昨日は海外オーケストラの来日公演が飛行機代や輸送費高騰で困難になっていることを書きましたが、その要因の一つがヨーロッパへの航路が長くなったからです。

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻から、1年10ヶ月経ち、日本からヨーロッパへ航路は、ロシア上空迂回のため、往路は北回り、復路は南回りになり、それぞれ通常時から2時間以上の長い時間がかかるようになりました。羽田からヨーロッパへの最長時間はミュンヘンまでの15時間10分で、これはビジネスクラスでもさすがに疲れます(しかも、全日空の羽田・ミュンヘン線は到着前の朝食1回しかミールサービスがありません)。飛行距離が長くなる分、航空会社の飛行マイルも多く加算されますが、飛行機代は上がる一方で、ヨーロッパへはエコノミーで往復40万円以上、ビジネスだと100万円以上かかるようになってしまいました(全日空の直行便の場合ですが、旅行需要の回復の割には、飛行機の便数が増えてないので高いです)。筆者はコロナ前はヨーロッパには年8回は渡航していましたが、ウクライナ侵攻が始まってから計8回しか渡航していないのは、移動時間が長くなり、疲れが溜まるので、渡航回数が減りました。ロシア迂回ルートによって良かった点は、12月から3月にかけてはアラスカ上空で8割以上の確率で機内からオーロラが見れる点が挙げられるでしょう。他のお客様の多くは寝ていましたが、クルーの方が教えてくれて、座席でお酒を飲みながら、オーロラを見れるのは最高です。

✳︎飛行機の窓からのオーロラ


✳︎こちらはベルリンのオケの楽団員が送ってくれたオーロラ写真


さらにヨーロッパからの復路の南回りルートだと左側の窓には羽田空港の到着1時間以上前からずっと壮大な富士山をずっと見れます。天気によると思いますが、この富士山はずっと見ていて癒されます↓。




以上がロシア迂回ルートによるメリットですが、「反ロシア」としていない中国、インド、中東などの航空会社はロシア上空を飛んでますし、香港のキャセイ・パシフィックもロシア上空を飛ぶようになりました。日本と欧米の航空会社は何故、迂回ルートなのでしょうか。専門家に聞いたら、日欧米の航空会社が加入している保険によるらしいです。仮にロシア上空に日本の航空会社が飛行しても攻撃される可能性はほぼ無いですし、ロシアの空港で緊急着陸して、燃油補給などの費用をロシアの現地空港会社への支払ルートはあるので、テクニカルな問題はありません。日本の航空会社が加入しているイギリス最大の某保険会社がロシア上空ルートだと保険適用しないと言うことで、ロシア迂回ルートになっているそうです。航空会社にとっては万が一の墜落事故の保険はかなり重要で、その保険が適用されないと運航できません。このイギリスの保険会社がロシア上空ルートを許可しない限りは、しばらくロシア迂回ルートになります。今のウクライナ戦争を見ると、停戦・休戦までの道筋が見えず、休戦して両国が平和条約を結んで戦争終結までは、かなりの時間がかかると思われます。


もう一つのウクライナ戦争での懸念点は、仮に戦術核が使用された場合は、日本の国際線と国内線共に数ヶ月程度は、航空機の運航停止命令が出ます。これも、先の保険会社の方針によるもので、ロシアの隣国の日本にも影響するだけでなく、世界経済が大混乱するので、ロシアが核を使うことはほぼ無いと個人的には予測しています。仮に核が使われると、9.11の米国のテロの時に1ヶ月間飛行機が停止したが、それ以上のインパクトなので、持病がある方がヨーロッパなどに行く際は予備の薬を多く持参することをおすすめします。ちなみに、核が使われても、日本の天草航空だけは飛行できると言われてます。


さらに懸念点は中国と台湾情勢です。この2国が戦闘状態になると、ヨーロッパからの南回りルートは中国上空を通るので、このルートも使えなくなると思います↓。

中国は香港の中国化と同じやり方で、武力行使なく、台湾を中国化するのではと筆者は予想しています。既に台湾の地方選では親中派が優勢ですので、台湾世論が変わってきているのです。


ということで、ヨーロッパの音楽都市への旅路はしばらく長いままと思われますが、早く元に戻ってもらいたいですね。


ちなみに、今、ホノルルにいますが、ホノルルから羽田への飛行機も左側の窓側ですと、ワイキキビーチが見えますし、羽田到着時には富士山の夕景が見えるのでオススメです。