~プロローグ
このアルバムの評論は星の数ほどあるでしょう。まぁよい。私は昔話をするのみ!と言いながらも、なんだかんだとホザキたくなるのがこのアルバムだ。中坊の頃、これは凄いアルバムだと散々吹き込まれて刷り込まれて、メチャクチャかまえて聴いた覚えがある。その頃はまだ発売から7,8年しか経過していなかったんだな。貴重な体験だった。
このアルバムは、ポールの発案で、架空のバンドのショーという設定の‘トータル・アルバム’として仕上げられた、らしい。当時としては斬新な手法、らしい。一部の世間では、このアルバムは‘トータル・アルバム’として優れているのであり、曲単体としてはたいしたことない、という評価があったりします。それはどうかな?確かに、タイトル曲以外にも、‘トータルアルバム’用として曲つくりが意識されているふしはあるけど、そういう意見は腑に落ちない。だいたい、サージェントは‘トータル・アルバム’なのか?それ以前に‘トータル・アルバム’ってなんだ?まぁ、たかが音楽。感じ方は人それぞれだし、深くは考えずにいきましょう、ということで。なんにしろ、これまでと同様に、曲単独で評価&昔話していきたいなり。
~A面
○ サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド:マッカートニー
つかみ用の曲として充分か。 ‘サージェンペッパローンリー(繰り返し)♪の部分は誰でもハモれる中坊ホウキセッションの初級課題。一時期,放課の度に3,4人でわめいていたな。それを見ていた女子のグループが’この人たち解っとるだかん?‘’そうとう狂っとるみたいだよ。‘’ふーん‘などと会話していたのを妙に憶えている。【7点】
○ ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンド:マッカートニー
A面冒頭3曲の名前をスラスラ言えることが、中坊ビートリスト中級課題でしたな。その中でも最も難関なのがこの曲名。文法が解っていれば簡単だが、中一レベルだとつい‘ウィズ・ア・フロム・ヘルプ・マイ・リトル・フレンド’などと言ってしまう。この頃のポールは、やたら♪ブンチャ、ブンチャ♪というリズムを使うんだよな。それが若い頃はどうにもイヤだった。この曲もそのタイプだけど、幸いそんなにイヤ味はない方だな。ポールorジョン作でリンゴに歌わせた曲の中では最高峰かな?ポールのベースは、テクとセンスある人が簡単なことをやっているという素晴らしい見本。特に音の切り方は全ベーシストの見本たるもの。【8点】
○ ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンド:レノン
頭文字がL.S.D.なので、その手の歌だろうという指摘に、ジョンは‘子供が描いた絵をそのまま詩にしただけだ’と煙に巻いた。これは明らかにL.S.D.ソングでしょう。この曲のサビのハモリは中坊ホウキセッションの初級課題。凝った複雑な構成の曲とか評してあるのをよく見るが、どこが凝ってると言うんだろう?いかにもジョンがサラッと作ってスタジオに持ってきて、趣味丸出しでチャッチャと仕上げた感じだ。初めて聴いた時は、ヴォーカルがなんて変な声だろうと思った。この頃のジョンの声は‘やさしい悪魔’入ってる。【9点】
○ ゲッティング・ベター:マッカートニー
この曲こそ凝っていると思う。ポールの一人多重録音か?と思えるほどの宅録っぽい感触の音である。ポールもこの方向でもっと曲作ればよかったのになぁ。ソロ1stの「マッカートニー」はなんであぁなっちゃたんだろう。いや、あれはあれで好きですけどね。
この曲は構成が素晴らしい。と言うか、曲事体が構成である(意味不明)。えーとね、この頃のロック/ポップスは、作詞/作曲/編曲が別個に存在している曲がほとんどだが、これは三身一体。まさにポールの一人八木沢三姉妹。ますます解らんか。まぁいいやな。最初ラジオで聴いた時は、変な曲という印象しかなかったが、聴けば聴くほど断然よくなった曲の一つ。ヴォーカルをアンディ・パートリッジに置き換えれば、XTCの80年代中後半の曲として通用するだろう。その今日性故、中坊には理解できなかったんだな。リヴォルバーの次にこのアルバムを購入し、繰り返し聴き込む中で、おろ?この曲はもしや傑作では?・・・・と気づく。【10点】
○ フィクシング・ア・ホール:マッカートニー
棚卸感強し。これもゲッティング・ベターみたいに作り込んでほしかった。この曲もブンチャ、ブンチャだな。
【7点】
○ シーズ・リーヴィング・ホーム:レノン-マッカートニー
ポール主導の共作。最初、曲を聴く前に、楽譜本を見てギターで音を拾っていったら、何ともツマラン曲に思えて、え~?と思って何回も拾い直したが、同じだった。その後、レコード聴いたら案外聴けたが、でもポールらしいメロディのキレが感じられない。アレンジも凝っているが好きではない。平凡だ。このストリングスはジョージ・マーティンではない。彼ならもっとフックの効いたアレンジができたはず。【6点】
○ ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・Mrカイト:レノン
大好きです。サーカス/移動遊園地ソング。しかしながら、単にサーカス/遊園地を再現しただけではなく、ジョン独特の空気がある。これは中学の頃から一発で好きだったが、周りからは理解を得られんかったなぁ。みんなこの曲をバカにしてテーマ部分を♪ミスタカイト ミスタカイト ミスタカイト ミスタカイト お~~い♪などと歌っていた。【10点】
~B面
○ ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー:ハリスン
悪名高きジョージのインド学習発表会。バックはインドの一流演奏家達。ジョージの何が悪いかっちゅうと、作曲もインド風のバックに合わせて、しかも勘違いして作ってるってこと。おそらくインドでは、作曲家は普通に一所懸命に曲をつくって、で、そこに普通にインド音楽のバックがつくわけですよね。ジョージはそこに気がつくべきだった。ジョージがインドにハマッたのはインストだったのが運の尽き。パンカジ・ウダースかシュブラクシュミにでもハマっていれば、かなり違う展開になったかもしれんな。【5点】
○ フェン・アイム・シックスティフォー:マッカートニー
ポールのヴォードヴィル風味第一弾(?)。あまり思い出もないなぁ。【6点】
○ ラヴリー・リタ:マッカートニー
これまた思い出も思い入れもないなぁ。ポールは‘トータルアルバム’用として、ここいらの曲を作っているのか?もっと作り込もうと思えばできたと思うんだが。【6点】
○ グッドモーニング・グッドモーニング:レノン
ジョン自ら嫌いと言う曲の一つ。ホント、変な曲だけど、私は好きだ。惜しいと思う。サビがやっつけ仕事になってないかな。もうちょっと丁寧に仕上げてればかなり面白いかったと思うが。ビートルズ詩集の上下を中学の頃持っていて、その中で一番好きな詩がこれだった。曲よりも先に詩を読んでいて、まさかこういう曲だとは思わなかった。【8点】
○ サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(リプライズ):マッカートニー
もうじきショーは終わりですよーん【単独では採点不能】
○ ア・デイ・イン・ザ・ライフ:レノン-マッカートニー
ジョン作品とポール作品を合体させて仕上げた曲。テーマ部のドラムの入れ方といい、途中のフリー・オーケストラといい、サイドイッチされたポール作の部分といい、中坊には刺激が強かった。そして怖い怖い曲だった。友人Tは、曲後のプチプチというノイズの後の意味のないおしゃべりが怖くて、この曲を聴けないと言っていた。気持ちは判らんでもない。それは、このリアルな曲が前段階としてあるからに違いない。でもそんな理由でこの名曲を聴かないのはもったいない!と、そいつには皆で説得したものだ。
ジョンとポールのこういう合作だったら大歓迎だな。【10点】