昨年は4月と5月にウィーンに行きました。ウィーンでは”何とかの5月”と言う曲があって、この時期の気候の素晴らしさを表現しているそうなのですが、曲名を忘れてしまいました。今年は3週間前にウィーンに行きましたが、GW中もウィーンに行って、ティーレマン指揮のローエングリンのプレミエ(来週月曜)に行こうと思ったのですが、それ以降の公演で行きたいものがなく、第九初演200周年のウィーン・フィルのコンサートがありますが、こちらはムーティ指揮なので行きたくありません。ムーティの第九は、↓のシカゴ響の映像を見るだけでも、かったるい演奏です。


ウィーンにはニューイヤーコンサートや歌劇場の人気公演などでは、ダフ屋が多くいます。ウィーンは、一見、綺麗な街ですが、清濁合わせ持つ街であります。日本ではダフ屋がいなくなりましたが(かつてはサントリーホール前に大柄のダフ屋の男性がよく立っていました)、ウィーンではダフ屋がまだまだ活躍していて、最高級ホテルのコンシェルジュとも繋がっていて、ホテルのお客様に人気公演のチケットを手配しています。ダフ屋さんの顔まで覚えてしまうくらいによく見る顔が何人かいるのですが、夏には拠点をザルツブルクに移して、音楽祭でダフ行為をしているのを見ると少し笑ってしまいます。


ウィーンのチケットビジネスにはダフ屋以外にも、日本では聞いたことのない類いのビジネスがあります。それは「座席埋め」屋さんです。例えば、毎年2月や3月の春休み時期に、日本の大学や高校のオケや吹奏楽部がウィーンの楽友協会大ホールで公演をやってます。今年ですと、例えば早稲田大学交響楽団と明治大高校吹奏楽部の公演がありました↓。

学生やご家族・関係者の方には申し訳ないですが、この告知で地元のウィーン人が行くと思えないですし、ウィーンには約1000人の日本人が住んでますが、日頃から多くの恵まれた公演がある中で、ウィーンの日本人会が告知をしても、母校の関係などがない限り、実際には行く人は少ないです。こちらは↓、早稲田大学交響楽団の告知ですが、有名なソリストがいないと集客は難しいと思います。

コロナ前までは格安航空券で10万円前後でもヨーロッパには行けましたが、今は、ユーロ高・物価高・燃油高・ウクライナ戦争による航路変更で、日系航空会社のエコノミー席でも40万円はしますので、日本からの公演鑑賞ツアーを組むのが厳しいご時世です。そんな中でも、早稲田や明治の当日の公演では、人がそこそこ埋まっているのです。ウィーンの観光客がたまたま楽友協会のホールで鑑賞したいと言う場合もあると思いますが、ウィーンにはチケットが大量に余っている公演を埋めてくれる少しダークなビジネスがあるんです。その仕組みはウィーン在住の日本人に聞きましたが、よく出来ているシステムです。日本の高校生や大学生のウィーンでの晴れの舞台で、空席が目立つと寂しいものです。それを解決してくれる裏ビジネスがある点が面白いです。


✳︎明治大明治吹奏楽部の投稿ですが、一部のバルコニー席は観客を入れてないようにしてあります。学生向けにモチベーションを上がるためのメッセージだと思われますが、楽友協会には立ち見席はありますし、バルコニー席の後方席はステージが観にくいので、立ちながら聴いている観客がいるんですよ。