12人の優しい日本人
監督 中原俊
脚本 三谷幸喜
公開 1991年
上映時間 116分
★★★★☆ 星4つ 是非見てほしい良作です。
私の好きな映画のひとつに、法廷劇の金字塔「十二人の怒れる男」(アメリカ映画)がありますが、その映画のリメイク的な作品が三谷幸喜脚本である事を知りました。前々から見たいと思っていたのですが、家の近くの数軒のレンタルビデオ屋さんには置いてなく、職場の近くのレンタルビデオ屋さんにあったのでやっと見る事ができました。
この作品は、1991年の作品で、日本にまだ陪審員制度(※日本では裁判員制度2009年に始まる)が取り入れられると思っても見てもいなかった時代の作品なのですが、「十二人の怒れる男」をそのまま、場所を日本に置き換え、事件を日本人向けに新たに設定したものになっております。ですから、陪審員制度が無い時の話なので、映画の公開当時は違和感があり受け入れられたかは疑問ですが裁判員制度が始まった今なら、より身近に鑑賞できる作品になったと思います。
<ストーリー>
無造作に選ばれた十二人のお互いの名前も知らない陪審員が審議室に入り、「別れた旦那ともみ合っているうちに、旦那がトラックに跳ねられ死亡した事件」に対する、有罪か無罪を話あうというものです。議論は、五転六転して、どんどん逸脱して行きながら展開していきます。
<キャスト>
キャストも素晴らしく、12人の陪審員はどこにでもいるような人(小市民)ばかりで、イケメンや人気アイドルを出演させて人気を取るような映画ではありませんので、十分に演技を堪能できます。自分はどのタイプの陪審員になるのかを投影してみるのも楽しいと思います。みな、素晴らしい演技と強烈な個性をだしていますが、私は、おとうさん役の二瓶鮫一さんの猫背の演技が気にいっています。
<最初から最後まで個室>
洋画の「十二人の怒れる男」は最初から最後まで審議室のみという、映画史上初の試みの作品なのですが、この作品もほぼ上演時間の2時間がほぼ審議室のみとなっており、(※トイレと裁判所出口がちょっとだけ映される)それだけ脚本力が試されるということです。
<感想>
噂どおりのいい作品だと思いました。
原作同様に「話が面白ければ場所など関係ない」を見事に証明している緻密に練り上げられた楽しい法廷劇作品です。12人の織りなす人間模様が人間味たっぷりと描かれています。
原作「十二人の怒れる男」を見た人にも、十分楽しんでもらえる作品です。また原作を見たことが無い人も先にこちらを見てもまったく問題ありません。
原作との違いは、三谷幸喜独特の笑いの要素が多く取り入れられている事でより見やすいコメディーものになっていることです。(原作がシリアスなので、コメディータッチにすることに抵抗がある人もいるかもしれませんね。)
さらに、お国柄の違いが面白く、日本人独特の文化による世界観があり、原作のアメリカ人達とこの作品の日本人と比べお国柄を見るのも楽しいかも知れません。いやぁ三谷幸喜さんの作品は本当に面白いですね。
注意:この作品では裁判官は話し合いに参加していませんが、現行の裁判員制度は裁判官が話し合いに参加するそうです。