科学のために科学を科学的に笑うべし -6ページ目

科学のために科学を科学的に笑うべし

論理はわが友 されど笑いはさらなる友

Pepper君のウリのひとつは、ユーザーと音声で対話する能力です。
声の質から人の感情や状態を読み取る機能も、盛んに宣伝しています。
そういったところから、Pepper君に窓口業務や案内業務(コンシェルジュ
としての役割を果たさせようという企画が盛んです。

そんななか、とある大手の家電店もPepper君に店内案内や
商品案内あるいは来店客への商品のお勧めなどをさせようと
もくろんでいます。

で、家電デパートの玄関でPepper君を見つけたあなたは、
 「ねえPepper君、冷蔵庫の売り場はどこ?」
声で聞きたいと思いますよね。

ダメです。

やってきたお客さんは、胸のタッチパネルに出ている
ボタンを押さなければならないんです。
(冷蔵庫を検索することができるかどうかまでは知りません。)

他にも、お客様が三択の質問をPepper君に答えるのに、
頭とか腕とか体を触る場所をもってPepper君への三択の答えとする
場合もあります。
声で答えさせてくれよ!

以前にも書いたように、Pepper君の音声コミュニケーションは、
かなりぎこちないものです。お笑いの味付けをしてあって
エンターテインメント指向を装っているので許されているに過ぎません。

つまり当の家電店は、Pepper君にはお客さんとトラブルなく会話する
能力などない
、と判断したというわけでしょう。声によるやり取りを放棄
したことで、当然、声によってユーザーの感情や状態を判断する
機能も全く出番はない
ことになります。こうした機能があってこそ
コンシェルジュ(案内係)としての役割を期待されていたのに、
案内係になるために逆にそういう機能は捨てられることになりました。
皮肉というか、本末転倒かもしれません。

Pepper君と会話できる場面は、多分玄関口に立たせたPepper君が
あなた人影に気づいて「フロアガイド見ますか?」と聞いてきたときに、
 「見せて」
とか
 「はい」
とか言ってあげるときぐらいのようです。

ちょっとかわいそうなPepper君…
ロボットである彼にははあるんでしょうか。