61.1. No Parking or Standing / 自動車がstandingする(1)


通りのところどころに<駐車禁止>とか<駐停車禁止>という標識が出してある。このうちの<駐車禁止>は No Parking.であるが、<停車禁止>に当たる英語は、英語国を旅行して歩いた者なら、誰でも見かけたはずのものである。standing.> である。

この英語の標識を初めて見かけた時、私はどういうことか、すぐにはわからなかった。一つには、その時はまだ私は自動車を運転する人ではなかったからである。

日本語での「駐車」と「停車」の区別を知らないで「交通指導員」の腕章をつけて、私が停車中なのに文句を言ったのが、私の住んでいる町の隣町にいて、私は運転席の窓を開けて、「あなたは交通指導員なのに『駐車』と『停止』の区別も知らないのか、僕はただ『停車』しているだけで駐車などしていないではないか」と言ったら、すごすごと去って行ったのであった。

つまり、運転する人が運転席にいて、状況によってはいつでも車を移動できる状態を「停車中」というのである。

この区別は、もともと自動車の先進国であった米国、英国から始まったもので、自動車についての動詞 park、動詞 stand の間の区別であって、日本でもそれにならったものである。(続)

59. get in the train [英]と get on the train [米]


私が大学文学部英文科を卒業した昭和29年(1954年)、高校英語教師を始めた時、プロの英語教師として、英米の専門誌に目を通して、これはと思われる論分野論説を読んでいなくては、ということで、英国刊のEnglish Language Teaching(年4回)、米国のLanguage Taeching(年4回)を、前者はBritish Council Libraryで、後者はAmerican Cultural Centerで読んだり、ノートを取っていたものである。


今言及した「English Language Teaching」のある号に、本見出語の語法を取り上げて興味深い解説を加えていた。その内容は数十年経った今でもよく覚えているので、紹介ておきたい。


私が初めて英国を訪れたのは昭和45年(1970年)頃であった。ロンドン市内ならどこでも地下鉄でまわれたが、郊外や地方都市へは英国の(当時は国鉄であった)British Railwayに乗って行ったものである。


その頃の英国の列車の車両は、いわゆるコンパートメント式であって、一車両の内部に25くらいの小部屋があり、各小部屋には6名くらい座れるようになっているが、通路はなくて各コンパートメントの出入口は、プラットホームから入ったり、そこへ出る扉があり、一車両の扉の数はコンパートメントの数である、ということは25くらいの扉があったのである。こういう列車に乗り込むのは、get on ~ではなく get into ~かget in ~と表したい心理が当然働いて、そう表現しているのであった。


[付]列車内の通路のことを表す英語は

この通路に当たる英語は、飛行機内のものも教会内のも同様で、aisle(アイル)である。



60.<get in+自動車系乗り物>と<get on+自動車系乗り物>


同じ自動車系乗り物でも、狭い空間の中に身をかがめるようにして乗り込む乗り物と、それよりはるかに大きなバスに乗るのとでは、getに続く前置詞が違うのである。乗用車やタクシーに「乗り込む」のは、いかにもその狭い内部(into)に乗るので、get into ~の形を取り、バスの場合は get on ~の形で表す。


・get in, get out of+乗用車、タクシー

・get on, get off+バス


58.1.c.英国の街でのsubwayとは(地下鉄ではない)


英国の都市で地下鉄があるのは、私の体験ではロンドンとイングランドの北西部マンチェスターだけである(日本では、札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、博多などである)。そして英国の英語では「地下鉄」は underground であり、これは the underground railway の省略である(小山田注)。

ロンドンの通りを歩きまわるのが、私は大好きである。米国の街より小さな店が多数あり、そのショーウィンドウ(shop window)を丹念に見ていたら、私には英語表現に数多くの英語の「気づき」があるのである。

このようなわけで、ロンドンの通りを歩いていたある時、地価に降りて行く階段があって、“Subway”という表現があった。しかし私の英語知識では、英国では「地下鉄」は underground なのだから、subwayとは何か別のものであるに違いない、語源的には「sub+way」、つまり「下+道」ということだから、「地下道」の一種だろう、と思っているところへ、アメリカ英語っぽい英語の声が聞こえ、二人の若い男性が入り口に近づいて来て、二人の間の会話が聞こえたのである。

A:Look! It says “subway.”Let's take the subway.
B:Yeah, but I wonder what subway line is this? Anyway, when we get to the subway station, we will see. Let's go down the steps.

私は心の中で、この二人は呑気だな、ここでは subway が「地下鉄」であるはずもないしと、二人が降りて行くのを興味津々と見ていたのである。

30秒ほどした時、通りの反対側の路上に例の二人の姿が見え、

Why, no subway!

と大声で言ったのが聞こえたのである。

その時、英国での subway は、「地下横断歩道」ということなのだと、わかった次第であった。


※小山田注:the tube とも言う。