フェスティバルホールに2カ月続けて行き、大阪フィルの定期演奏会、マーラーのスペシャリスト、インバル4度目の大阪フィル客演、都響でも指揮したマーラーの未完の交響曲、第10番のデリック・クック補筆完成版を聴いた。先月の井上道義のバビ・ヤールと共に大阪フィル初演、プロオケでは関西初演の模様、インバルを大阪フィルに呼べたのは、都響と岡山コンサートホールのマネージャーとの関係で、インバルは都響と3度目のマーラー全曲チクルスを行うもの、88歳のインバルは矍鑠たるもの、立ったままの指揮、楽譜を見て指揮棒をもって、コンマスは須山暢大、第1ヴァイオリン16人のもの、大阪フィルのアンサンブルは6年前とは比較にならず、金管の傷もほとんどない、第1楽章、ヴィオラに始まり、この曲は5楽章で交響曲第7番に通じる構成、両端楽章が緩徐楽章で交響曲第9番に通じるもの、クックは、マーラーのオリジナルの楽譜では音符を大きく書いて、クックのものは小さく書いて、このクック版はマーラーの作品ではなく、クックの作品だという批判もあるが、インバルの指揮ではマーラーそのものに響く、第2楽章のスケルツォ、ショスタコーヴィチに通じるアイロニー、第3楽章プルガトリオ、これも諧謔の要素、ドラマティック、第4楽章もスケルツォ、マーラーの世界そのものの、この難曲を見事にやれる大阪フィル、素晴らしいもの、第5楽章、打楽器により始まり、アダージョの中で、深遠なもの、感動的なマーラーの世界を、マーラーの指揮を60年しているインバルにより、最高度のものを聴けて本当に良かった。