『太陽の季節』読書感想文
(引用はじめ)
女、取り引き、喧嘩、恐喝と彼等の悪徳が追及される題材は限りが無い。それは決して、若気の至りなどというものではないのだ。恐ろしく綿密に企まれた巧妙極まりない罠があった。人々はこれに、唯若年と言う曖昧なヴェールをかぶせ見て見ぬふりをするのだ。(新潮文庫p35)
(引用終わり)
竜哉は何事においても過激にやり尽くそうとする。触れるものすべてを破壊するくらいのエネルギーを放出している。
英子とのやりとりは、まさにそうだ。
読み手の私には、竜哉も英子も、お互いを思いやるという愛をあまりにも知らないように思える。いったん体を求めあうことを覚えた2人だが、行動はますます過激にエスカレートしていく。二人がひたすら求めたものは何だったのか?誰かを信じたいけれど素直に受け入れられない葛藤だったのか。
竜哉はあまりに無敵で無鉄砲で奔放だ。
英子は、暗い過去があっても少しずつ竜哉を信じ、自分を委ねようとする姿が不器用でけな気だ。無垢さを感じる。しかし、けな気さの裏に待ち受けていた突然の英子の死はもろく、儚い。
英子の葬式の時に、ただ破壊行為でしか自分の気持ちを表現できなかった竜哉だった。英子は取り返しのつかないことになってしまった。若気の至りでは済まされない。英子とその遺族がただただ痛々しい。本気で、残酷な、青春。
小説を読み終えて思った。令和の今、若者にこんな青春を味わえる余地があるのだろうか?
竜哉の時代と今は社会を漂う空気が随分違うように思える。舞台になっている時代は将来のこととか周りの人のこととかあまり考えずに自分だけの青春を謳歌できたんじゃないかなあと思う。
タピオカ、引きこもり、同調圧力、薬物、あおり運転、京アニ・・・。作者はどこまで今の青春を理解できるだろう?
カジノを推進するようなトレンド感ではとてもじゃないけど今の若者の思いに寄り添うことは無理じゃないかと思ってしまう。
おわり
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