新年モードも終わり、落雷・暴風・初雪が降る中、今年最初のN響定期演奏会に行きました。開演前にNHKホールの1階の飲食コーナーに立ち寄りましたが、ホールの方針で「食事禁止」となっているようで、サンドイッチなどを食べている方が怒られてました。このホールはゴミ箱無し、アルコール無し、タクシー・ハイヤー乗り場無し、食事禁止とかなり厳しいホールになりつつありますね。


今月のN響定期はソヒエフが昨年1月同様に、Aプロ=フランス、Bプロ=ドイツ・オーストリア、Cプロ=ロシア音楽の3つのプログラムを指揮します(来シーズンはこのフォーマットではなくなるようですが)。今日のAプロが曲目としては1番期待できると思います。


前半のシチェドリン編曲の「カルメン組曲」は、弦楽セクションと打楽器奏者5名による演奏です。この組曲は、オペラ「カルメン」をバレエ版として編曲したもので、この組曲は全13曲からなりますが、この曲の構成とストーリーの流れは一部異なります。また、第8曲は突然「アルルの女」のファランドールが出てきますし、終曲は第4幕中心ではありますが、オペラ全体を回想するシーンもあり、ビゼーの名曲を編曲したものとして捉えることもできると思いました。フランス音楽を得意とするソヒエフは、第2曲では切れ味鋭い指揮をし、第7曲や第11曲などでは流麗で美しい旋律を紡ぎ出します。自由自在にオケをコントロールしているソヒエフの実力を感じました。


後半1曲目のラヴェルの「マ・メール・ロワ」は、第1曲と第2曲は静的で切なくて暗い音楽ですが、第3曲から明るい情景が広がり、動的な舞曲になりますが、このようなはっきりとしたメリハリのある指揮をするソヒエフは、やはり音の魔術師と言えるでしょう。この手のフランス音楽は現役の指揮者ではソヒエフが1番うまいのではないでしょうか。終曲への盛り上げ方も秀逸で、巨匠感があります。

後半最後のラヴェルの「ラ・ヴァルス」は筆者がラヴェルの中で1番好きな曲で、NHKホールのステージを埋め尽くすくらいオケのメンバーが入ってきました。この曲の最近お気に入りの実演は、2015年のラトル指揮・ベルリンフィルの演奏です↓。

この時の劇的な演奏は、打楽器奏者だったラトルらしい指揮ぶりで、暗譜で複雑なメロディとリズムを打楽器奏者のように鋭く激しく刻んで、スーパーオーケストラのベルリン・フィルらしい機能的な部分を実感できます(2年前のラトル指揮・ロンドン交響楽団の来日公演でも、ラ・ヴァルスを聴きましたが、こちらはあまり感動しませんでした)。今日の演奏は、このラトル指揮・ベルリンフィルとは対極の演奏で、優雅で甘美な音楽に仕上がっていて、かなり説得力があるものでした。今日の定期演奏会は新年初としては幸先が良いので、明日も行くことにしました。今日はこのくらいにして、明日ブログします。


(評価)★★★★ 新年初の定期演奏会として素晴らしかったです

*勝手ながら5段階評価でレビューしております

★★★★★: 一生の記憶に残るレベルの超名演 

★★★★:大満足、年間ベスト10ノミネート対象

★★★: 満足、行って良かった公演

★★: 不満足、行かなければ良かった公演 

★: 話にならない休憩中に帰りたくなる公演


曲目
ビゼー(シチェドリン編)/バレエ音楽「カルメン組曲」
ラヴェル/組曲「マ・メール・ロワ」
ラヴェル/バレエ音楽「ラ・ヴァルス」