が必要なケース)や修正再建費用を

カバーする任意美容医療保険をつくることが必要かと思います。

 

 

*こちらの記事はモニター患者様の前医とは一切関係ありません。

一般的なお話を書かせていただきました。

 

 

銀座すみれの花形成クリニック

 院長 横山才也

日本美容外科学会(JSAPS)専門医

 

日本形成外科学会専門医

 

日本形成外科学会 美容外科分野指導医


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