スプリング・ポケット | TEA for TWO

TEA for TWO

本と音楽と郵便切手、tea-time が好きな のんびりB 型
46~47才で保育士試験を受験、令和3年前期 合格

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「春待ちテーブル」
花井愛子・神戸あやか・浦根絵夢著(1992)


私が十代の頃
花井愛子さんは、コピーライターとして活躍しながらも
ティーンズハート文庫の先駆者として、
カリスマ的存在な少女小説家
いろんな出版社から新刊が、どんどん発売されていましたね★

花井さんの本を何冊か、久しぶりに読んでみて
面白いなぁと思った本が
今回の「春待ちテーブル」です。


花井さんと、花井さんの別名(ペンネーム:神戸さん、浦根さん)で
3人のヒロインを、それぞれ、1人ずつリレー方式で書いていく物語

花井さんは、優等生シーナ
神戸さんは、行動派まあや
浦根さんは、夢見る少女るうみ

この3人、放課後に行きつけの喫茶店で
おしゃべりしている場面が多いのです。
テーブルには、お気に入りの定番があって
(シーナ=アメリカンコーヒー
まあや=コーラフロート
るうみ=チョコレートパフェ)
おいしそうでした♪

自分とは違う個性を理解して、
お互いを尊敬できて助けあえる…
3人とも素敵な高校生なのです☆


私には、るうみのストーリーが印象的でした。
眠っているあいだに見る夢
その夢を繰り返して見るようになり…
過去と未来を行き来する。

夢の中で出会った、ケガをした少年に、
るうみは制服のスカートのポケットから
包帯代わりにと、ハンカチを渡す。

――目覚めた翌朝、ハンカチが制服のポケットから
消えていることに気付く。

そして学校帰りに、夢に出てきた街へ向かう
待っていてくれたのは
長い時間を越えたハンカチと
大学生になっていた少年の姿

謎が解けていく…桜吹雪のラストシーンが見事です。


それと、もうひとつ
私が社会人になってから
そうだな、と頷ける3人の会話があります。

まあやが、ホームルームでクラスメイトから

意地悪な発言を受けてしまう
コノヤロー! と突進しそうになるまあやに

「自分が正しいと信じていられるんなら、腹は立たないんじゃないかな」
「まあやは、ちっとも悪くないのに。

ケンカふっかけたら悪者になっちゃうよねー」
シーナと、るうみの言葉

つまらない奴とのケンカはソンだよ
ほっときなよ、と。
…友達から、こんなふうに言ってもらえること
最高に幸せだと思います。