ロバート・ルイス・スティーヴンスン『宝島』 | 文学どうでしょう

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ロバート・ルイス・スティーヴンスン(村上博基訳)『宝島』(光文社古典新訳文庫)を読みました。

スティーヴンスンは以前、『ジーキル博士とハイド氏』を紹介しました。そちらも有名ですが、代表作はこの『宝島』かも知れません。

『宝島』の名前を初めて聞いたという人はほとんどいないと思うんですが、どうでしょう。なんとなくのイメージもあるのでは?

宝の地図があって、海賊が宝を埋めた島を目指す冒険ものというような。そんなイメージを持っている方、大正解です。いや、まさにその通りの物語なんです。

海賊ものといえば、もはやマンガで言えば、『ワンピース』でしょう。

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宝を目指して船で冒険を繰り広げるという点では『宝島』と似ていますね。直接的な影響はともかく、ジャンルとしての影響は関節的にせよ確実に受けているはずです。

『宝島』には『ワンピース』ほど、魅力的なキャラクターが大勢出てくるわけではありませんし、バトルはもっとリアルに近い血なまぐさいものですけど・・・。

『宝島』の方は、銃でバンと撃って血まみれで死んでしまう感じです。

海賊ものといえば、もう1つ。『パイレーツ・オブ・カリビアン』ですよ!

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これはかなり面白いです。ジャック・スパロウにしびれます。ヨーホーホーてきな海賊の歌のニュアンスが分かるので、この映画はぜひ観てほしい1本です。

あとディズニーで『宝島』の舞台を宇宙に置き換えたアニメもあります。

『トレジャー・プラネット』という作品です。こちらはまあ興味があればどうぞ。それなりに面白いです。大傑作ではないですが。展開はわりと原作に忠実だったような覚えがあります。

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そういうわけで、『ワンピース』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』など、海賊ものが好きな方、ぜひ原点とも言うべき『宝島』を読んでみませんか?

マンガや映画ほど濃いキャラクターは出てきませんが、『宝島』にはジムという勇気あふれる少年と、ジョン・シルヴァーというコックが出てきますよ。

このシルヴァーという男が本当にあれなんです。もごもご。あんまり言わない方がいいですよね。

それから、おしゃべりな地主さんや、決して譲らないスモレット船長、常に冷静だけど男気あふれるドクター・リヴジーなど、魅力的なキャラクターはたくさん登場します。

なんといっても忘れちゃいけないのが、ベン・ガンですけど、ベン・ガンが誰でどんな人なのかは伏せておきます。ベン・ガンはかわいそうな人でしてね、憎めないやつですよ、ほんと。

少年ジムが、宝の地図を手に入れて、宝島を目指す物語ですが、簡単に宝を持って帰ってこれたらお話になりませんから、航海の途中であることが起こります。あらすじで少し触れますね。

以前もどこかで書きましたが、ぼくはこどもの頃、ほとんどまったく名作児童文学を読んだことがないんです。

だから『宝島』も大人になってからしか読んだことがなくて、ダイジェスト版でもこども時代に読んでおけばよかったとちょっと後悔しています。

なぜかというと、少年ジムの冒険に心がついていかないからです。実はジムというのはワンマンプレイヤーというか、勝手にいなくなって勝手なことをするんです。

それが結果的にはみんなの命を救うことになるわけで、結果オーライ、ジムえらいぞ! となるんですが、冷静な目で見てしまうと、ジムちょいちょい! 落ち着け! そっち行くな! と言いたくなります。

ぼくが船長だったら、ジムが戻ってきたらげんこつですね。勝手なことしてるんじゃねえ! ごつん! と。命知らずにもほどがありますよ。

大人の目で見ると面白いのは、やっぱりシルヴァーというキャラクターですね。シルヴァーについてはストーリーと大きく関わってくるので、あまり触れられませんけど、ジムとシルヴァーの間には、ある種の友情というか、友情と言えなければ、信義みたいなものが通うんです。

それがすごくいいですね。しびれます。本を閉じても、シルヴァーというキャラクターの余韻がじんわり残る作品です。

シンプルながら、宝をめぐる駆け引きも今なお面白いです。

作品のあらすじ


〈ぼく〉が宝島の話を回想しながら書くという手記の形式になっています。途中でドクター・リヴジーの話も入りますけども。

〈ぼく〉は家族で《ベンボウ提督亭》という旅亭をやっています。そこへ、キャプテンという薄汚れた男がやってくる。

キャプテンは、〈ぼく〉に片足の船乗りが来ないかどうか見張るように頼んで、銀貨をくれます。

キャプテンは宿泊費や飲食代として、最初にいくらかお金を払って、なくなったらまた言えというんですが、お金がなくなっても、そんな荒くれ者に請求できるわけはなく、〈ぼく〉の父親は困ってしまいます。

父親は間もなく、病気で亡くなってしまい、キャプテンの周りには、怪しげな船乗りがうろうろし始めます。怯えるキャプテン。

ある時、盲人がキャプテンになにかを渡します。それは黒丸票(ブラック・スポット)というやつなんですが、海賊の間で使う通告状とか、そういうもののようです。

キャプテンは「あと六時間。まだ出し抜いてやれる」(48ページ)というなり、立ちあがり、ぐらっとよろめいて倒れ、そのまま死んでしまいました。

ジムと母親は、父親が亡くなって間もないこともあるし、キャプテンの持ち物から借金の穴埋めになるようなものはないかと探し、宝の地図を見つけます。

そうして〈ぼく〉とドクター・リヴジー、地主さんで宝の地図を頼りに、宝島を探す冒険に繰り出すことになります。

このドクター・リヴジーはすごく頼れてかっこいい人です。地主さんはダメなやつです。口が軽いんです。宝を探しに行くなんて言ったら絶対ダメだと念を押されたにも関わらず、おしゃべりな地主さんは喋っちゃうんですね。

スモレット船長は、部下の選定に納得がいかないんです。なんだかきな臭い感じがすると。みんなが宝を探しに行くことを知っているというんです。

それでも一行は出港します。旅の仲間はたくさんいますが、なによりコックのシルヴァーというのが重要なキャラクターになってきます。

航海途中で、突然人がいなくなったりと、不思議なことが起こります。

ある時、〈ぼく〉がたまたまリンゴの樽の中でうとうとしていると、悪だくみの声が聞こえます。宝を見つけたら、反乱を起こして船を乗っ取ろうという相談をしているんです。

そう、船員のふりをして海賊が乗り込んでいたんですね。さらに分け前をやるからといって、船員を勧誘しています。

〈ぼく〉と数少ない仲間たちは、海賊の魔の手から逃れることができるのか? そして宝を見つけるのことはできるのか!?

宝をめぐる攻防と、少年ジムのわくわくする冒険、そしてある種の友情が描かれた小説です。海賊ものが好きな方はぜひ手にとってみてください。

あなたもジムと一緒に、宝を探す冒険にでかけませんか? ヨー、ホッ、ホー!