昨年までWaltyクラシカルを経営しておられた、関西クラシックレコード界の名物店員であった中岡教夫さんが食道ガンで亡くなった、関西音楽新聞に訃報記事があり、レコード芸術の読者欄にも投書があった、まさに、関西レコード界の名物が逝った。

 中岡さんは、ワルツ堂の堂島店の店員として、関西のクラシックレコード界に大きく貢献されて、しかし2002年にワルツ堂が倒産したら、新星堂に就職したものの、マニュアル化されたやり方に耐えられず、関西の音楽ファンの支援を受けて、2004年にワルティ堂島というクラシック、ジャズ専門店を開店して、関西の音楽ファンに絶大な支持を得たが、ワルティ堂島は2010年の暮れに閉店になり、その後2011年春にWaltyクラシカルを開店、こちらも関西のクラシックCDファンの絶大な支持を得ていたのに、昨年5月に病に倒れ、そしてWaltyクラシカルも閉店になり、中岡さんも亡くなられた。

 もともと、クラシックでもレコード(CD)は不振で、レーベルは次々に潰れて、そもそも世界的に音楽はCDソフトではなくダウンロード配信になり、ただし、日本ではクラシックだとダウンロードは普及せず、そして世界で売れないSACDも日本では人気であり、しかし、それでも、CDはタワーレコードやHMVのような巨大店舗が強く、かつては、バブル期に、大阪でも小規模なクラシックCD店が林立したこともあったが、しかし95年に現在のタワーレコード梅田マルビル店が開店するとそれらのほとんどは消失、かつて、梅田に巨大店舗を誇った大月シンフォニアも96年に倒産し、店員が小規模店舗を立ち上げて当初は好評であったものの、これも消えて、店員はタワーレコード梅田茶屋町店の店員になった模様で、その中、クラシックレコード界で中岡さんの店はファンの強い支持を得ていただけに、中岡さんの訃報はあまりにショックだ。

 今は、大阪にはクラシックCD専門店は、キタの名曲堂阪急東通店と、難波のオペラハウスのみになり、関西ではオーケストラの大国であった大阪の4つのオケはどれも苦戦し、ザ・シンフォニーホールもしんどく、クラシック音楽界はファンの高齢化で存続の危機にあり、中岡さんには感謝するとともに、今後の関西のクラシック音楽界に危機を覚えざるを得ない。