市民法務といっても様々でして、遺言・相続といった典型的なもの以外、尊厳死宣言公正証書や死後事務委任などもお引き受けしています。これらは難病などで余命が少ない方からの希望で行うもので、一部はその意思を受けてケアマネージャーを通じて依頼をいただくことがあります。
先日、以前その業務を依頼された方から相談がありまして、ケアマネが自分をどうしても地方の施設に入れたいらしく、入れ入れとしつこく言っているのでどうしたものかという相談メールがありました。
確かにその方はほぼ寝たきりで自立歩行はおろか、署名もできず、片手でマウスをクリックするだけで外部と通じる方ですので、介護する側からいったら、完全介護施設に入れたほうが本人にとっていいと思っているのかもしれません。
問題はその「本人にとっていい」というのが善意の押し売りになっていないかと介護する側が気づかないことです。上記のような状態ですから遠隔地への搬送はどうするのかとか(飛行機を使うのであれば航空会社にきちんと手配をして医師の同伴などのことも考えなければなりません)、本人が退出した後の部屋の物品の処理をどうするのかとか、いろいろと考えなければならないことが多いのです。
もちろん、受け入れ先の施設の状況や費用・介護内容なども説明しなければなりません。出て行ってしまったら戻ることはできないのですから。さらには何十年と住んでいた地から離れ知り合いもいない地に行くわけでして、その不安をどうするのだろうかと思うのです。
どうも、担当のケアマネはそういったことはきちんと説明せず、不可逆的なことへの対応や依頼人の心情がわからないらしいのです。
こういう人って世間には結構いますよね。本人は自分はこんなに親切に尽くしているという陶酔感に浸っているのですが、全然周りが見えていない人が。善意であるので却って厄介なのです。
依頼人は尊厳死宣言公正証書を残したくらいですから、延命措置を望んでいません。ですから施設に入って手厚い介護を受けるメリットはあまりないのです。
より良い介護環境というのはneedかもしれませんが、介護される側のwantを斟酌せずに押しつけるのはあまりにも傲慢というべきではないでしょうか?このケアマネ、以前、私にタダ働きをさせようとしたり、報酬を勝手に半額でいいですねといったり、私がついに激怒したのですが・・・。要は他人の気持ちを推し量れる人ではないようです。
介護の仕事は大変だというのはよくわかりますが、相手はあくまで「生きている」人間ですから、施設に送って『一丁あがり』ではないはずです。同じことは私らにも言えますから、他山の石として受け止めなければなりません。