67.1. mountains in England or hills in England(続)

『English 900』の中で、“I go to the mountains.”となっているところも、初めはそのまま同じ英語表現を載せることにして、“In summer, I go to the mountains.”と入れた原稿本を英国人が見た時、“I”が英国人だとしたらこれは妙だ、イングランドにはmountainsが無いから、the mountainsの後に、“in Europe”とか“in Switzerland”とか“in Australia”などと入れたい、というコメントがあって、それに従ったのかこの例文は取り除いた、と私は聞いている。

[注]go to the mountains というフレーズで、どうしてmountainを複数形にしてあるのか、ネイティブスピーカーに訊いてみたことがある。すると、山は多くの場合、いきなりポツーンとあるのではなく、そのまわりにより低い山が幾重にもあり、そこを越えながら目指すたかいところまで行くことを表すために複数形にしてあるのだ、という説明を受けたことがある。

67.1. mountains in England or hills in England?

私の大学生時代の文学部英文学科主任教授であった福原麟太郎先生の授業の時に先生は、英国のイングランドでは、900メートルくらいの高いものでも、hill(s)と呼んでいる、と言われたことを今でもよく覚えている。別の言い方をすると、イングランドにmountain(s)はない。英国でmountainsがあるのは、北部のスコットランド、西南部のウェールズである。

私の米国人の親友に、Edwin Cornelius という英語教材執筆者がいて、同氏の外国人のための英語学習シリーズは定評があった。中でも『English 900』(全9巻)は有名であった。同氏の教材は、彼自身がオーナーであった English Language Services 社(略してELS)から刊行されていた。そして、この『English 900』は(筆者が米国人でありその出版社が米国にある、ということから当然のことながら)アメリカ英語であった。

しかしアジア(日本、台湾、韓国、フィリピンを除く)、中近東、アフリカ、ヨーロッパ、アラブ諸国、いわゆる北欧(スカンジナビア諸国)はみな、イギリス英語の勢力(?)範囲なので、『English 900』のイギリス英語版を作ることになったのである。そのためにも、当時英国の「外国語としての英語教育」の第一人者であった Peter Strevens(小笠原とも親交があった)に協力を仰ぐこととなった。その結果できた『English 900』のイギリス英語版が『English 901』であった。

66. highway (highroad); the High Street とは

私が教えていた大学生の何人かに、「highwayという語の意味は?」と聴くと、みんな「高速道路」である、と答えるのである。しかし highway という語は、高速道路というものが20世紀のどこかの時期に、造られ始めたよりもずっと前から存在していたはずである。したがって、highwayという語は道路は道路でも、別のものを指していたはずである。

なお highway は、highroad と言われることもあるが、本稿ではhighwayで代表させておく。

紀元538年に仏教が中国から伝来し、それとともに漢字も伝来し、日本は文字を持つ国になり、日本の歴史の諸相も記録されるようになった。そういう文献の中で、「道」「路」「街道」といった語がどう使われているのか、私の専門ではないので私は無知であるが、少なくとも今でも実際の地名に次のようなのが残っていて使われている。

北陸道/中仙道/東海道/鎌倉街道/川越街道/甲州街道…

英語のhighwayは、ここでいう「~道」や「~街道」に当たる。繰り返し言うが、「高速道路」のことではない。ただし米国の一部では、「高速道路」のことを superhighway と呼んでいるところもある。

[付①]「高速道路」は普通は expressway、英国では motorway、米国では freeway などと呼んでいる。

[付②]highwayman は、江戸時代などにいた「追いはぎ」のことである。

通りに、the High Street という名称を使っている都市があるが、これはその都市の中の<最も主要な大通り>のこと。