大使館関係者からの話ですと、来月のイスラエル・フィルの来日公演は中止だそうです。テルアビブでの現地の演奏会も中止になってますし、戦争状態の長期化における渡航問題、日本国内でのセキュリティ確保など様々な問題が多すぎで、予想通り残念な結果となってしまいました。

これを受けて、既に日本公演の主催者はチケット購入を中止としているところもあります。イスラエル・フィルは今回は9年ぶりの来日公演の予定でしたが、今の宗教戦争状態が長引くと、暫く来日公演は難しいかもしれません。イスラエルはかなり微妙な国の立場になりましたので、イスラエル・フィルにスポンサーする企業も無いと思われます。また、イスラエル・フィルの優秀な団員がヨーロッパの一流オケに流出する可能性もあるでしょう。「世界一の弦」と言われたイスラエル・フィルは幻になってしまいそうです。

今年の秋は1ヶ月半の間で、下記の海外オーケストラを鑑賞する予定でした。この短期間でヨーロッパの一流オケを堪能できるのは、ルツェルン音楽祭レベルで、東京では過去にここまでのラインナップはなかったのではないでしょうか(これ以上、影響が出ないで欲しいです)


《10/16から11/26》

1. P. ヤルヴィ指揮 トーンハレ管

2. マケラ指揮 オスロ・フィル

3. ビシュコフ指揮 チェコ・フィル

4. ルイージ指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ

5. ティーレマン指揮 ドレスデン・シュターツカペレ →来日中止

6. ソヒエフ指揮 ウィーン・フィル →指揮者変更

7. シャニ指揮 イスラエル・フィル →来日中止

8. ネルソンス指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス

9. K.ペトレンコ指揮 ベルリン・フィル

10. ギルバード指揮 NDRエルプフィル


ちなみに、ティーレマン指揮のドレスデンは、日本公演でのスポンサーが付かず、ドレスデンは中国のみでツアー(9公演)を行うことになり、東京公演の予定だった11/5, 6は北京で、R.シュトラウスのアルプス交響曲やばらの騎士などを演奏予定です(韓国でのコンサートがあれば、追っかけで行ったのですが)。中国の景気が悪いと報道されてはいますが、日本のバブルの時のように億円単位の中国企業スポンサーが付くので、昨年のベルリン・フィルやザルツブルク・モーツァルテウム管の中国ツアーなど、「ジャパン・パッシング」で中国のみのツアーが増えています。ヨーロッパの楽団員からすると、中国各地などで演奏した後、最後は日本で美味しいもの食べてアジアツアーを締めくくりたいらしいですが、日本でのスポンサー不足で、このようなパターン(日本スルー)が増えているのが問題であります。ドレスデンも今回の来日中止で次回以降の目処が立たないのでは無いでしょうか。ドレスデンには出張ついでに10回ほど行きましたが、1945年のドレスデン爆撃で街の85%が破壊され、街の雰囲気は何となく暗いですし、食事も美味しくないです。ドレスデンで和食を食べると、日本からの魚は東京からフランクフルトに着いて、デュッセルドルフ〜ハンブルグ〜ベルリン〜ライプツィヒ〜ドレスデンのロジスティック(ルート)で運ばれるため、あまり新鮮ではありません。ドレスデンは飛行機の便も良くないので(フランクフルトからのルフトハンザ便が1日3便しかない)、あまりドレスデンには行きたくないので、ドレスデンの来日公演の実現をお願いしたいです。


ティーレマン指揮 ドレスデン・シュターツカペレ