今日はヴァイオリンの前田妃奈さんのチャイコフスキーを聴きに東京芸術劇場に行きました。平日の昼間の公演なのに満席に近いのは、都民芸術フェスティバル参加公演で、最上席が4000円で安いからでしょうか。前田さんはBSテレ東「エンター・ザ・ミュージック」(指揮者の藤岡さんがMCの番組)で、神尾真由子さんが前田さんにレッスンしているシーンを見てから、前田さんの才能とキャラクターに一目置いており、昨年の国際コンクールで優勝後の初めて実演を聴いてみたかったので、池袋まで行きました。彼女を最初に演奏会で観たのは、2021年6月のサントリーホールのCMGのアンサンブルで1番後ろで弾いていた時です↓(赤い衣装が前田さんです)。

それからぐんぐんと成長し、今日はチャイコンのソリストとして堂々と弾いていました。笑顔でステージに入ってきた前田さんは、第1楽章ではかなり重厚なソロで、ハイフェッツを崇拝している神尾真由子先生仕込みの演奏のように聴こえます。女性版のハイフェッツを彷彿とさせるボウイングで、20歳前半の女性の演奏とは思えない風格のある演奏でした。第2楽章では寂寥感漂う旋律を巧く歌っており、以前の前田さんは身体をよく動かしながらの演奏でしたが、今日は控えめ目な動きの演奏でした。神尾先生からあまり動かすな!と指導が入ったのでしょうか。第3楽章は、オケとソロの両方にキズがありましたが、この楽章でも前田さんはハイフェッツ感が漂う演奏で、コーダにかけては、前田さんがオケを打ち負かすかのような圧倒的な迫力の演奏で大団円となりました。彼女のInstagramからの写真ですと、こんな感じの弾き方でした↓。N響定期Bプロにも出演して欲しいです。


後半のチャイ5ですが、今日も「予防的措置」で前半で帰宅しました。1曲目のポロネーズが重々しいテンポで、音がこもっていましたし、「左効きの指揮者」としてメディアで紹介されている出口さんの指揮は単調で、あまり創意がありません。まだまだ場数が足りないのかもしれないです。東京フィルの演奏も弦楽と金管が合っていないところがあり、コンマスの依田さんが必死に身体を動かして合わせようと苦労されてました。ホルンが滑るところも散見される上に、1stヴァイオリンの1番後ろのプルトの方は全くやる気がなく、音が出てないのでは疑われる部分もあり、東京フィルの悪い面が出てしまったので、後半は不参加としました。


(評価)★★★ 前田さんの今後の成長に期待感が高まりました

*勝手ながら5段階評価でレビューしております

★★★★★: 一生の記憶に残るレベルの超名演 

★★★★:大満足、年間ベスト10ノミネート対象

★★★: 満足、行って良かった公演

★★: 不満足、行かなければ良かった公演 

★: 話にならない休憩中に帰りたくなる公演


出演

出口大地(Cond)
前田妃奈(Vn)
東京フィルハーモニー交響楽団

曲目

チャイコフスキー/歌劇「エフゲニー・オネーギン」作品24より“ポロネーズ”
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
チャイコフスキー/交響曲第5番 ホ短調 作品64
《ソリスト・アンコール》マスネ「タイスの瞑想曲」