風のマドリガル | TEA for TWO

TEA for TWO

本と音楽と郵便切手、tea-time が好きな のんびりB 型
46~47才で保育士試験を受験、令和3年前期 合格

こんばんは。ここん家のパキラ・ぱきです。

こんどの月曜日で、10才になります☆



わたしがここん家へ来た誕生日

当時ジュンコは30才
ぱきと出会ったときのお話を書いてみますね。

よろしければ、読んでみてください芽




ぱき切手




残業を終えたジュンコは、ぱきを抱えて会社を出ました。

「駐車場、私のクルマこっちよ」

気が付けば、ジュンコは涙を拭っていて

ぱきはビックリして、訊いてみました。



半月ほど前に、ジュンコと同じ課で

前日まで一緒に仕事をしていた仲間が急に亡くなったこと。

その後は、会社で何をしていても涙があふれてきて

必死にこらえているのだと言う。

そんな現状もあって、ジュンコのいる課は大変な忙しさの中

来週、今いる職場から離れた棟へ引っ越すと決まった。


こりゃ、とんでもない非常事態のひとのところへ

来ちゃったな。ぱきは困りました。

でも、せっかく、さっきのおにいさんが

あのお店から、連れ出してくれたんだし。




「わたしはパキラといいます」

「パキラ? はじめて聞いたわ」

「そう、観葉植物のパキラです。…あの、わたしは、生きてます」


ジュンコは、ぱきの緑色の葉っぱをじっと見つめて

「そうね、あなたは生きてるんだもんね」


ぱきのあたまに結んでいたリボンを

そっと手にとって、ジュンコは言いました。

「3月か。世の中は、もうすぐホワイトデーだったんだなぁ」





10年前の冬、涙の日々、突然やってきたパキラがおしえてくれた。

時間は、動いてる。いつまでも悲しみに挫けたままではだめだ、強くなれ、と。

私は、生きなくちゃいけないんだと。