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豊島岡ではお手製の料理は販売できないようです。

昨日豊島岡文化祭(初日)におじゃましました。

昨年日曜に行って相当の混雑だったのに対し、土曜はやはり空いていて快適でした。

今年は食事会の方にもOGには数名お越しいただき、そこでのヒアリングもあったため幾つかポイントを絞って回ることができたのも違いがありました。本当はOGと回りたかったんですが、ちょうど大学の文化祭その他とバッティングしてしまい、今回は一人でした。

<科学系部活動>

どこの文化祭にお邪魔するときも同じなのですが、まずは科学系の部活動を見るようにしています。豊島岡には化学・生物・天文・数学・コンピュータがあり、物理以外は網羅している形です。幅が広く、現役生にとっては、とりあえずほぼすべての選択肢があるところが豊島岡の良さの一つだと思います。

化学は定番のスライム作成のテーブルが多くありました。来客には小学生以下の子供たちもいるようで、受けはいいと思います。生物は葉脈を染色するこれまた定番の参加型実験と、ルミノール反応、ジャガイモの酵素分解、解剖などの実験がありました。定番を並べたシンプルな構成です。理科で実技をしているのはこの二つです。厚紙に折り目を入れて作る小道具の配布などもありました。部誌も展示・実験同様、シンプルな構成です。

天文は観測記録も展示していましたが、航空宇宙工学分野のリサーチの展示があるのは去年と同様でした。豊島岡は医志向がかなり強いですが、一定割合理工への進学志望者もいるようです。部員数も(天文台を持つ)JG・雙葉ほどではないにしろ、50程度とかなりの規模です。

コンピュータ部は定番のゲーム展示と、LAN内のみで見られる自作HPを展示していました。セキュリティに関する言及もありましたが、いわゆる情報セキュリティに学んでいるわけではないようです。最近ではDTMに関心がある子もいるようでした。

数学部は定番の自作問題の配布です。個人的にひねってあるなと思ったのは、光源の典型問題を加工した怪獣の問題でした。小問題をざっと眺めただけなので一概には言えませんが、こちらもシンプルな問題が多いように見受けられました。

全体的に小学生にとって身近な存在であることを、豊島岡側としてはアピールしようという意図はあるのかもしれません。その意味では成功していると思います。

他方で部活動を問わず男子校と比べた場合、全力を出し切ったレポートなり研究・実験が見たいなと思う面もありました。もちろん多くの女子校がそうであるように、小学生を主なターゲットとして想定しているからであるというところもわかるものの、限界ギリギリのものを通じて現役生の底力がどれほどのものか見てみたいという欲求が、例えば僕のような立場にある人間からすれば常にあります。

豊島岡というと、運針に代表される良妻賢母教育の思想が根底にあるわけですが、「理系に強い豊島岡」の合格実績を売りにしている一面とは、必ずしも一致していないのかもしれません。例えばoinの物理部での(キットメインとはいえ)組み込みや、多くの男子校で見られるアルゴリズムや音声認識使った研究、数学における難問の作問や、学部の先取りを実践したレポートなどは見当たりませんでした。

鋭さにスリルを覚えるタイプの子供達にはアピールしないのかもしれません。科学教育は、まず突き詰めて探求する力を養うことが重要になるとは思います。大胆さのある人間を育てることは、リーダーを育成する意味でも重要です。もちろん入試で結果を出すことは学校の体面上大事でもあれば、そこ抜きになってしまえばブランド価値が失われてしまう恐怖を常に抱えるものですが、その競争力なり信頼の源泉を求めるならば、よくわかっている保護者や、本物を直感的に求める子供達からすれば、縦に突き抜ける力を感じては、そこに可能性を見出すものだと思います。未だ「新興勢力」のポジションで語られることが多い豊島岡にとっては、この辺りは課題のようには見えます。

<文科系部活動>

今年回ったのは美術部・登山部・手芸部・英会話部(?)でした(政経部は入口が閉まっていたためそのまま通りすぎたのみ。模擬裁判をしていました)。

美術部は知り合いの子がいたため、ちょっと見てみようと思ったのですが、建築志望の子がほぼ即興で組み立てたオブジェ的なものがまずありました。作成した子達は皆建築志望であったようで、納得です。建築志望の子が美術部に在籍しているというのはどこの学校でも見受けられますが、豊島岡もまた建築志望の子は一定割合いるのかもしれません。(話は違いますが、JGの立体切り絵の数楽班にも建築志望の子はいました。)

登山部は2000m級の山にも挑むようで、なかなかtoughな部活のように見えました。ある意味男勝りな部活にようにも見えれば、体を鍛える機会にさほど恵まれない女子学生にとっては、自然も楽しめる良い折衷案的な選択肢にもなりうるのかもしれません。ワンダーフォーゲル部はないようです(展示もありませんでした)

手芸部は女子校ならではですね、通り過ぎた程度でしたが、やはり小学生には魅力的に映るところだと思います。

英会話部では未就学の子どもたちが楽しんでいたように思います。模擬国連やディベートは、部活動単位ではなく有志で臨時でチームを組んで参加しているようです。時間がなくその辺りを詳しく伺うことはできませんでしたが、中には帰国子女その他の属性を持つ子が中核となって活動しているのかもしれません。

全体的にこちらも小学生を強く意識したものになっていると思います。現役生も肩に力を入れず楽しむ方向での活動を大事にしているようには見受けられました。

<パフォーマンス>

拝見した舞台は演劇部のみでした(軽音も見るつもりが気づいた時には終わっていて回り損ねました)。

女子校の演劇部で殺陣が入っているのもは初めて見ました。この時点で驚きです。その他コメディやダンスの要素も織り込まれ、盛りだくさんの内容です(都のコンテストか何かで受賞歴があった作品はこれかもしれません)。よくここまでいろんな要素を織り込んで完成させたなという印象をまず受けました。その意味で、oin,JGと比べても非常にユニークですから今日行かれる方は見てみると良いかもしれません。今年見て回った中で一番鋭さを感じたのが演劇部でした。自分の限界に挑戦している手応えを感じました。


一通り見れるだけ見たつもりですが、毎年かなりの実績を上げている合唱部と囲碁部は回れませんでした(合唱部は時間帯が合わず、囲碁部はそもそも嗜みがないので中身がわからないため)。来年見たいとは思います。

おそらく豊島岡生のポテンシャルの高さからして、外部にアピールするにはだいぶ底力を抑えているように思えます。現役生の中には自身の鋭さをどこまでも研ぎ澄ましていきたいと考える子も少なくないとは思います。そこにどう対処していくかは豊島岡全体の課題かもしれません。

また、他校との付き合いもさほどある方ではないようで、それが全体的におっとりとした雰囲気にさせている面もあるとは思います。個人情報やプライバシーの保護といった制約は、女子校としてみれば中々越えられない壁のように感じることもありますが、これを過剰に意識するあまり、コンピュータリテラシーも含め、時代の流れにうまく乗れないと、制度として完成されている男子校や、柔軟性に秀でる渋幕・渋渋あたりに飲み込まれるかもしれません。そもそも学校なり家庭が守りたいと考える、個人情報なりIDとは一体何なのか、何から何を守るのか、よく考える必要があります。鎖国と保護貿易は別物です。


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