マジシャンズデッドは、闘神祭を終えていよいよプレイヤーの姿が見えなくなってしまいました。
都心ですら撤去するゲーセンが増え、最早衰退は止められないのかなぁ、、と思います。

ところで、なぜマジデはコケたのでしょうか?
操作性は斬新で、ゲーム性も安定していて、筐体もリーズナブル。一見流行る要素しかないように見えましたが、、
というわけで、今回は、自分の置き土産として、マジデが流行らなかった理由を、ランカーとしてではなく、できる限りフラットな視点で3つあげたいと思います。

その1
マジデは飛べるようになったからコケた

「マジシャンズデッド」から、「マジシャンズデッド ネクストブレイジング」になるにあたり、大きな変更点となったのは、「飛べる」という要素でした。
一見、ただ「走る」だけのマジデに比べ、マジネクは空をいかに飛ぶかという拡張性が増え、とても面白くなったように見えました。
しかし、それは間違いでした。
なぜなら、初心者や中堅者の視点から見て、「飛べる」という拡張性は、「手を使って攻撃できる」という拡張性を潰してしまうものだったからです。簡単に言えば、「器用にコントローラーを操作して、飛びながら手をいろいろ動かし、同じく飛んでる相手にまともに球を当てられるプレイヤー、何人いるの?」という話です。
つまりは、マジネクは、初中級者がやるには難しくなりすぎたバージョンアップでした。
飛びながらでは、手のポーズをしっかりと決めて相手に弾を満足に打ち込むことができない。かといって自分の動きを止めてしまえば簡単に倒されてしまう。このジレンマが、ようやく斬新な操作性に慣れてきたプレイヤーを殺しました。
例えば、アース系の武器。
マジデでは、アース系の武器は①相手と自分の距離感を把握して②相手のいく先に描く、という2ステップで当てることができました。
しかし、マジネクでは、①相手の着地タイミングを見極め②自分のステップを使用して相手との距離を調整し③自分が落下しないうちに手の形を作って④素早く相手が落下するであろう場所に描く
という、複雑かつ速さを要求する4ステップをこなさねばなりません。
これは、ゲームに習熟していない人にとって、無茶に等しい難易度です。

なぜ、爽快感を増したいのならば、走りをもっと早くするなどの対応をまずしてみなかったのか。
ゲームの面白さが向上したように見えて、間口がただ狭くなっただけのネクストだったと考えます。
これに対して、「同じく操作が難しいガンストは流行ったじゃないか。」という人もいるでしょう。
しかし、ガンストが流行ったのは、ガンスト無印がリリースされた当初「他に同じような斬新性を持ったゲームがなかった」からであり、マジネクと違って、「全員が特殊な操作をしながら行動することに慣れていない」0からのスタートだったからです。
操作性が難しいことを乗り越え、すでに盤石なファン層を保持しているガンストの横に、また新たな「操作難しい系」コンテンツを掲げてマジデが乗り込んだところで、まずはガンストでこの種のゲーム操作に習熟したプレイヤーが初心者を圧倒し、その上で、すでに慣れていて仲間もいるガンストに人が結局戻るのは当然の流れです。

その2
グループマッチングを採用したからコケた

全国の知り合いとあらかじめチームを組んで出撃することのできるグループマッチング機能も、マジデの衰退に寄与した大きな原因です。
グループマッチングが採用された当初、マジデはかなりプレイヤー間で実力差がついてしまっている状態でした。
ランカーにとって、動きがお互いに分かり合える仲間といつでも組めるのは理想的な状況でした。しかし、プレイヤー間の実力差が顕著な状態でそれを採用したために、上手い人は上手い人で固まり、これから成長する見込みのある中堅プレイヤーや下手な人はそこから排斥されて、ランカーのチームに野良で当てられ続け、さらにその差が揺るぎないものになってしまいました。
100人程度のランカーの恩恵のために、何人もの数知れぬ中堅者が大敗を喫して辞めてしまったのです。

その3
中途半端なファンタジー設定
ところで、今日のアーケード界を支えているのは誰でしょうか。
それは、日々大量のお金を注ぎ込む少数のランカーではなく、そのゲームの世界観やキャラをも含めて好きになってくれる、所謂「キャラ愛」勢の方々です。
キャラ愛勢の方々は、そのコンテンツへの愛があればあるほど、家で寝転がってスマホゲーをするのではなく、わざわざ自分でゲーセンまで出向いては100円を投資してくれます。
そういったプレイヤーの心をいかに掴むかが、アーケードタイトルの成功と言っても過言ではないでしょう。なぜなら、ただ面白いゲームをするならば、家でも充分にできるからです。
例えば、ワンダーランドウォーズは、童話を基にした盤石なストーリーの地盤を持っていて、それに惹かれてプレイする方は多くいます。ガンストに関しても、無印には公式設定資料集や、プレイヤーズサイトから気軽に読める本格的なキャラ小説などを皮切りに。2ではストーリーモードやTVアニメをリリースし、キャラ愛勢が飽きないような工夫を続けてきました。
しかし、マジシャンズデッドがリリースされてから今に至るまでを見てきて、本当にそう言ったストーリーが充分に供給されてきたかというと、そうではないとおもいます。
マジシャンズデッドには、日々勃発する原因不明のテロ事件群について、EIX側がそれを魔法使いの仕業だとして追求(魔女狩り)を始め、それは事実無根だとして自らを守るために立ち上がった魔法使い側が対立するという、極めて複雑な背景が設定されています。
このような設定を駆使したいのならば、マジデを出すタイミングで同時にアンソロジー小説くらいは出すべきだったと考えます。
もしそれができず、「中途半端なファンタジーもの」に終始するくらいならば、一から自分でキャラクリエイトができるゲームにするか、SFチックでむしろ全然ストーリーが、わからないロボット同士が戦うゲームにでもしたほうがマシだったかもしれません。
キャラ愛勢はその中途半端さに飽きてしまい、過疎は一層進みました。

以上の3点が自分なりに分析した、マジデの衰退の理由です。

マジデが流行らなかったのは、バランス調整が悪いからでも、筐体が地味だからでもなく、
「手を使える」というマジデの純粋な面白さを「操作の複雑化」で自ら潰し、操作に慣れてきた中堅層をグループマッチングで潰し、中途半端なファンタジー展開でどのファン層も獲得できなかったからです。

ゲームがいかに面白かろうと、それを流行らすのは難しいものですね、、