府中駅近くの古本屋で多少表紙がよれていたせいか、200円で売られていたこの本。「無料」というものを考えるのに勉強になりました。フリーを使ったビジネスモデルも最後にまとめられていまして、面白い本でした。

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略/クリス・アンダーソン

¥1,890
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たまたま朝、テレビで受験業界の無料戦略について放送があり、少し昔のことも思い出したのです。

物販もしくは物販+サービスに関しては無料という戦略は効果的なところはあります。受験産業にしてもインパクトはありますが、おカネを払う段になると半分が逃げていくのが普通です。実際、逃す売り上げと有料会員がふえることによって増える売り上げを比較すると、短期間ではそう大きな売り上げ増には結びつかなかった記憶があります。

長い目でみれば有料会員が総額で払う額が増えるという反論もありますが、一気に押し寄せてくるのは入試まで1年もない受験生がほとんどなので、それも望めません。

唯一この本で抜けている視点がカスタマーの人格レベルです。

経験上、無料で押し寄せてくるのは低所得層ばかりでなく、タダなら何でもいいという層もいます。おカネを払っているというコスト意識が希薄なせいか、かなり質的に悪い者が多いのです。本来進学塾に来る層というのは、家庭も本人も将来大学進学まで考えている処なのですが、無料にすることでそうでない層や学校の成績がオール2(相対評価ならともかく、絶対評価でこの内申というのは学校でも問題児レベル)レベルがどういうわけか大挙して押し寄せてきて、しかも授業が難しいと言って途中から来なくなったりします。(中には授業態度が悪くて追い出したのもいた)

「悪貨は良貨を駆逐する」というのは経済原則ばかりでなく、塾にも当てはまります。上記の本は経済の視点から書かれたので、こういうことは考慮もしなかったでしょうが、少なくとも、塾で春期講習無料とか、夏期講習無料なんて出しているところは、そのレベルの生徒と席を並べる覚悟が必要ですね。

いずれにしてもサービスを売るものとしては、密接な別商品を有料にしてそれを購入する顧客が多いという確信がなければ安易な無料をするのは(初回の問合せに近い相談は別として)顧客の質を下げ、ひいては自分の事業の質もさげることになりかねませんね。