1211日がサム・クックの命日なんですが、その時に聴きたいサム・クックの追悼曲のシングル盤を手に入れました。


以前からサム・クックの追悼曲っていうのも集めていて、有名どころではこんな感じ。


●Donald Height - Tribute To Sam

●LOTS A POPPA - Tribute To Sam

●Bobby Harris - We Can't Believe You're Gone

●Johnny Copeland - Dedicated To The Greatest (Tribute to Sam Cooke)

●Jimmy Holiday    A Friend Of Mine


そして今回手に入れたのが、ウィルソン・ピケットのこれ。


●Wilson Pickett  - Cole ,Cooke & Redding


ナット・キング・コールとサム・クックとオーティス・レディングの、早くにこの世を去った黒人歌手を、僕の友人として紹介しています。

 

佐野勝明著の『楽SOUL』にはこう書いてありました。


LP未収録のものと選んだのが、”Cole,Cooke & Redding”。これはマイアミ録音。偉大なる先人達に捧げる追悼歌、ゴスペルだね。深く熱く重い、後光が射してくるような神々しさ。そんな彼も天国に召されてしまった。」



この元歌はディオン(DION)が歌った「エイブラハム、マーティン・アンド・ジョン(Abraham, Martin And John)」で、1968年に発表したこの曲は、エイブラハム・リンカーン、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、ジョン・F・ケネディ、ロバート・ケネディに向けた鎮魂歌でした。





この曲は、様々なアーティストにカバーされ、アンディ・ウィリアムス(1969年)、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ(1969年)、マーヴィン・ゲイ(1970年)、ハリー・ベラフォンテ(1970年)、クリフ・リチャード(1970年)、レイ・チャールズ(1972年)[9]、ケニー・ロジャース(1976年)らのカバー・バージョンがあるようです。


ボブ・ディランも1981年のコンサートで歌っていました。





そのディオンが歌う「エイブラハム、マーティン・アンド・ジョン」を、ウィルソン・ピケットは1970年に「コール、クック・アンド・レディング」というタイトルに変えてカバーしました。





サム・クック・フォロワーのボビー・ハリスも、ロッド・ハリスの変名の、Rod Harris & The X-cels 名義で出したアルバムの中で、"Anybody Here"というタイトルでカバーしています。





ルイ・アーム・ストロングの“What a wonderful world”っぽいスケールの大きなゴスペルソングですね。


前半の語りでは、「エイブラハム、マーティン・アンド・ジョン」をカバーした、女性コメディアンのマムズ・メイブリー(Moms Mabley)の名前を出し、彼女が歌った以外にも、ここで歌わなければならない偉人が他にもいますと言って、ウィルソン・ピケットは、僕の友人として、ナット・キング・コールとサム・クックとオーティス・レディングの、早くにこの世を去った黒人歌手たちを紹介していきます。


歌詞は、誰か彼らを見かけませんでしたか?と問いながら、後半部分では、僕もいずれ彼らのところに行くだろう、その時、彼らはここに来て座って少し休めって言ってくれるだろう。

早くに逝った僕らより長い人生を歩んできたわけだから疲れてるだろうって。

もう大丈夫だ、心配するな、俺たちがついているから。みたいな感じですね。


オリジナルのディオンの曲の後半に、こういうピケット独自の歌詞をつけて、熱くソウルフルに歌ってるのが凄く印象的で胸に迫る思いがします。


オリジナルのディオンの、静かに切々と語って歌うバージョンも良いですが、ウィルソン・ピケットの熱く歌い上げるバージョンも良いですね。


サム・クックの命日に聴く素晴らしい追悼曲がまた増えました。

















サム・クック系の7インチ(シングル盤)をゲットしたので、それの紹介です。


ラマダ・シンガーズの「サイモン・ピーター(ギリシャ語では、シモン・ペテロ)」というゴスペル曲です。


最初、曲名が歌手名かと思いました。 


「ラマダ」とは、スペイン語で、海辺や公園にある木の枝でできた小屋のことのようです。

なのでラマダ・シンガーズって小屋で歌う人たちってことです。

夏の海辺の小屋ってシチュエーションを想像すると、風通しが良くて気持ち良いですよね。


レーベルも無名のSU-ANNレーベル。

調べるとサウスカロライナ州にあるゴスペル・レーベルのようです。

そして1973年のリリース。


YouTubeに上がってたので、ちょっと聴いてみて下さい。


The Ramada Singers  “Simon Peter”



73年にリリースされたようですけど、ゴスペルだからなのか、バックの演奏がシンプルなバンド編成なのか、もっと古い録音のように感じますよね。

良い意味で70年代っぽくない。


サム・クック系のゴスペルなんで、サム・クックが在籍していたソウル・スターラーズ系のグループって言ってもいい感じ。


歴代のソウル・スターラーズのリード・シンガーたちを継承するようなサムマナーの塩辛な歌声で、リズムもメロディーも明るいゴスペル。


歌声がサム・クック系なんですけど サム・クック・フォロワーのボビー・ハリスに似ていますよね。


いつも言ってますがサム・クック系シンガー特有の母音の響きが好きで、この曲ではサイモンって歌う時の「サァ〜」の母音「ア」の倍音のような響きが大好きです。


YouTubeのコメントにはこんなことが書かれてました。 

子供の頃、朝のゴスペル・ステーションラジオ(テネシー州ナッシュビルのラジオ局WLACなど)で流されていた、この「サイモン・ピーター」が大好きで、お母さんと一緒によく聞いていた、というコメントが多かったです。


僕たちの世代が小さい時に、朝のテレビ番組や子供番組で流れていた歌を懐かしくなって、何て曲だったのかをYouTubeで探して見つけた感じですね。


それで言うと僕は関西限定ですけど、日曜日の朝のアニメ番組の前に流れてたパルナスのCMソングです。

白黒の赤ちゃんの顔が怖くてトラウマになりそうでした()


「サイモン・ピーター」の歌詞はこんな感じ。


「ああ、私はあなたの友達になってあげます、そしてあなたを人の漁師にしてあげます、ああ、シモン・ペテロ、さあ、私に従って来てください。」


これはキリストの言葉のようです。


人の漁師は、福音書の中で、イエスが最初の弟子たちに与えた命令を表す言葉のようです。

ペテロとアンデレと呼ばれるシモンという二人の漁師の兄弟が、ガリラヤ湖(イスラエルにあるヨルダン川の中流にある湖)に網を投げていたところ、イエスは説教を始めるにあたり、彼らに従うように呼びかけ、そうすることで「人の漁師」になるようにと言われた。


漁に出てる時に嵐にあい、イエスが嵐に向かって「静まれ!」と説教したら大凪になっとか。

嵐に怖がっている漁師たちに向かってイエスは、信仰はないのかと説教して弟子として「人の漁師」になるように命じたということのようです。


イエスにとって「人の漁師」になることとは、キリスト教っていう宗教の、人材確保や会員獲得のような人を勧誘することではなく、自ら社会の中に飛び込んで、一人一人に出会い、その人の喜びや希望、また苦しみや悲しみを知り、共に生きようとする、というものでした。


漁師だから魚と向き合ってばかりで、人との関わりが少なかったからですかね。



B面は“I'm Glad The Lord Will Make A Way”という曲。


サザン・ソウルの原型となるようなアーリー・ソウルという感じのスロー・ゴスペルでした。

歌声が良いとどんな曲でも良く聴こえてしまいます。


他の曲も気になり調べてみると、JSJ RECORDS レーベルというこれまた珍しいレーベルから1枚出てて、SU-ANNレーベルも、ナッシュビルにある親会社のHSE Recordsのサブレーベルのようです。

 そこから「インフレーション」って曲が1曲だけリリースされてるんですが、それがまた良いんです。


“INFLATION”




大好きなミディアム・テンポのリズムが良いゴスペル・ソウルナンバー。


丁度、今、日本もインフレなのですが、そんなインフレ時代も楽しく暮らせそうな明るい曲です。



ラマダ・シンガーズは全部で、SU-ANNレーベルから7インチシングル2枚とLP2枚、そしてJSJ RECORDS レーベルから「インフレーション」のシングル1枚のリリースでした。





(Discogs参照: https://www.discogs.com/ja/artist/3089893-The-Ramada-Singers)


リード・ボーカルはJames Johnson


これもソロで歌ってないか調べてみたんですけどありませんでした。


頼りにしてるSOUL大辞典にも楽SOULにも載ってませんでした。


なかなか無名なシンガーですけど、良い掘り出し物に出会えて嬉しいです。


価格も980円とリーズナブルでした。


今回はラマダ・シンガーズ、木の枝でできた小屋で歌う人たちの「サイモン・ピーター」というゴスペル曲の紹介でした。