今日は聖金曜日でこちらベルリン市内のお店やレストランの多くがお休みですが、フィルハーモニー小ホールで「ベルリン・バロック」(フリーの器楽家のアンサンブル)と「ベルリナー・フギュラル合唱団」(ベルリン市が支援しているアマチュアを中心とした合唱団)によるマタイ受難曲に行きました。筆者の最も好きなバッハの曲で、マタイ受難曲は3時間ほどの長大な曲ですが、過去の実演で1番感動したのは、一昨日も書きましたが、ラトル指揮・セラーズ演出・ベルリンフィルによる演出付きの演奏です。ベルリンでも2回鑑賞し、さらに2014年にNYでも同じ公演があるというので、NY公演も2回行きました。その様子が↓の画像と映像になります。

(NYでのマタイの演出は旧倉庫の空間でホールのようにステージを創り上げてました」

(ラトル指揮・ベルリンフィルのNY公演)

今までこれ以上のマタイには出会ったことはないですが、聖金曜日にドイツ人によるマタイを聴けるのは本当に楽しみです。小ホールの小さなステージに室内アンサンブルとソリスト、男性合唱(40名)が所狭しとスタンバイしていて、ステージの左右のブロックの客席には女性合唱(80名)が座ってます。

アンサンブルの演奏は一昨日のベルリン古楽アカデミーと同じレベルですが、合唱はやはり一昨日のRIAS室内合唱団に軍配が上がります。大役のエヴァンゲリストは、70歳前後に見える高齢の男性で、通常はエヴァンゲリストは40-50代の中年の方が務めるイメージがありますが、今日のエヴァンゲリストの声には衰えは感じるものの、ベテランの説得力がありました。さらに特筆すべきはオルガンの女性です。この女性はオルガンだけでなく、チェンバロを弾いたり、アンサンブルに指示を与えていたり三刀流で、さらに合唱部分では一緒に歌いながらオルガンを弾いており、いかにこの音楽を愛してる集団かを認識できました。この公演はラジオ局のサポートもあるようで、収録をしていました。今日の白眉はイエスの死での61番のカウンターテナーのレスタティーヴオと62番の美しい合唱でした。さらに最後の合唱のみ抑揚をつけた合唱で、この部分も素晴らしかったです。この曲を聴くと、いつも頭の中で別のことを思索してしまうので、詳細のコメントはできないのですが、ハイクオリティなマタイでしたし、心が温まる演奏でした。

(女性のオルガン奏者の後ろのシニア男性がエヴァンゲリストです)


(評価)★★★ 聖金曜日にふさわしいマタイを聴けました

*勝手ながら5段階評価でレビューしております

★★★★★: 一生の記憶に残るレベルの超名演 

★★★★:大満足、年間ベスト10ノミネート対象

★★★: 満足、行って良かった公演

★★: 不満足、行かなければ良かった公演 

★: 話にならない休憩中に帰りたくなる公演


Berlin Baroque

Berliner Figuralchor

Cantores minores

Gerhard Oppelt Dirigent

Charles Daniels Tenor (Evangelist)

Viola Blache Sopran

Tobias Knaus Altus

Fabian Kelly Tenor (Arien)

Jörg Gottschick Bass (Jesus)

Romain Bockler Bass (Arien)

Johann Sebastian Bach

Matthäuspassion BWV 244