柵に登った私はバランスを取るために隣のベランダとの間に立ててある壁に手をついた。


下を見ることはしたくなかった。

恐怖で足がすくんでしまうかもしれないから。


強い風が吹いていないのが幸いかもしれない。

狭い柵の上をじりじりと隣のビルに向かって足を進める。

制服のスカートがひらひらと邪魔だ。


龍はそんな姿の私を心配そうに見ている。

というか、見ているだけだし…ううっ...なんで私がこんなことしなきゃいけないんだろう…。


私は隣のベランダに入らないように柵だけをつたった。

不法侵入をするのは嫌だったので苦肉の策だガーン

隣人が留守だったのは不幸中の幸いというところかもしれない汗

本当にすいません…ダウン


隣のビルに手がついたのは思ったよりも早く、時間にすれば5分くらいなものだった。

だけど実際に感じた時間はもっとずっと長く感じた。

安堵感でため息が出る。



龍「ハル、気をつけてな」



身を乗り出してこっちを見ていた龍は、私がビルに辿り着いたのを見届けると、そう言って部屋へ入って行った。

私はそのまま隣のビルへ乗り移り、ビルの裏側へと歩いた。

少しでも人目の着かない所へいかないと、誰かに通報でもされてしまったらたまらないからだ。


奥へ進むとさっきまでいた部屋の玄関先が見えた。

そこには少し大柄の男性と、細身の綺麗な女性が立っている。



ドンドンドンドンドンッ!!


???「おいっ!!開けろよっ!!


男性はまだ玄関のドアを叩いて大声を出している。

龍はまだ何のアクションも出していないようだ。


男性の顔は見えなかったが見たことのない人だということは分かった。


しばらくぼーっとその様子を眺めていると、そのうちに女性の方が私に気付いた。

女性は驚いた顔をして男性の肩を叩いている。


それはそうだ。

マンションの屋上で更にフェンスよりも外側にいる女子高生を見たら誰だってビックリする汗

自殺だと間違われても仕方がないだろう。


男性がこちらを見る前に私は走ってマンションの裏側に行き、フェンスを登ってマンションの非常階段を駆け降りた。

見つかりたくはないし、関わりたくもない。

龍のことは心配だけど、これ以上迷惑をかけられるのは嫌で仕方がなかった。



そのまま駅まで振り向かずに走る。

とてもイライラするむかっ

勝手に連れてこられてあんな危ない目にあわされて…なにやってるんだろうしょぼん


電車に乗り込んで学校へ着いても気持ちは晴れない。

結局3時間目には間に合ったけれど、1・2時間目をサボってしまった。

朝から嫌な気分だ。



学校が終わっても龍から連絡はなかった。

私から連絡をしても返事はない。


あれからどうなったのかも分からないが、きっと龍のことだからいろいろ言い訳をして難を逃れたに違いない。

口だけは達者な男だからムムム

一度くらい痛い目あったらいいのに…。


そんなことを思いながらも心配な気持ちには勝てない。

ほとほと自分に呆れてしまう。

嫌いになれれば楽なんだけどな…なんて、どこかの歌の歌詞みたいなことをよく考えた。

何かにがんじがらめにされているように龍から気持ちが離れない。

自分が一番分からないのかも…ううっ...



それから龍から連絡が来たのは夜中になってからだった。

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