子宮内膜症について(その3)
よくホルモン剤と聞くと、副作用を心配する人がいます。
確かに容量の多いホルモン剤では、乳癌や子宮体癌、また血栓症などの発生率が上昇するという報告があります。
しかしながらLEP製剤は、自らの卵巣で産生されるホルモン量よりもかなり少ないので、逆にその発生率を下げる可能性まであるかと思います。
また、これはピルを使用している人で報告されていますが、排卵回数が少なくなるため卵巣癌の発生率も下がることが予想されます。
もう1つある心配が、毎月生理が来ない事に対する不安です。
これが最大の思い込みで、生理は毎月来なくてもいいのです。
一昔前、生理の回数は今の3分の1ぐらいでした。1度妊娠すると妊娠期間中の10ヶ月、その後の授乳期間の半年から1年は生理が止まった状態でした。合わせたら1年半から2年近く生理はありません。それでも授乳をやめれば生理は再開しまた直ぐに次の妊娠をしてしばらく生理が止まりを繰り返していました。
勿論、薬で止めるのとは全く同じではありませんから単純には比較できませんが、それぐらい来なくてもいいものであることは先人たちが証明しているのです。
ですから、薬で4ヶ月に1度しか生理が来なくなることを過度に気にする必要は無いと思います。それよりも子宮内膜症や月経困難症をコントロールして日々の生活を充実させ、将来不妊症にならないようにすることの方が大切かと思います。
残念ながらすべての方がLEP製剤を使用できるわけではありません。
また必ず120日間連続使用しなければいけない訳ではありません。2ヶ月に1回ぐらいは生理を起こしておきたい、その方が安心という方はご自分の希望で60日使用して止める事によりそのようにコントロールする事も可能です。
まずはお近くの婦人科を受診し、現状の卵巣の状態を確認してもらった上でご自分に合った使用方法を相談する事が大切です。
今回は直ぐに不妊治療につながるテーマではありませんでしたが、何事も予防が大切という事で書かせていただきました。
Clinique de l’Ange
院長 末吉 智博