このセリフ、何年も前のドラマ「ドラゴン桜」で主人公の桜木健二が生徒に向かって言い放った言葉ですが、受験生相手の商売をやっていますと、人の生きざまの本音とか汚い部分に触らざるを得ないのです。

受験という制度に批判はあっても、性別も出自も収入も関係なく点数を取るということだけで優劣を評価するという制度は最も公平な制度であり、高いステータスの学歴を得ることは、その後の人生でのサクセスチケットを半ば手に入れた事と同じであるというのも事実です。

いい大学出たからといって成功できる幸せになるとは限らないというその論理は、学歴もなく知識もないまま生きている人間が、現実社会において同じ人生のスタートラインに立っているという前提があってこそ成り立つ議論です。

それは金があっても幸せとは限らないと言われるものの、金がある人とない人の感じる幸福度は後者のほうがずっと低いという事実に目を瞑っているのと同じなのです。

君には無限の可能性があると綺麗ごとを言っても、その「君」がグータラだったらそう言うことで無限の不能者にしてしまう可能性だってあるのです。

綺麗事だけを並べても生徒に心に火をつけることはできないということを私は30年近くかけてわかってきたのですが、世の中には現実を知っていても綺麗な言葉を投げかけられることを期待するヤツは数多いるのです。

思うに彼らはそれによって、自分のできないこと、自分の今の地位・状態を正当化しようとしているだけなんです。だからこそ私はきつい言葉を投げかけるのです。生徒の人生を全て背負うことなどできないのだから、せめて、スタートラインは変えてあげたい。私はそう思うのです。

ちなみに、ドラマにはありませんでしたが原作には次のような言葉もありました。自分がどちらの立場に自分の教える生徒を置くことができるのかという覚悟。それがなければ受験生相手の商売なぞしちゃいけないのです。


今いる場所から抜け出したいとき、その方法はふたつしかない。
自分を高め、一段上の社会的ステータスを得るか。
あるいは、社会からドロップ・アウトして、より日陰で惨めな暮らしに身を落としていくか。
おまえはどっちだ?