『100歳の少年と12通の手紙』は2009年公開のフランス・ベルギー・カナダ合作映画で原作者自ら脚色し監督を務めました。
原作 「神様とお話しした12通の手紙」 エリック=エマニュエル・シュミット
お勧め度★★★★★ 星5つ! 字幕なのでお子様はきついかも
監 督 エリック=エマニュエル・シュミット
オスカー アミール
ローズ ミシェル・ラロック
<ストーリー>
主人公オスカー少年は10歳で白血病で入院しています。
ある日病院に宅配に来たピザ売りのローズと遭遇します。
ローズは偶然オスカーとぶつかりピザを落としてしまい、言葉汚くオスカーをののしりますが、誰もかれも自分に対して腫れものにさわるように接する大人たちに不信感を抱いていたオスカーはローズに対して歯に物を着せない言動に信頼できる何かを感じました。
オスカーはある日自分の余命が残りわずかだと知ってしまい、ますます心を閉ざしていき両親さえ受け付けないようになっていきます。
院長が「誰となら話すか?」という質問にローズとなら話してもいいと答えます。
大人たちは閉ざされたオスカーの心を知るために、ローズを利用しようと考えます。ピザを売るのに必死なローズは、病院でピザを毎日買ってもらう事を条件にオスカーと接するようになります。
最初はいやいやながらオスカーと接していきますが、10歳の純真な少年に接しいくうちに次第に心が動かされていきます。
ローズがオスカーにした提案は
・毎日10歳年をとったことにする
・毎日神様に手紙を書く
果たしてオスカーの閉ざされた心は開かれるのでしょうか?
オスカーとローズは残された日々をどのように過ごすのでしょうか?
映画『100歳の少年と12通の手紙』予告編
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<感想>ネタばれ含みますので注意
もう涙、涙の作品です。
ボランティアなんて偽善だと思っているローズは、オスカーといやいやながら接していましたが
次第にオスカーの純真さに心をうたれ、次第にオスカーの為に必死になっていくローズの姿が克明に描かれています。
彼女の提案は残された毎日を一日で10歳年をとることで、10歳で死にゆく子供に対して駆け足ではありますが、歳をとることを経験させたいと思うのでした。
そんな中でオスカーがわずか10日間で恋愛や、結婚、浮気、懺悔等・・・そして別れ・・
という、まるで普通の人が経験するであろう人生経験をまるで縮図のように体験しそして成長していきます。
限られた時間のなかで必死に成長しようとするオスカーの姿に心打たれます
また、神様に手紙を書くことで、オスカーの本心を探りだしながら、機転を利かせながらプロレスを人生と置き換えて子供にも分かるように説明していきます。
実はローズはレスラーでも何でもないのですが、オスカーと最初にぶつかったときに思わずレスラーだと嘘をついてしまったので、彼氏がレスラーということもあり、成り行き上オスカーの前ではレスラーとなってしまったのです。オスカーの想像するプロレスラーローズの姿がいかにも子供の想像らしくてたのしいです。
神様にさえ不信感を抱いているオスカーを教会につれて行き、イエス様が十字架にかけられている姿を見せ、
「オスカーはどちらの神様を身近に感じる? 何にも感じない神様と、苦しんでいる神様と?」
の問いかけに始まり徐々にオスカーを神様の元に導いていきます。
そして最後には両親への不信感も取り除いていきます。
もしオスカーがローズと出会わなかったら、何もなかったまま、不信感を抱いたまま・・
そして10歳のまま旅立たなくてはならなかったと思うと
ほんとに貴重な出会いだったと思います。
オスカー少年の最後はわずか12日でしたが駆け足で一生を終えたので、ある意味達成感のあった最後でした。
そして残されたローズが何よりもオスカーとの出会いを神様に感謝したのでした。
「オスカーと引きあわせてくださり、ありがとうございます。
あの子のおかげで、私は愉快な人間になれました。
いくつもの作り話を考え、プロレスにも詳しくなりました。
あの子のおかげで、私は笑い、楽しい思いをしました。
あの子のおかげで、あなたを信じる事が出来ました。
私は愛に満たされています。心が熱く燃えています。
あの子は私にたくさんの愛をくれたので、死ぬまでこの愛はもちそうです。」原作より
私は生きる目的もなくただ働いて食べて寝ての生活をだらだらと繰り返して過ごしています。
「1ℓの涙」もそうですが、この手の作品は生きる事の意味を考えさせられます。
オスカー少年の演技も素晴らしくどんどん引き込まれていきました。
幅広い方にお勧めの良作です。
ps:チベット仏教を題材にした「ミラレバ」
イスラム教・ユダヤ教を題材にした「ムッシュー・イブラヒムとコーランの花」
に続く宗教3部作の最後の作品のようで、当然キリスト教を題材にしていると思われますが、
そのような観点で見てみると実にキリスト教的な作品であると思います。
しかしながら、私には宗教の押し売り的な感じはしないで見れました。