プラハのドヴォルザークホールのシーズン開幕コンサート


今、ホノルルの空港ラウンジにおります。先週までのチェコフィル来日公演のプログラム冊子に掲載されているスポンサー企業の社長によるメッセージで「音楽大国、チェコ」と書いてありました。チェコにはビジネスと観光で40回ほど行ってますので、この点を私なりに考察したいと思います(たまたま、空港ラウンジの暇つぶし投稿ですみません)。ヨーロッパに何度も行った経験で言うと、オーストリア、ドイツ、イタリアは大好きなんですが、チェコはあまり好きではありません。その理由は一言で言うと雑だからです。プラハのレストランは美味しいレストランは少なく、味が雑です。日本食レストランで日本人オーナーのお店は少なく、韓国人や中国人によるお店が多いです。日本人のオーナーの和食店でもタコの刺身はイタリア産のものが雑に切られて出てきます。タクシーはぼったくりタクシーが多く、空港などでぼったくり為替レートと手数料のATMがあり、チェコの通貨を引き出すのにも一苦労です。街中には観光客を狙ったひったくりが多いので、プラハの日本大使館にはパスポートを盗難された日本人が領事窓口に並んでいる時もあります(コロナで入国規制が厳しい時は観光客が少なかったので、泥棒が減っていました)。あるバーでジントニックを頼んだ客が死亡した事件を見た事をありますが、ジンの代わりにエタノールが入っていたそうです。筆者が頼んだ牛肉のステーキは香草焼きかと思っていたら、通訳が気づいてくれて、腐っていた牛肉だったこともあり、チェコでは良い思い出が少ないのです。以上のような経験をすると、チェコはまだまだヨーロッパの発展途上国であり、ユーロ通貨圏に入れないのも納得がいきます。


本題の音楽について、歴史面でのチェコは、スメタナやドヴォルザーク、ヤナーチェクなどの名作曲家を生み出した国で、マーラーも現在のチェコのあたりで生まれています。モーツァルトはプラハに滞在していたことがありますが、これはウィーンでのフィガロの結婚の初演が不評で、翌年プラハに招かれたモーツァルトはプラハの街中でフィガロを鼻歌で歌っている人たちを見て感激し、その後、プラハでドン・ジョヴァンニを完成させ成功させます。プラハがモーツァルトのスランプを回復させたことをチェコ人は今でも誇りに思っている人がいます。プラハからウィーンまでは車で3時間半(飛行機は40分)の距離ですので、音楽の都・ウィーンから近かったので、音楽的な交流は昔から多かったようです。


現在のプラハは人口約130万人の都市ですが(ウィーンは約200万人)、人口の割にはプラハ旧市街の1キロ圏内に、3つの国立の劇場があります。1つ目はプラハ国立歌劇場(State Opera)は来日公演しているので有名ですが、チェコ人歌手中心の公演が多いです。また最近はリノベーションされて、各座席に字幕モニターが付いている点は秀逸です。



プラハ国立歌劇場のトスカ


2つ目は国民劇場(National Theatre)で川沿いにある美しい劇場ですが、こちらはバレエ公演が多いです。ここのバレエ団には日本人女性3人がプリンシパルで活躍していると記憶しています。


プラハの国民劇場内部


3つ目はドン・ジョヴァンニが初演されたエステート劇場(Estates Theatre)ですが、プラハ最古の劇場で800席ほどしかありません。現在では、観光客向けにドン・ジョヴァンニが上演されることが多いですが、若手のチェコ人歌手が出演しています。

エステート劇場のドン・ジョヴァンニ


以上のプラハの3つの劇場は下記の↓のサイトで公演カレンダーが分かりやすく、チケット購入が簡単にできるので、インバウンドの観光客でも簡単にメールでチケットが届きます。

https://www.narodni-divadlo.cz/en/programme

この点は日本の劇場も学ぶべきではないでしょうか。新国立劇場をはじめ、日本の劇場サイトは英語版が少ないですし、チケットは国内配送またはコンビニ発券なので、外国人観光客にはやさしくありません。例えば、新国立劇場は日本人があまり行かないようなマニアックなオペラを連日上演するよりは、蝶々夫人やトゥーランドットのようなオペラをインバウンド対策を見据えて、レギュラー上演すべきだと思います。


話が脱線しましたが、プラハにはチェコ・フィルが本拠地とするドヴォルザークホールとプラハ交響楽団が本拠地とするスメタナホールの2つの代表的なコンサートホールがありますが、どちらも音響は良くありません。プラハの春音楽祭で有名なスメタナホールは、毎日のように観光客向けにヴィヴァルディの「四季」コンサートをやってます。

ドヴォルザークホール内部(スカラ・フィルのコンサート)


現在のプラハの音楽界をまとめると、ハコとしての劇場やコンサートホールは人口の割合にしては充実しており、外国人観光客をうまく集客しています。しかし「質」としてはそれほど高くはなく、オペラでスター歌手が出演するのは稀ですし、ドヴォルザークホールより、日本のサントリーホールの方がクオリティの高いオーケストラの公演が多いので、プラハでクオリティの高い音楽体験を求めるのは少し難しいと思います。やはり、クオリティの高い音楽体験は、ウィーン、ベルリン、ミュンヘンあたりでしょう。


これから帰国しますが、本日もご読み頂きありがとうございました。コンヘボの予習がてら、機内でチャイ5を聴くことにしました。