(以下ネタバレ注意!)
ブルターニュの海岸に毎年避暑にやって来る16歳の少年フィルと清純な少女ヴァンカは、芽ばえ始めた異性愛にとまどう。フィルは知り合った美しい中年女性の別荘を訪れ、はじめての時間をすごすが、ヴァンカは彼の突然の変化を感じ取り、二人はもはや無心な遊び友達ではいられなくなる。(以上文庫裏表紙から引用。)
散文詩的で、「そこが知りたいのよ!」というところを隠して描かれる小説で、さらに半世紀前の堀口さんの翻訳小説ということで、読むのに時間がかかってしまった……。最近、古典の翻訳小説を立て続けに読んでわかったことは、日本の小説は、結構細かいところを描くのにたけている、ということ。『源氏物語』なんかは、細部にまで筆が及んでいると思うのだが、いかがだろうか。
さて、『青い麦』は、少年と少女がはじめての恋愛感情を自分でもどのように扱っていいのかわからずに、それゆえに、お互いに相手を傷つけてしまう物語、と私は解釈した。そこに年上女性がフィルにちょっかいを出して来て、ヴァンカが自分の中にある本能に気づくという。なんせ、描かれない箇所が多いんだもの。解釈は、自由ですよね?
恋愛真っ只中の二人には、別荘で一緒に過ごしている二人の両親でさえ、「影」になるという比喩が印象的だった。
コレット姐さんの作品は、他に『シェリ』しか読んでないけど、私は、『シェリ』のほうが好みだな。どちらも、年上女性が少年を導くという話。だけど、『青い麦』のヴァンカに背負わせた、なんとなく「処女信仰」的な部分が私は、すんなり受けとめられないなぁ。「肉欲」を描いたという点では、『青い麦』のマダム・ダルレーに軍配。青い麦 (新潮文庫)/コレット

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