クラシックの迷宮、最終週の、NHKのアーカイヴスから、先月に続いて岩城宏之生誕90年、今回は日本人作曲家の作品、世界初演の放送録音からで、こういう現代作品を放送収録は今だと考えられず、日本のクラシック音の衰退を見せつけられた。岩城は日本人作曲家の世界初演を多く行い、特に武満徹と黛敏郎を多く手がけて、今回はその十八番の二人以外のもの、この番組は片山杜秀の解説が秀逸で、まず三善晃の交響的変容、1958年のN響を指揮しての放送初演の模様、三善は岩城と同学年、当時のN響のアンサンブルは今に及ばないが、現代音楽に今では考えられないほど情熱的であった日本のクラシック音楽の世界を見せつけられた。佐藤慶次郎の、弦楽器のためのカリグラフィ第2番、1927年生まれ、早坂文雄の弟子、現代音楽祭室内合奏団を岩城が指揮、65年のライヴ、情熱的で、明日が今日より希望的だと信じられた半世紀前の情熱に圧倒させられた。湯浅譲二の問い、71年に東京混声合唱団を指揮してのもの、岩城はN響、札幌響、OEJ以外にもこの合唱団と関係は深く、谷川俊太郎の詩による作品、岩城の声も入るもの、当時の熱気に驚いた。尾高尚忠のチェロ協奏曲、91年の第1143回N響定期、藤原真理のソロ、尾高尚忠生誕80年、没後40年のもの、1944年の作品、全体に熱気があり、現代音楽メインでも観客の来た当時のN響、岩城の指揮の情熱、藤原の熱気、すべてが30年前の、今失われたもので、圧倒させられた。
