今回のテーマはタイトル通り『肉と刺身に電気を流す話』です。

 

 

実は私には、8年ほど前から肉や刺身の下処理として電気を流す習慣があります。

 

Dr.Stoneの作者クラレさんの書籍『アブナイ理科の教科書』の影響です。

(どこかの記事で書いたような気も...)

 

 

通電熟成法と呼ばれるこの手法は、麻布大学の獣医学部で2001年ごろに、鶏胸肉の風味向上のために考案されたようです。

https://www.azabu-u.ac.jp/topics/pdf/20080122_tuuden.pdf

 

 

鶏胸肉がパサパサする理由

スーパーの鶏胸肉はあまり人気がありません。

 

その理由は、肉汁の少ないパサパサした食感。

 

もも肉に比べて圧倒的に旨味も水分も少なくなってしまいます。

 

 

実は、鶏胸肉の肉汁は、鮮度最優先の解体手法の過程によって大量に捨てられてしまいます。

 

胸肉はサイズが大きく、早い段階で骨から切り離すのですが、この時にどうしても大量の旨味成分が流出します。

 

さらに、骨を外してから死後硬直が始まるため、残ったわずかな肉汁(ATP)も消費されてしまいます。

 

 

そこで、麻布大学の開発した通電熟成法は、胸肉に肉汁を残すため、骨をつけたまま電気を流します。

 

 

骨付きの鶏胸肉に20Vの電気を3分間流すと、

 

肉汁中のATP(アデノシン三リン酸)が分解され、

 

旨味成分であるイノシン酸の量が増加します。

 

しっかり肉汁を確保した上で、旨味成分がブーストされた胸肉はとてもジューシーになります。

 

 

 

刺身に電気を通す理由

 

刺身の場合、調理をしたからといってパサパサになることはありません。

 

しかし、鶏肉と同様に刺身にもATPが含まれているので、

 

電気を流すことでイノシン酸の量が増えて旨味が増します。

 

加えて、2024年3月に豊洲で発表された通電法により、アニサキスを殺すこともできるようになりました。

 

非常に強い電力を一瞬でかける方法で、パルスパワーと呼ばれます。

 

塩水の中に置いたアジの切り身が流れるベルトコンベアーに15kV、80μFで、60μ秒のパルスを出力します。

 

約1μ秒だけ1億Wの強い電流をかけ、アニサキスを感電死させます。

 

短時間の電流なので、風味や食感も生食とほとんど変わらないようです。

 

 

 

 

中学生のときに衝撃を受けた食肉の電気加工は、

 

さらに進化してアニサキスを退治してくれるようになりました。

 

 

 

鶏胸肉の通電熟成法はいまだに普及していませんが、

 

刺身の方はもしかすると一般的な加工手段として普及するかもしれません。