今日は本当はソヒエフ指揮のN響に行きたかったのですが、筆者のツレが清塚さんのコンサートに行きたいと言うので、サントリーホールへ行きました。清塚さんはEテレ「クラシックTV」での軽快なトークと演奏で、毎回観ております。しかも、勉強になるようになっていて、良くできている番組です。清塚さんは桐朋高校を出た後、モスクワ音楽院に留学しますが、筆者の1番好きな天才ピアニストのマツーエフが同じクラスで、清塚さんの弾いたピアノをマツーエフらから笑われたことで、世捨て人のようになり、学校(大学)を卒業しないまま、日本に帰国して、今のポジションを獲得した苦労人です。彼の幸せそうな笑顔を拝見すると、マツーエフに笑われて良かったではと解釈します。一方、指揮者の飯森さんは実演で聴くのは初めてで、TVで指揮ぶりを拝見したことがありますが、あまり好みではありません。また、飯森さんが民放の芸能人と一緒にトークする番組で、「指揮者はモテる」「ギャラは良い」などと品のない話をするので、キャラクターとしても好みではありません。飯森さんと清塚さんは桐朋の先輩・後半の関係と言うことで、2曲目の転換中に2人のトークショーがありました。清塚さんのトークは相変わらず面白く、今日のショパンのピアノ協奏曲は近衛秀麿編曲版で、お二人とも「ショパンはピアノの作品の名人だが、オーケストレーションは苦手だ」と仰っており、その為、今日の近衛版にしたようです。


1曲目の大ポロネーズは、清塚さんのソロから始まりますが、彼の艶のある音色と遊び感のあるグルーヴが感じられます。その後、オケが伴奏に入りますます。2曲目の「新世界より」は金管のキズが多く、1stヴァイオリンのセクションがズレていて、コンマスが慌てていたりしており、この曲のコメントはこれ以上しませんし、今日の評価の対象外とします。この曲は聴かずに、考え事をしておりました(^^)。


後半のコンチェルトの近衛編曲は、今日はプログラム・ノートがないので、ショパン版との違いがはっきりしませんが、第1楽章は木管を強調して始まり、ホルンも際立っていてピアノのソロと合わせていた感じがします。第2楽章の木管の部分は独特に感じましたが、近衛版はややドイツ風のオーケストレーションと思われます。清塚さんは第1楽章から遅めのテンポで演奏していましたが、第3楽章もやや遅めのテンポで始まり、ここでもホルンやトランペットなどが強調している点が近衛編曲版のテイストを感じました。清塚さんのアンコールを期待しましたが、アンコールはありませんでした。今日のお客様は8-9割は女性で、皆さん、退屈な「新世界より」を寝ないできちんと聴いていらしていました。12月と1月の都響の定期演奏会のお客様はいびきが多かったのと対象的です。公演後に、ツレが「清塚くんより、真央くんの方が良いね」と言ってましたが、「(そりゃそうでしょ)」と思いながら、家路につきました。


(評価)★★★ 清塚さんのトークは超一流、オケは●流

*勝手ながら5段階評価でレビューしております

★★★★★: 一生の記憶に残るレベルの超名演 

★★★★:大満足、年間ベスト10ノミネート対象

★★★: 満足、行って良かった公演

★★: 不満足、行かなければ良かった公演 

★: 話にならない休憩中に帰りたくなる公演


出演
指揮:飯森範親
ピアノ:清塚信也
パシフィックフィルハーモニア東京
曲目
ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op. 22
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 Op. 95 「新世界より」
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op. 11