49.2(a) レジの係員 ほか


このことを表すc‐で始まる英語は、日本の大型店などでは天井からその掲示がぶらさげてあるので、学校で習わなくとも多くの人は知っているはずである。買った品物と現金(cash)を扱う人なので、cashierである。cash+er だから、casherだろうと思いがちであるが、-erの直前に -i が入るので注意。


普通の日本人は、「キャッシャー」などと言わず「レジの係員」など言っている。こんの「レジ」とは何のことか、次の (b)で取り上げる。


49.2(b) cash register [付]パナソニック(松下電器)物語


店の「レジ」とは cash registerという英語から来たもの。registerの -erは人ではなく、<登録するもの(機器)>、つまり機器のこと。

・typewriter / tape recorder / heater / lighter / cutter など

cash registerは、昔は日本語で「金銭登録器」と訳していた。米国の店で使われているcash registerは、Nationalというブランドである。


[付]パナソニック(Panasonic、松下電器)物語

私のように長生きしてきた日本人なら誰でも知っているように、松下幸之助が創設した家電メーカーは戦前、戦後しばらくは「ナショナル電器」とも呼ばれていた。初めは、東芝、日立などと比べると、すぐ故障する、と言われていたのが、戦後頑張ってその質が向上、米国に輸出するようになった。その当初のブランドはナショナル(National)であった。ほどなくして、あちらの cash register の製造会社である National から商標特許法に抵触すると、松下電器に抗議したのであろう。その結果松下電器は National から Panasonic に改名したのである。

49.1. storeとshop


storeというのは「店」のことと、昭和49年(1974年)夏までは単純に思っていた。もっともshopも「店」で、単に商品を売っているstoreと違って、そこで何か作業しているのがshopである、と言うぐらいの知識はあった。shopの具体例は、barber shop / butcher shop / bakershop など。理髪店、食肉店、パン屋などは、そこで店主が作業をしているから、store よりは shop の部類だということぐらいは知っていた。


昭和49年(1974年)、私は、今の若い人達と違って45歳になって、やっと英国を含めてヨーロッパを訪れることが出来たのである。それまで米国には既に2、3回行っていた後でのことであった。貧乏な私は慈悲では海外に行けなかったのが、この英国とヨーロッパへの初めての旅行はユネスコ(UNESCO)の関係筋から資金が出て可能となったのである。私のいつもの流儀で、初めてのロンドンで、ひたすら街を方々歩き回り、建物のたたずまい、各種の看板、掲示に注意し、写真を撮ったり、メモを取ったりしたのである。


そういう機会のある時、ロンドンの裏通りの一軒のものものしい錠前で閉まっている鉄の扉が目についたのである。その鉄の扉のうえに白いペンキで、“STORE”と書いてあったのである。


そうか、store は元々は「倉庫」とのことだったのか、storage(貯蔵庫)という派生語もあるし…と悟ったのである。


この体験から、storeは物品を仕入れて、並べて(あるいは積み重ねて)販売しているところ(店)のことだ、と分かったのである。つまり、店で何か作業して作っている shop と対するものであるという結論に達したのである [付]なお、workshop という語を思い併せられたい。


「デパート」は department store であって、(×)department shop とは言えない。日本の<せんべいを手作りして売っている店>はstoreではなく shop である、と考えめぐらせたのである。この種の「おせんべい店」は、a hard-rice-cake shop と表わせよう。






48.3.downtown はもともとマンハッタンが起源


ニューヨーク市の中心は、東にEast River、西に Hudson River に挟まれた細長いManhattan Island である。このマンハッタンは、大きく区分されていて、北から南に次のようになっている。


 uptown(住宅街)  midtown(オフィス街)  downtown(商業街)




48.4. 英国で downtown に相当するものは the City


ここでいう英国は、英国本国(the U.K.)とは限らず、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどであり、米国の都市での downtown に当たるところは、the City と称している。私は、オーストラリアのメルボルンやシドニーに滞在したり住んでいたが、そこでの市電や市バスの行先の表示板に、“The City”とあるのを見た時は、やや異様な感じがしたものである。これを「市街」と訳したら妙なことになる。「シティ・センター」とでもするのも一案ではあろう。