初めてのスキー教室 | くればのブログ

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上越市を中心に活動する SingerSongWriter 中村賢一

何のしがらみも無く、

まっすぐに生きていた時代があった。

 

 

アメブロの振り返り投稿っていう機能で表示された

2年前に書いた自分の記事を読み

文字通りもっと過去を振り返り

そんなことを思い出してしまった。

 

2回の投稿に渡って書いた長編記事ですが

リブログでななく

ひとつにまとめてみました。

 

 

 

-------- 初めてのスキー教室 ---------------- 

 

 

ごつごつとした巨大な雪のコブ

その曲線部から下に見える景色は、

ゴマほどに小さい人間が

点々と見えただけだった。

 

ここ、ヤナバスキー場の

上級者コースのてっぺんから見る景色は

滑った途端に

垂直落下がイメージされるほどで・・

いや

滑るというより 

崖から落下していく 

と言った方が正解じゃないの?

と、思わせるほどの傾斜だった。

 

 

 

もう、遠い昔のことである

 

高校のスキー教室に参加したおれは、

そのシーズンがスキーの初体験だった。

 

自分の身長より20cm長いスキー板を選ぶ時代

今のようにストッパーの無いスキー板は

スキーブーツに紐で板をくくりつけていた。

 

インストラクタは、高校の体育の先生で

くじ引きで決まってしまった

『初級者コース』のインストラクタが

無性に気に入らない感じであった。

 

おれらは

セオリー通り、

ボーゲンから教えてもらった。

 

ボーゲンの練習をして、

ほんの少し、

シュテムターンを覚えた。

 

2時間ほどして、

 

『いいかーおめえら~』

『ボーゲンができればどこでも滑れるぞ~』

っと、

インストラクタさまから

テンションの上がるお告げがあったのだ。

 

『これからリフトで、一番上に上がる』

と言い、

指を差した方向に見える傾斜は、

下から見ると、とっても緩やかに見えた。

 

初級者コースの20名くらいで

初めての体験のリフトを数回乗り替えて

最後のリフトまであとひとつのところまで上がってきた。

 

最後のリフトに乗る時、乗車位置に

『傾斜38度』

と、書いてあった。

 

おれは、三角定規をイメージした。

『三角定規の一番角度が小さいところが30度だから』

『まあ、大したことはないな』と・・

 

ガタン ッ ガタン と 

チェーンベルトから伝わる振動と音を聞きながら

上がっていく。

 

尻がようやく入るくらいの

小さな一人用のリフトである。

 

命を支えているのは

左手にある、一本の細い鉄棒のみ。

手を離したら、まっさかさまに雪面に落ちる。

 

途中

気圧で耳が『ぱちっ』と鳴った。

 

 

リフトを降りた時、

なぜか

悲鳴を上げる生徒の声が複数、聞こえたのだ。

 

その時はまだ 『大げさだな』

って、思っていたのだが・・

滑走位置までくると、その理由がわかった。

 

目の前に見えた景色は

遮るものは何もない

壮大な 遠くまで青い空

 

そして・・

足元を見ると

垂直のがけっぷちに立っているおれがいる。

 

血の気が引いた・・

 

なんだ!これは!!

地獄だ・・

 

 

しばらく放心状態になった。

 

ここ

一番てっぺんだけあって、

最初のリフト乗り場より、更に気温が低い。

 

時々、

風が舞い上げた雪のつぶが

頬にあたる。 

『怖い!!』

 

 

その時、

『いいか~教えた通りに滑ってこいよ~』

脳天気な声が聞こえた。

 

その、

おれたちの命を預かっている

先生と、みんなからよばれているスキーの達人は

視界からあっという間に消えていったのである。

 

残されたおれらは誰一人、しばらく動けなかった。

 

 

リフトを上がってくる人は

おれら以外に誰もいない

 

どれくらいそこに佇んでいたのだろうか

 

 

しばらくして

勇気あるひとりの男が滑り始めたのである。

 

『しもへい だ!!!』(下平:しもだいら のあだ名)

『しもへい』の体重は、おれの倍以上で

丸い体型、度胸がある。

分厚い眼鏡をした男なのだ。

 

しゃがみながら

傾斜が一番ゆるやかになるように

横に“スー”っと滑っては尻もちをついて、

方向転換し

また、

逆方向に向かって滑って 

と、繰り返していた。

 

『うまい!!』

なかなか考えた滑り方だ!!

 

 

何人かの女子は、

上がってきたリフトで降りて行った。

 

おれも、そうしたかった・・

 

しかし、

ゲレンデを滑って降りて行った勇気あるやつがいる以上、

ここで

リフトで逆行っていう訳にはいかないのだ!!

 

 

しもへい に続いて、

数人が同じように斜面を滑って行った。

そして

おれも それに続いた。

 

しもへい がどこまで降りたか?すら

雪のコブが邪魔で良く見えない。

20mくらいは降りただろう・・

 

誰ひとり、立っている者はいない

怖くて立てないのだ。

 

何度も 何度も 滑っては尻もちをついていたので

尻がもう冷たくてたまらん

 

しかも、

何といっても 面白くない

 

 

ふと

おれは、ひとつ仮説を立てた。

先生は、

『ボーゲンで降りることができる』

と言っていた。

 

最初それは、嘘だと思っていた。

だが、

実は

アマチュアにはわからないだけで 

本当に

ボーゲンで滑って降りることができるのでは!!!

っと

おれは

その言葉を信じることに決めた。

 

そして・・後で

信じたおれはバカだったことを知ることになるのである。

 

平らに均したゲレンデならまだしも

ここは 

ガリガリのコブでできた斜面

 

谷に体の向きを変えて、

スキー板をハの字にして起き上った途端

エッジがまだきっちり効かない状況で

ズルズルと滑りはじめ、

大きなコブに向かって直進しはじめたのだ。

 

コブの向こう側は

ほぼ、垂直の崖

“ゴロン”

と、転倒してしまった。

 

転倒時

“骨折を避けるため、手足は上に向けろ”と

教えられていたので

教えの通りに

両手両足を上に向けた状態で、

背中で滑り落ちて行った。

 

片足のスキーは外れ、おれの足に結び付けた板が

方向性を失って、バタバタと暴れている。

 

摩擦の無いナイロン製のスキーウエアの背中は、

その速度を加速させた。

 

強烈なスピードである。

『死んだ!!』

『絶対に死んだ〜』

 

加速度g が 

その方程式通りの速度でスピードアップした。

 

鼻から脳にかけて、ものすごく熱くなった。

 

コブをいくつも背中でジャンプして、

リフト長の半分まで落ちた頃、

へっぴり腰でかがんで移動中の 

丸くて大きなモノが視界に入った。

 

『がばっ』 という音とともに

マックススピードで、

その丸いモノぶつかったのだ!!!

 

『しもへい!ごめ〜ん!!!』

 

『ギャーっ』と 悲鳴があがり

 

おれは しもへい と一緒に、

等速直線運動で仲良く落ちて行ったのである。

 

横を見ると おれと同じ格好で

両手両足を上げて背中で滑り落ちている 

しもへい がいた。

 

外から見ていた人がいたら、

さぞ、滑稽だったに違いない。

 

おかげでスピード が落ちた。

 

同じ格好で二人、

一緒にコブを背中でジャンプしながら

落ちて行き、

ようやく止まったのは

リフト乗り場の少し下のあたりだった。

 

よだれを垂らして

上を向いて放心状態の しもへい は、

 

両足とも板が外れていた。

 

奇跡的に 二人とも怪我はなかった。

 

 

しもへい にぶつからなかったら、

まだ下に落ちて行ったに違いない。。

 

しもへい に感謝

 

合掌 

 

 

しかし、

あの脳天気なインストラクタ男め〜

ボーゲンで滑れるとはよく言ったもんだぜ

まったく・・

達人のスキーヤーがボーゲンで滑るわけとは

訳が違うってーの!

 

ほんと・・

絶対、死ぬと思った・・

 

 

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐

 

そこは

大町にあったヤナバ国際スキー場

 

もう廃業(休業?)となってしまったが

大きな規模で営業していた頃・・

スキー教室、1日目の夜

 

夕食を終えて、大浴場に向かったおれたちは

壁一枚隔てた向こう側から聞こえる 

女子たちの声に耳を傾けながら

湯船につかっていた。

 

お湯は下でつながっているから、

潜水で隣の浴槽まで行けるに違いない・・

 

壁の向こう側から聞き覚えのある複数のトーン

会話が気になってしかたがないのは

みんな同じだった。

 

ふと、

『上からのぞけるかな?』 と、

身長185cmの タケシ が言った。

みんなの耳がダンボになっていたが

残念ながら、そんな構造には当然なってはいなかった。

 

皮がむけているかどうか なんていう低級な会話は

もうどうでもいい内容に変化していた。

 

 

大部屋に戻って、おれたちは布団を敷いた。

 

四角い傘の、丸型30形蛍光管

夏に死んでミイラ化した虫の影が

下から見てとれる。

照度が足りないんじゃないの?と思う 

 

ふすまの向こうには

やはり同じ大きさの部屋があり、

B組のヤローどもの声が聞こえている。

 

おれらE組の楽しい仲間たちも、

各々、持ってきたお菓子を皆でシェアして食べていた。

 

おれは、

タケシと雑誌を見ながら音楽談義をしていたのだが

しばらくすると

 

『お~い、これーあるぜ!』

饅頭のように、まるい頬っぺたと満面の笑みで

悪顔アンパンマンが、おれらに話しかけてきた。

 

日中、おれと仲良く一緒に雪の壁を背中でダイブした 

しもへい だった。

 

しもへい は

サントリーレッドの大瓶を持っていた。

 

 

『待ってなよ~♪』 と言いながら

がさがさ と漁ったリュックから出てきたのは

黒い水筒

中身は お湯 だった。

 

 

 

 

ちなみに

しもへい は、臨海学習の時 

前科一犯の記録がある。

(話はちょっと脱線するが)

 

ジュースをおごってくれる というので

数人で しもへい の後をついていったのだ

 

そうだった・・

あの時、旅館にあるビンのコーラ自動販売機で

1本買い、コーラを取り出す時に

戻るレバーを 針金でくくりつけ、

レバーが戻らないように細工をして

販売機内にあるコーラをたくさん手に入れる 

という

スーパーな作戦?・・ 

だったらしいが・・

 

何度やってもうまくいかず

結果、一回も成功することなく

残念なことに

5本くらい、お金で買ったコーラが並べられた。

 

あきれて、部屋に戻ろうとしたその時だった

 

『おい こら 何をしている!!!』

っと

怒鳴りつける声

 

振り向くと

でかい頭に、

頬骨のかたちがくっきりと見える程に痩せ細った顔が

こっちに向かってきた。

 

緑のジャージ姿・・

 

『カマキリだ~!!!』 

通称『カマキリ』先生が、

手に持った新聞紙を丸めて走ってきたのだ!

 

案の定、

おれらは新聞で作成された

即席のカマで、叩きのめされた。

 

 何もしてねーし おれ ・・(涙)

 

 

さて

話をもとに戻すとしよう・・

その、しもへいが 

またトリガーとなった事件が勃発したのだ。

 

好奇心旺盛な高校生たちにとって

それは 未知なる液体であり

とても興味があった。

 

紙コップに

黒い水筒に入っていたお湯で

ウイスキーのお湯割りをつくり・・

そう・・

罪も無い一般庶民にまで配布したのである。

 

なんだか、

みんなの声が大きくなってきて・・

和やかだった『お茶会』が、

ひとつのきっかけで 変貌を遂げたのだ。

 

 

誰が最初に投げたのか わからないが

枕が視界を横切った

 

『誰だ~ いてーなー!!』

一発目がヒットしたやつが立ち上がって

その

当たった枕を蹴り上げたのである。

 

蹴られた枕は、蛍光灯の傘にぶち当たって

傘の上に積もっていたホコリを 

部屋中にまき散らしたのだ。

 

壮絶な霧の中の戦いがスタートし、

視界を横切る枕の数が

あっという間に増えた。

 

アルコールの力を借りた枕の破壊力はすごかった。

隣の部屋と仕切っているふすまに

何度も力強く当たっているうちに

隣の部屋で行われていたB組の

穏やかなお茶会にも飛び火してしまったのである。

 

『てめーら うるせーぞ~!!』

隣から声が上がって、

ガタッガタ と

ふすまを開けようとした様子だが

お値段それなりのスキーツアー

部屋の大きさ以上に敷き詰められた布団のせいで

ふすまが開かない

 

直ぐに戦いを開始したいチームBは

ふすまの上に1m程空いている

隙間に向かって枕を投げ入れてきたのである。

 

そして

それに応戦したよっぱらいチームE!

 

放物線を描いて飛び交う枕には

殺傷能力が無かった。

例えるなら『玉入れ』状態

 

酒の入った人間ほど、たちの悪いやつはいない

 

気が付くと

チームよっぱらいから飛んでいく物体が

枕から

手あたり次第、手の届くところにある

あらゆるモノに変わっていったのである。

 

国内戦が 海外の敵 との戦いに変わってから

5分くらい経過したあたりだったろうか・・

 

『ちょっと ちょっと!!』 『ちょっとたんま~!!!』

と、チームBから大きな声が上がった。

 

『休戦!』『休戦!!』

なにやら慌ただしい声が・・

 

『おーい』

『どうした~???』

 

『ツブ の前歯が取れた~ !!』(チームB)

 

『!!!』(チームよっぱらい)

  

どうも、 

チームよっぱらいサイドから飛んでいった

オロナミンCのビンが

ツブ の前歯に直撃した模様である。

(ツブ=普段は温和な優等生)

 

ふすまをブロックしている布団をどかしてこじ開けると、

相変わらず悪役顔のB組のやつらが

円陣を組むようなかたちで集っていた。

 

これは近づいたら危険!

悪いのはどう考えても おれたちだ!

やべ~ っと思っているところに

脳天気な声が聞こえたのである。

 

『お~悪かったな~』

『一杯やるか~』

振り向くと

今回の騒動のきっかけをつくった

これまた悪顔でほっぺの赤いアンパンマンが

サントリーレッドのビンを片手に敵の陣地に入って行った。

 

一瞬、

静まりかえった部屋に

想像と違う展開が待っていた。

 

『なーんだ、わりーな~』 

 

『?』

 

円陣があっという間に崩れ、

魅惑の液体に群がってきた。

 

こいつら・・やっぱアホだ・・

 

 

和解した・・ 

(ひとりを除いて)

 

短い足をバタバタさせ、

血の付いた手ぬぐいで口を押えている 

被害者:ツブ の姿が ようやく現れた。

 

さっきまで、心配していた仲間たちが

しもへいの一言で

1分としないうちにいなくなり、

 

残念なことに ツブは、 

忘れ去られた 時の人となっていた。

 

なんとも薄情な チームBの面々は

ツブ に背を向け

アンパンマン率いる チームEと

楽しい宴を開始したのであった。

 

めでたし めでたし (?)

 

 

 

 

 

 <あとがき>

・オロナミンC 投瓶犯人捕まらず

・翌朝、連帯責任ということで全員白鳥先生の竹刀で尻を強打!!

・今回の被害者:ツブも、竹刀の洗礼を受け、ダブルパンチ

 

主役の解説

コードネーム : ツブ(本名は不明)

特徴 :学年で一番身長が低い奴なのに声も低い(ヒゲも濃い)

卒業してから5年後に知ったこと

県警の警察官になった。(これホント)

趣味 :犯人捜し(うそ)

 

 

なんとも

長文にもかかわらず

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。