映画 ハクソー・リッジ  | 半兵衛のブログ

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ハクソー・リッジは2016年全米公開(日本:2017年6月)

 

監督:メル・ギブソン

脚本:アンドリュー・ナイト他

出演:アンドリュー・ガーフィールド/サム・ワーシントン他

作品評価 ★★★★☆星3.8 銃を持たない兵士を描いた戦争作品

お子様: PG12 大人になってから見たほうがいいかも

 

<ストーリー>

第2次世界大戦中、デズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、人を殺してはいけないという信念を持ち、軍隊に入ってもその意思を変えようとしなかった。彼は、人の命を奪うことを禁ずる宗教の教えを守ろうとするが、最終的に軍法会議にかけられる。その後、妻(テリーサ・パーマー)と父(ヒューゴ・ウィーヴィング)の尽力により、デズモンドは武器の携行なしに戦場に向かうことを許可され……。シネマトゥデイより。

 

◆アンドリュー・ガーフィールド

前回取り上げた「沈黙」で主役を演じていたアンドリュー・ガーフィールドが今回も主演を努めています。しかし、米国では「沈黙」よりも約ひと月早く公開されています。そして、何かの因縁なのか?またもやクリスチャン役で登場です!!

 

◆メル・ギブソン監督

監督はメル・ギブソンが務めていますが、企画がすすんでからの決定となっています。メル・ギブソンと言えば、アル中で様々な事件を起こしたり、差別発言も多い人物です。役者としては「リーサル・ウェポン」シリーズで有名なアクション俳優ですが、監督としては「パッション」や「アポカリプト」等を作っています。特徴は残酷シーンの描写がホラームービー並にエグいところでしょうか?

今回の作品はアメリカ対日本を描いていますが、メル・ギブソンや多くのスタッフがオーストラリア人です。

 

◆ハクソー・リッジとは

沖縄県浦添市の前田高地のことで、山をノコギリで切り取ったような形状の絶壁で弓鋸の意味で米軍がつけました。

 

◆アカデミー賞

2部門受賞 録音賞と編集賞

 

◆実在の人物デズモンド・ドス

第2次世界大戦で衛生兵として活躍し良心的兵役拒否者として名誉勲章を受章

 

◆今回も米国のお世話に

「沈黙」や「硫黄島からの手紙」など、決して忘れてはいけない・知らねばならない日本の歴史をまたもやアメリカ人から作品として提供されてしまいました。

 

◆中国でも大ヒット

日本兵がやられる見たさで大ヒット!

 

 

 

 

ネタバレを含む感想

◆映画と実話との違い

・銃を持たないと誓った出来事は夫婦喧嘩での父親が銃を取り出した事になっているが、実際には父親の兄弟との喧嘩で銃を持ち出した。

・外出許可を獲れない場面で、結婚式にいけないとなっているが、実際には弟が海軍に入隊するために2週間の休暇を申請した。このことから映画では先に弟が入隊したことになっているが、実際には後であったようです。

・デズモンドが終盤で負傷し無くしてしまった聖書を探してくれと頼むシーンでは、実際には彼が医療船に運ばれた後に探してくれと願ったそうで、同僚がわざわざ戦火の中を探し回ったようです。また、デズモンドは担架で運ばれている最中でも負傷兵を見つけては担架から降りて手当をしていたようです。

 

◆デズモンド・ドズのドキュメンタリー(約1時間40分)

1945年には、沖縄戦の激戦地のひとつ、アメリカ軍側が「マエダ・エスカープメント」(Maeda Escarpment、「前田断崖」の意。)あるいは「ハクソー・リッジ」(Hacksaw Ridge、「弓鋸尾根」の意。)と呼んだ前田断崖(浦添城跡一帯の丘陵地北側にある断崖絶壁)での戦闘において、弾雨の中で味方の救護活動を続け、奇跡的に75人もの負傷兵の救助に成功した。  ウィキペディアより。

 

もう戦闘中はどちらを応援していいのかわからなくなりますが、やはり私は日本人ですので、日本人の視点で見てしまいます。やはり、日本人がやられるシーンでは心が折れますね。

中国でも、日本兵のやられるシーン見たさで大ヒットしているようですが、メル・ギブソン監督は意外と日本人=悪 みたいな風に写してはいないどころか、兵士たちが日本兵に対する恨みやツラミを発する発言もほぼ皆無で、兵士たちの怒りの描写が無く、どんなモチベーションで戦っているのか?がわかりずらいです。恐らく日本に対する配慮で、プロパガンダ映画にはしたくなかったからの配慮だと思われます。日本兵の描かれ方は巨悪というより、恐怖という感じで描いています。

 

前田高地での戦闘には、住民の多くも戦争に巻き込まれ死亡しています。その数4112人であり、浦添村の人口の44.6%にもなります。戦闘には竹槍をもたされた、島民なども夜間に敵陣に特攻していったようですが、そこら辺の描写が皆無なので、印象としては日本で戦っている感じが全くしませんでした。

 

また、日本兵の描写に対する不満は、若者は多くが他の戦場で散っていってしまったので、残った兵士は少年や年寄りばかりだったようです。それに、戦時中なので食糧不足で太っている人は皆無でやせ細った人ばかりのような気がしますので、そこら辺でも少し興ざめしました。やはり日本人スタッフが少ないのもあったのでしょう。あくまでも主役は米国なので仕方ありませんね。

やはり、日本人をリスペクトしてくれる、マーティン・スコセッシ監督やクリント・イーストウッド監督なら、もう少し違った作品になったように感じました。

 

どうしても沖縄での戦闘という目線で見てしまいますが、銃を持たずに75人もの負傷者と助けた1人の敬虔なクリスチャンの実話です。

「沈黙」でのアンドリュー・ガーフィールドは、答えをださない神に対して信仰心が大きく上下にぶれていきますが、今回のアンドリュー君は、まったくぶれません。全く信仰を疑うこと無く最後まで突き進んでいきます。ひとり助けるたびに「神様!あとひとり助けさせてください」と祈りながら次々と負傷者を運んでいきます。(この場面で感動の涙噴出!)何故他の兵隊は頭を出しただけで撃たれてしまうのに、奇跡的に砲弾や銃弾の雨なかを動き回れたのか?やはり、神の力を感じずにはいられませんでした。これが作り話なら宗教の宣伝映画というところですが、実際の話しなのです。(もちろん話は誇張されていますが、75人を救ったのは事実です。)

 

戦争映画であり、日本が舞台である事から、やはり思うのは、今の平和は先人たちの尊い犠牲の上に成り立っているということです。私達の祖父たちはこんな地獄の中で後世の人達の平和を望んで自らが犠牲となり死んでいったのです。日本人として見なくてはならない作品の一つかと思います。そして、戦争は決してエンターテーメントではなく、事実なのです。そして誰より平和を望んだのは戦争で亡くなってしまった人たちではないでしょうか?そして、今の平和を謳歌しているのは私達です。