灘中学入試理科より「イカの絵を描け」 Class On Cloud
人間の認識の仕方は大雑把に言って合理主義的なものと、経験主義的なものとに分けることができます。
合理主義的な認識の仕方とは、要するに脳内で想像して組み立て、そこでの推論なり帰結から判断をなすような捉え方です。1+1=2であることをいちいち手元でものを並べて数えるような人はいません。主に計算を処理したり、植え込まれた知識を引き出してなす判断がこれにあたります。そして多くの受験エリートが得意とする認識の仕方です。
これは和歌の世界観とも共通しています。平安時代の貴族達は、和歌を詠むのにわざわざ現地に足を運んで得た体験を経て和歌を詠むのではなく、あくまで言葉の響きから得られる想像を膨らませて和歌を詠みます。そのため主観的で、他者が存在せず、ぼんやりとした印象を与える歌が出来上がります。
対して経験主義的な認識の仕方とは、実際に手に取り、見聞きした上で得た感覚を元になされる判断を指します。科目学習でいうと主に生物や政治経済などでこれは重要になります。上にあげた生物の問題も、実際にイカをまじまじと眺めて特徴をしっかりと捉えられた経験がある子でないと十分な解答ができません。政治経済分野も、ただ知識を並べても全く意味をなさず、得た知識を元に正しい議論ができるようにならないと力がついたとは言えません。
これは俳句の世界観とも共通しています。芭蕉は俳句の修行として全国を歩きました。そこで実際に目にした光景なり、体験を元に歌を詠んでいるため、情景描写が非常に細やかで、精度が高いものが多くあります。
残念ながら、多くの受験エリートはこの経験主義的な学びを非常に不得手としています。ペーパーテスト対策しか価値の重きを置かないため、また学校教育の現場でも実験なり議論は重視されていないため、学生の印象に残りません。上記の映像での問題は実際に灘で出題された中学入試の問題ですが、理Ⅲ合格点だったスタッフですら、満足な解答を得ることはできませんでした。
これが示唆することは非常に大きな問題を示しています。もちろん合理主義的な認識の仕方を磨くことはとても重要です。しかしこちらに傾いてしまうと、例えば霞が関の官僚が平安貴族と同じであるように、実際に現場に足を運んではヒアリングすることなく意思決定をしてしまうことが、大きな政策上の歪みをもたらします。地方国立大を馬鹿にする傾向がある某予備校教師や、それを真に受ける学生にも、この意味で非常に問題があります。
また受験エリートは皆、中学ですらペーパーテストで選抜されるため、同期内での共通認識は合理主義的な認識の仕方で形成されます。そのため互いの地元の話や、アナログな話題、自分が実際に手に取って調べたり、経験したことがない話題は関心が重なり合うこと少なく、何でもかんでも脳内で処理して楽しむ傾向が加速します。主にこれが原因となって、いずれの上位校も自閉的な環境を生み出すことへと繋がっています。
cocではこうした認識の仕方を是正するため、経験主義的な学びを重視しています。全国の学生をつなぐことに意図や、上記のような問題を取り上げるのにも、このような事情があります。
実際にその目で見て確かめたことがないにもかかわらず、わかった気にならないこと。これがとても重要であると考えています。
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