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マスコミ報道の限界を探る(2) 「出典は?」

マスコミ報道の限界を探る(2) 「出典は?」

学者としての私は学術論文を書くのだが、その時には厳密な実験の方法を記載し、これまでに公知となっている関連の論文を引用する。それには一定のルールがあって、論文を引用するときの句読点の付け方まで決まっている。学生が論文を書けるようになると、句読点を教えるのは私たちの最初の仕事でもある。

しかし、私がテレビで発言したり、一般向けの書籍に何かを書くときには、いちいち出典を示すのではなく、むしろ私自身の考えを述べ、膨大なデータや理論のうち、「私が正しいと思ったもの」を短い時間で話す。

そんなところで具体的な論文を示しても、視聴者や読者がそれをチェックすることはできないので、「私が信頼できなければ聞いたり、本を読んだりしない」という方法しかない。

そこで私は時には出典を言うことがあるが、普通は自分の考えとして述べる。たとえば「ツバルは温暖化で沈んでいるか?」ということに関しては、自分でポリネシア・ミクロネシアなどの書籍を読み、国連に届けられたデータを見、インターネットで調査し、小林先生に直接お話をお伺いし、ハワイ大学などの論文を読み、そして「沈んでいない」と話をし、本を書く。

誠心誠意、やっているのだけれど、それでもバッシングが来る。それもとうてい「正常」とは思えないような、人格批判、口汚い罵りなどが多い。時には日本人とはこんなになってしまったのかというほどのものもある。

「口を極めて人をののしる」というのと、「冷静に他人の意見を批判する」というのはかなり大きく違う。表現の自由の方が大切だからあまりやらない方が良いが「罵り防止法」が必要ではないかと思うことがあるぐらいだ。

私はあまり気にならない方だが、テレビ局は「批判される」ということに過敏だ。影響が大きいことと、テレビ局にはスポンサーがいること、さらに担当者がサラリーマンであることなどから、防衛的になる。

個人がテレビにでて、政府と違うことを言うと、政府筋からも体制派からも厳しい電話がテレビ局に来る。「一個人の考えを公共性の高い電波に乗せるなどケシカラン!」という訳だ。

放送や記事にはすべて「出典」を求め、その出典はできる限り「公のもの」が良いとされる。もっとも公的なものは政府の高官の発言や刊行物、もしくは学術論文であり、それはマスコミが自由な報道を失ったことを意味している。

実は、「政府とは違うではないか!」というクレームは憲法違反である。現在の憲法はかつて情報が政府や軍部に握られたという苦い経験をもとに「表現の自由」、「学問の自由」、「言論の自由」などを最優先していて、公共の電波であろうとなんであろうと、放送局は自由にその権利を主張できるようになっている。

というよりむしろ、もともと報道機関として認められているところは、表現の自由の強い権利を有していると言えるだろう。ところが、それを自ら放棄したのが現在の日本のマスコミであり、それを促してきたのがほかならぬ国民であるように思える。

さらに傑作なのは、地球温暖化騒動の時に、日本の中では「温暖化すると南極の氷が融ける」という「常識」が広まった。そうなると、マスコミはIPCC(国連の機関)の報告に「温暖化すると南極の氷が増える」と書いてあっても「日本の常識に反する」ということで、報道しなかった。

また、原発事故ではIEA(世界エネルギー機構)が「日本の原発が止まっても電気が不足することはない」と報告しても(3月15日)、東電が「足りない」というとそちらを報道する。

国際的な情報が少なく、かつお金不足で自分で取材はできず、専門性が不足して自分で計算する力がないという3重苦にあえぐ日本のマスコミは、どうしても「人の顔色」を伺って報道することになる。

でも、解決策はあるのではないか?

NHKを別にすれば、国民は真実を報道していないと思ったらそのマスコミを見たり読んだりしなければ良いので、あまり細かくクレームをつけているとかえってマスコミを追い詰めてしまう。

「日本のマスコミはダメだ」と言われるが、実は国民が気弱な「草食系マスコミ」を追い詰めたようだ。

実は学問の自由で守られている大学や学会ですら、「政府に逆らうと研究費が」ということで政府の政策にすり寄る傾向にある。何から何まで「お金」に縛られた日本社会を、「お金より重要なこと」はなにかそれをハッキリしないと、マスコミの再生はできないだろう。

(少しややこしい内容なので、今回は音声をつけました)


「takeda_20110825no.114-(4:42).mp3」をダウンロード

中部大学武田邦彦
(平成23年8月26日)

秋の食材・・・これは大丈夫、これは危険

秋が近くなり、新しい食材がでてきました。そこで、野菜、肉、魚、牛乳、お米などを中心に最近の状況を調べています。まだ、完全ではありませんが、おおよそ次の通りで、個別の食材については情報がおおよそわかりましたら、書いていきます。

ただ、書くときは食卓で「どうも、***はすこし汚れているらしいぞ」という話をお父さんから聞くような気持ちでお願いします。

野菜:かなり綺麗になってきて、水道でしっかり洗えば安全な領域に入ってきました(測定時に流水でよく洗っているので)。

キノコ類:土壌からの汚染があるのか、比較的高いレベルです。良心的な店(東部生協など)で売っている食材の中でもキノコはやや警戒した方が良いでしょう。目安はキログラム20ベクレル以下です。

果物、みもの: やや高めの値が続いています。名古屋などでは若干汚染されていると思われる果物(表示はなし)が特価で売られていますが、心配です。

肉: 牛肉事件があり、事件のおかげでやや安全になってきましたが、まだ全部を国産にせず、外国産と地元産を中心にした方が良いと思います。

牛乳:相変わらず不誠実な対応が続き、小売りでベクレルを表示している良心的なところで買いましょう。北海道産は一時、危険でした(情報不足)が、今は大丈夫のようです。私の表現がフラフラしたのは情報が動いたからです。牛乳販売会社の不誠実は驚くほどで、断固、ベクレルを表示しません。汚染されているうちは表示しない方針のようです。

ミルク: 牛乳に比べれば良心的で、外国産、北海道産と明記してあるものか、製造年月日が3月11日以前のもの(多くは製造年月日は表記されていないが、賞味期限が表示されていて、おおよそ製造から18ヶ月なので、今年から来年の春頃までの賞味期限のもの)は安心でしょう。赤ちゃんには無くてはならないものですから、是非、販売に当たってはベクレルを表示し、赤ちゃんが1年1ミリ以上被曝しないように良心的な態度を望みます。

魚: もっとも危険な時期に入ってきました。海藻、近海物はだめでサバも一部が汚染されました。ストロンチウムを測定しなければ安心はできません。(地域は太平洋側の宮城沖から静岡、愛知ぐらいに限る)

お米:新米が勝負ですが、5000ベクレルまでのところで成長していますので、300ベクレルは入るかも知れません。最初(今年いっぱい)は警戒した方が良いでしょう。

お茶:汚染されているものが多いのですが、通常の飲み方なら大丈夫です。九州産などはまったく安全で美味しいものもあります。

・・・・・・

放射性ヨウ素が半減期を遠く過ぎたので、注意すれば、お米、肉、野菜が比較的安全になってきました。一安心です。ただ、かなり良心的な生協でも「政府の決めた暫定基準値が安全」としているところがあり、私には理解できません。

食材からの内部被曝は、すでに何回かこのブログに書きましたが、人は1日に約1キログラムの食材をとります(水は少し換算する)。そこで、買うときに1キログラムあたりのベクレルが表示されていれば、100ベクレルですと、それを100で割ると、1年あたりの内部被曝が1みりシーベルトになります←これは間違いありません!!見直しよし!!見直しOK!!

今の暫定基準値は1キロあたり100から2000ベクレルですから、どうも政府は密かに「1年5ミリシーベルト」で食材の基準を決めたらしいのです(まだ公表も説明もなし)。

そこで、私は良心的な流通会社が説明もされていない暫定基準値で安心していることが理解できません。単に「政府が決めた値だから安全だ」ではなく、自ら「自分たちは子供を守るために1年何ミリシーベルトを守る」と宣言してから「安全です」と言って欲しいのです。

今のところ、食材のベクレルを表示している東部生協(東京)ですら、{政府基準=5ミリ=子供にも安全}としていますので、それだけが私には理解できません。本当にお客さん(子供を含む)に対して愛情をもった表示をお願いします。

(なお、このようなブログを書くと、消費者の安全より、お金を重視する生産者からバッシングが来ますが、私は気にしません。消費者の立場だけから書いています。)

中部大学武田邦彦
(平成23年8月24日)

牧之原市の講演 中部大学武田邦彦

牧之原市の講演
牧之原市の講演は牧之原市の市民に限定されるかも知れませんが、お知らせまで。

   原子力防災「放射能を正しく知って 正しく対処」

(牧之原市政策協働部 企画課 内線:2567)

1 目的
 福島第一発電所と同様の事態が、万一、浜岡原子力発電所で発生したその時、いち早く放射能から身を守るため、放射能を知り、どう住民が、行政が対処すればよいか市民を対象に学習の機会を設ける。

2 概要
・主 催  牧之原市
・テーマ  放射能を正しく知って 正しく対処
・講 師  武田邦彦 教授

3 日時
 8月31日(水)18:3020:30

4 会場
 相良総合センターいら (400人程度)

5 内容
 講演     60分
 市長との対談 40分

6 対象者
 市内に在住、在勤の方